S&P500月例レポート(20年4月配信)<4>

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最新投稿日時:2020/04/13 09:33 - 「S&P500月例レポート(20年4月配信)<4>」(みんかぶ株式コラム)

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S&P500月例レポート(20年4月配信)<4>

<3>の続き

世界の株式市場

 ○3月の世界の株式市場は新型コロナウイルス感染拡大の影響が経済に波及し始めたことを受けて、一様に下落しました。最も下落幅が小さかったのはスイスで5.87%の下落でした。3月は49市場中上昇した市場はゼロで、少ないとはいえ1市場が上昇した2月や11市場が上昇した1月から減少しました。

 ○世界の株式市場は3月に14.61%下落しました(米国市場の13.95%の下落を除くと15.40%の下落)。2月は8.29%の下落、1月は1.42%の下落でした。年初来では、グローバル市場は第1四半期に22.80%下落し、米国の21.34%の下落を除くと24.49%下落しました。過去1年間ではグローバル市場は14.48%下落しましたが、米国の10.97%の下落を除くと18.41%の下落でした。より長期で見ても米国のパフォーマンスが突出しています。過去2年間では、グローバル市場は14.68%の下落でしたが、米国の5.07%下落を除くと24.28%の下落でした。過去3年間ではグローバル市場は3.58%下落し、米国の6.07%上昇を除くと13.41%の下落でした。

 ○3月のまとめ

  ⇒S&Pグローバル総合指数の時価総額は7兆8810億ドル減少しました(2月は4兆8740億ドル減)。米国以外の市場の時価総額は3兆8140億ドル減少し(同2兆2120億ドル減)、米国市場は4兆680億ドル減少しました(同2兆2760億ドル減)。

  ⇒新興国市場は3月に18.18%下落し、年初来では24.92%下落、過去1年間でも20.58%の下落となりました。

  ⇒先進国市場は3月に14.28%下落し(米国を除くと14.81%下落)、年初来では22.53%下落(同24.35%下落)、過去1年間では13.74%下落(同17.79%下落)となっています。

 ○3月は11セクターの全てが下落し、セクター間のばらつきは拡大しました。2月も全セクターが下落し、1月は2セクターが上昇していました。パフォーマンスが最高のセクター(ヘルスケアの4.82%下落)と最低のセクター(エネルギーの29.56%下落)の騰落率の差は24.74%(過去1年間の平均は7.50%)と、2月の8.67%から拡大しました(1月は13.86%)。

 ○新興国市場は3月に全体で17.18%下落しました。2月は5.22%の下落、1月は4.34%の下落でした。年初来では24.92%下落、過去1年間では20.58%の下落となりました。過去2年間では27.23%の下落、過去3年間では12.25%の下落となっています。

  ⇒3月は上昇した市場がありませんでした。これに対して、2月はわずか1市場が上昇し、1月は5市場が上昇しました。2月に唯一上昇した中国のパフォーマンスが最も良く、3月は「わずかに」6.64%の下落にとどまりました。年初来では10.31%の下落、過去1年間では8.36%の下落でした。2番目にパフォーマンスが良かったのはカタールで、3月は12.70%下落、年初来では20.87%下落、過去1年間では18.43%下落となりました。一方、サウジアラビアは3月に14.26%下落し、年初来では23.14%下落、過去1年間では27.58下落となっています。パフォーマンスが最低だったのはブラジルで、3月は39.01%下落、年初来では50.54%下落、過去1年間では42.16%の下落でした。次いでパフォーマンスが振るわなかったのはコロンビアで、3月は38.10%下落、年初来では47.03%下落、過去1年間でも45.42%の下落となりました。パキスタンは3月が31.61%の下落、年初来では35.68%下落、過去1年間では41.73%下落しました。

 ○先進国市場は3月に全体で14.28%下落し、米国を除くリターンは14.81%の下落でした。年初来では22.53%の下落(米国を除くと24.35%の下落)でした。先進国市場は過去1年間では13.74%下落(同17.79%下落)、過去2年間では13.09%下落(同23.47%下落)、過去3年間では3.58%下落(同13.41%下落)しました。

