ブリッジ Research Memo(9):「N3」との業務提携によるアジアパシフィック市場での海外収益基盤確立を目指す

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最新投稿日時:2020/03/26 15:19 - 「ブリッジ Research Memo(9):「N3」との業務提携によるアジアパシフィック市場での海外収益基盤確立を目指す」(フィスコ)

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ブリッジ Research Memo(9):「N3」との業務提携によるアジアパシフィック市場での海外収益基盤確立を目指す

配信元:フィスコ
投稿:2020/03/26 15:19
■成長戦略

ブリッジインターナショナル<7039>の事業環境においては、国内働き方改革・労働生産性向上への企業意識の高まり、AI・IoT等の技術浸透に伴うデジタルトランスフォーメーションの加速、さらにインサイドセールスの認知度上昇に伴う需要拡大が見込まれている。同社における一気通貫でのサービス提供や国内における先行者的ポジション、独自のノウハウ蓄積による競争優位性、顧客リテンション効果の高いビジネスモデルといった強みが発揮される環境だろう。

同社の成長戦略としては、BtoB企業向けインサイドセールス支援のリーディングカンパニーとしてのポジションを活用し、潜在的な成長ポテンシャルの確保、成長加速に向けたビジネスモデルの変革及び、海外成長市場の取り組みを図ることを掲げている。その上で、国内インサイドセールス市場でのオーガニックグロースの追求、デジタルインサイドセールスを軸とした高収益体制への転換、海外成長市場への進出による更なる成長機会の確保の3つを挙げている。

1. 国内インサイドセールス市場でのオーガニックグロースの追求
インサイドセールスの認知促進により、顧客ポートフォリオの拡大を継続して図っていく計画である。新サービスを含め顧客ニーズに合ったサービス提供を進め、拡大するインサイドセールス市場での新規顧客獲得及び成長を図る。既存収益基盤の顧客層である外資系IT企業、国内IT企業(通信)、国内IT企業(Sier・ソフトウェア)などIT業界で培った専門性の高いセールスノウハウなどを、収益余地の大きい顧客層である、機械、金融、製造、サービス、広告、コンサルティング分野へ拡大させる。

また、強固な顧客基盤やインサイドセールスのリーディングカンパニーとしての強みを生かし、国内大手企業と連携し、セミナー活動やオウンドメディアをすることでインサイドセールス需要の拡大及び新規獲得を図る。同社は2014年より「インサイドセールス」の普及を目的としたセミナーを開催しており、新規顧客獲得及び既存顧客の需要を喚起している。2016年よりインサイドセールスだけでなく法人営業の重要性を広く社会に伝えるメディアサイト「Sales Professional Site」を運営し、啓蒙活動を行っている。なお、セミナーにおいては、開催当初に17社、35名だった規模であるが、現在では160社強、300名近い参加者にまでなっている。

その他、新規獲得リソースの構築及び今後想定され得る競争激化を見据え、コンサルティングサービスを強化。インサイドセールス支援の上流工程を行うコンサルタント育成に注力し、インサイドセールス導入ニーズへの更なる対応を行う。さらに、顧客の成長により取引規模が拡大する主力ビジネスでは、5年以上の取引顧客の売上が急拡大する傾向にあることを鑑みれば、今後の収益拡大ポテンシャルのある5年未満の取引顧客は、全体の84.9%となる。顧客の成長に合わせた受注キャパシティ拡大を推進し、安定的な事業規模拡大を図る。

2. デジタルインサイドセールスを軸とした高収益体制への転換
同社は蓄積したノウハウやデータにより、インサイドセールスの営業支援を可能とするクラウドサービスの開発に成功しており、今後はAIを活用したデジタルインサイドセールスを確立させていくことで更なる収益機会の獲得を推進する。鍵となるのはAIサービス「SAIN」であり、基本機能能(2020年12月期の提供予定を含む)として、「モニタリング機能」「ターゲティング機能」「コールナビ機能」の3点が挙げられる。