  ⇒3月は2月と同様、25市場中上昇した市場はありませんでした。ちなみに1月は6市場が上昇しました。3月はスイスの下落率が最も小さくて5.87%の下落、年初来では12.76%下落、過去1年間では0.56%の上昇となりました。2番目に下落率が小さかったのがデンマークで3月に6.71%下落し、年初来では10.93%下落、過去1年間では0.22%下落しました。3番目は日本で、3月は7.83%下落、年初来では18.43%下落、過去1年間では10.00%の下落となっています。パフォーマンスが最低だったのはルクセンブルグで、3月は33.60%下落、年初来では42.63%下落、過去1年間でも46.28%下落しました。次いでパフォーマンスが振るわなかったのがオーストリアで、3月は30.00%下落、年初来では39.98%下落、過去1年間では36.67%の下落となりました。これに続いたのがオーストラリアで、3月は25.51%下落、年初来では34.00%下落、過去1年間では29.38%の下落でした。

  ⇒注意すべき点として、ドイツは3月に16.98%下落(年初来では27.24%下落、過去1年間では19.13%下落)、英国は17.92%下落(同30.79%下落、同26.61%下落)、カナダは22.76%下落(同29.95%下落、同22.84%下落)でした。

S&P 500指数

 今月はデータから二つの明確な傾向が示されました。すなわち、過去の数値は明るい内容だった反面、将来に関するデータは暗い内容となりました。S&P 500指数構成企業の2019年第4四半期の売上高は3兆600億ドルと、四半期ベースで過去最高を更新したものの、国内では店舗の閉鎖が広がり、大規模なレイオフが実施されています。

 指数構成企業の現金配当も1270億ドルと四半期ベースで過去最高を付けましたが、13社が減配を実施し(137億ドル相当)、そのうち10社は配当を停止しています。2019年第4四半期の自社株買い額も従来の減少傾向から一転し、前期比で3.2%増加しましたが、40社以上が自社株買いを停止しています。これは2019年の総額の25%に相当し、金融セクターでは72%の企業が停止しました。自社株買いは2020年の残りの期間、レッド・リスト(絶滅の恐れがある生物種リスト)に載るはずです。

 ボトムアップベースで算出した予想EPSの引き下げも始まっています。2020年第1四半期は2019年末時点から9.5%下方修正され、第2四半期は14.9%、第3四半期は10.0%、第4四半期は6.0%引き下げられ(2020年通年で10.0%下方修正)、更なる下方修正が見込まれます。

 週間新規失業保険申請件数も、これまでは失業率が低位にとどまり、旺盛な労働需要の中で過去最低水準の20万人で推移していましたが、3月26日に発表されたデータ(3月21日までの週)では過去最高の328万3000人に跳ね上がり、更に悪化すると予想されます。3月の市場は新型コロナウイルス感染が実質的に唯一の問題となり、具体的にはどの程度感染が継続するか、どの程度深刻化するかが問われました。直接的な影響としては、世界の経済活動の多くが停止したことに表れています。

 ダウ平均は3日間のラリーで20%以上上昇し、弱気相場の中にあって定義上は強気相場入りの水準まで反発しました。弱気相場から抜け出すには、終値で従来の高値を上回る必要があります。米1ヵ月物国債利回りと3ヵ月物国債利回りは短期間ながらも、2015年以来初めてマイナスを付けました。

 バーは休業となり、バーで市場に関する会話も聞かれなくなりましたが、オンラインのチャットで今回の相場への対処方法を熟知していると豪語する人と話しても、「投資家に為す術はなく、答えは神のみぞ知る」で終わるのが落ちでしょう。市場は対処法を知らず、神でもありません。この点はボラティリティに明確に表れており、日中ボラティリティ(日中の値幅を安値で除した算出)は2019年の平均0.85%、2020年年初来の2.57%(2008年は2.81%)に対して、3月は5.34%に上昇しました(2008年10月は6.92%)。