「モニタリング機能」では、会話音声のテキスト化による可視化と様々な角度からの会話内容の分析が可能となっているだけでなく、会話内容の改善指導までを行うものとなっている。また、購買見込みの確率付与に加えて、商材ごとの見込み確率の高い顧客及び、顧客ごとの見込み確率の高い商材を、それぞれリストアップする「ターゲティング機能」を備えており、これらによって、購買見込み確率の高い順にアプローチできることが特徴である。さらに、アウトバウンドコールに適し、顧客の発話から意図や反応をリアルタイムに把握し、適切に会話をナビゲートとする「コールナビ機能」も搭載されている。

また、インサイドセールス営業支援AIサービス「SAIN」の提供では、同社の法人営業のアウトバウンドコール実績やノウハウを結集させ、顧客のニーズを最大限に享受する大型AIサービスを提供する。アウトソーシングを必要としない新規顧客への提供や既存顧客へのクロスセルを展開させる。

3. 海外成長市場への進出による更なる成長機会の確保
海外日系企業の旺盛なインサイドセールス需要を背景にマレーシアを拠点としてインサイドセールス支援サービスを開始している。業務提携先であるTKインターナショナル及びN3と協業し、マレーシアやシンガポールを拠点としてアジアパシフィック市場での海外収益基盤確立を目指す。現地の日本人の採用を中心に質の高いインサイドセールス支援を展開していく。

TKインターナショナルは、マレーシアにてITサービス事業を運営しており、2019年4月に業務提携している。マレーシア・クアラルンプールに拠点を構え、アジアをターゲット市場とする企業向けにインサイドセールス活動を行うサービスを展開している。

N3は米国、ヨーロッパ、アジアでインサイドセールスでのビジネスを展開しているグローバルカンパニーである。アジアではシンガポールに拠点を置き、各国にサービス提供を行っている。N3は、日本でのビジネスをさらに展開するに当たり、日本でのインサイドセールスサービスのリーディングカンパニーである同社と2020年1月に業務提携している。同社の経験とリソースを活用することが最適と判断した。今回のN3との業務提携を契機として、グローバル企業の日本におけるインサイドセールスを一層強力にサポートすることで、インサイドセールス事業の成長を加速させる。また、2019年より進めているアジア・ASEAN地域へのサービス提供も推進していくことになる。

4. DXの実現を支援するClieXito設立でコンサルティング事業を強化
コンサルティングサービスの強化を目的に当該事業部を分社化し、100%出資子会社ClieXito(株)(クライエクシート)を2020年4月に設立する。ClieXitoは、法人営業改革のスキルとノウハウを生かして、顧客体験(カスタマーエクスペリエンス:CX)に基づいて顧客企業の営業活動のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援するコンサルティング事業を展開する。コンサルティング業界でこれらの領域の経験者を2020年12月期で6名、2021年12月期にはさらに10名の採用を予定している。

同社のコンサルティング事業は、顧客企業の営業&マーケティングプロセスの戦略をベースに、インサイドセールスやマーケティングオートメーションの導入、その後の運用の支援など具体的な施策のコンサルティングを展開してきた。インサイドセールスAIソリューションであるSAINの販売開始を契機に、営業&マーケティング領域でのAIなどの最新テクノロジーの活用、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)の案件が増えてきている。

さらに、BtoBの営業&マーケティングプロセスにおいてエンドユーザとの接点も様々な手段が増えカスタマーエクスペリエンス(CX)の重要性も年々高まっているなかで、インサイドセールスに限らず全般的なCXの見直しに関するコンサルティングの依頼も増えている現状である。インサイドセールスの議論に加えて、CXに基づくCRM戦略の実現、DXによる営業改革など、顧客企業の上流工程へのコンサルティングサービスの提供を目的にClieXitoを設立することとした。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 村瀬智一)


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