 S&P 500指数は2月末の2954.22から12.51%下落(配当込みのトータルリターンはマイナス12.35%)して2584.59で月を終えました。2月は8.41%の下落(同マイナス8.23%)、1月は0.16%の下落(同マイナス0.04%)で、終値は3225.52でした。年初来の3ヵ月間では20.00%の下落(同マイナス19.60%)、過去1年間では8.81%下落(同マイナス6.98%)しています。ダウ平均は2月末の25409.36ドルから13.74%下落(同マイナス13.62%)して21917.16ドルで月を終えました。2月は10.07%の下落(同マイナス9.75%)、1月は0.99%下落(同マイナス0.89%)で、終値は28256.32ドルでした。年初来では23.20%下落(同マイナス22.73%)、過去1年間では15.47%下落(同マイナス13.38%)しています。S&P 500指数の日中ボラティリティは2月の1.23%(1月は0.78%)から5.34%に上昇しました。年初来では2.57%、2019年は0.85%、2018年は1.21%、2017年は 0.51%(1962年以来の最低)でした。

 出来高は前月比で21%増加した2月から67%増加し(営業日数調整後)、過去1年間では前年比8%増加しました。前日比で1%以上変動した日数は22営業日中21日(上昇が9日、下落が12日)となり、年初来では30日(上昇が12日、下落が18日)となりました。3月は22営業日全てで日中の変動率が1%以上となり、11日で5%以上となりました。年初来では35日で日中の変動率が1%以上、11日(全て3月)で5%以上となっています。2019年は、1%以上の変動率を記録した日数は73日で、5%以上の変動を記録した日はゼロだった一方、2008年はそれぞれ228日と34日でした。

 セクター間のリターンのばらつきは拡大し、3月は2月と同様、11セクターの全てが下落しました(1月は6セクターが上昇)。パフォーマンスが最高のセクター(ヘルスケア、3.98%下落)と最低のセクター(エネルギー、34.97%下落)の騰落率の差は2月の8.93%(1月の17.79%から縮小)から30.99%(1年平均は9.40%)に大幅に拡大しました。騰落率の差は年初来では38.84%(2月末時点は20.90%)、2019年は40.41%となっています。3月は、損失を抑制できたかが成功を計る尺度となりました。

 3月は、ヘルスケアが「わずか」3.98%の下落でパフォーマンストップとなりました。同セクターは年初来では13.07%下落しています。生活必需品が5.86%の下落で続き、年初来で13.39%下落した一方、一般消費財は13.39%下落し、年初来の下落率を19.59%としました。情報技術は8.71%の下落で大半のセクターのパフォーマンスを上回り、年初来で12.22%下落しました(年初来でパフォーマンストップ)。金融は金利が低下する中で大きく落ち込み、3月は21.48%の下落、年初来では32.34%の下落となりました。エネルギーが34.97%下落で2月に続きパフォーマンス最下位となりました。同セクターは年初来では51.06%下落しています。

 個別銘柄の騰落状況を見ると、改善したとはいえ、3月も値下がり銘柄数が値上がり銘柄数を圧倒しました。3月の値上がり銘柄数はわずか41銘柄と(平均上昇率は6.19%)2月の26銘柄(同5.69%)からは増加しましたが、1月の208銘柄(同5.50%上昇)からは減少しました。10%以上上昇した銘柄は2月の4銘柄(同18.59%)から6銘柄(同18.42%)に増加しました。また、1銘柄が25%以上上昇しました(2月も同様)。

 一方、値下がり銘柄数は463銘柄(平均下落率は21.36%)と、2月の479銘柄(同10.18%)から減少したものの、1月の297銘柄(同7.01%)は上回りました。10%以上下落した銘柄は356銘柄(同26.22%)と2月の223銘柄(同14.56%)から増加しました。

 年初来では、30銘柄(平均上昇率は8.27%)が上昇し、そのうち9銘柄(同17.07%)が10%以上、2銘柄が25%以上上昇した一方、475銘柄(平均下落率は29.42%)が下落し、そのうち423銘柄(同32.33%)が10%以上、251銘柄(同42.04%)が25%以上、61銘柄(同61.0%)が50%以上下落しました。
 

 

 

 

 

 

 
[執筆者]
ハワード・シルバーブラット
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
シニア・インデックス・アナリスト

※このレポートは、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはサイトをご参照ください。
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配信元: みんかぶ株式コラム

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