株式会社タカショー 代表取締役社長 高岡伸夫氏
提案力とカスタマイズ力で“5番目の部屋”需要を切り拓く タカショー・高岡社長に聞く
会社名 | 株式会社タカショー |
証券コード | 東証一部 <7590> |
代表者 | 代表取締役社長 高岡伸夫 |
略歴 | 1953年和歌山県海南市生まれ。大阪経済大学卒業後、金物商社に就職。その後1980年に株式会社タカショーを設立し、1989年に当社代表取締役社長に就任。趣味はガーデニング、ギター。地元のラジオ局でDJを担当。 |
所在地 | 和歌山県海南市南赤坂20番地1 |
設立 | 1980年8月21日 |
事業 | ガーデンライフスタイルメーカーとして国内外にガーデン・エクステリア資材を販売 |
資本金 | 18億2,086万円 |
URL | https://takasho.co.jp/ |
高級施設向けカスタマイズからDIY汎用品まで対応可能
宮崎善輝氏(株式会社ウィルズ:以下、宮崎):早速、貴社の事業内容のお話をお聞かせ願えますか。
高岡伸夫氏(株式会社タカショー 代表取締役社長:以下、高岡):会社はガーデンとエクステリアのライフスタイルメーカーということでやっております。おそらく、世界で唯一の上場企業だと思います。ガーデンというのは、古くは鎌倉時代からありましてイギリス発祥です。この分野は、住宅に加えホテルなどの非住宅分野に全部ついてくるものです。このガーデンに加え、それをライフスタイルとして提案をしている企業としては当社が最大です。
当社は、ライフスタイルカテゴリ―として事業を開始しました。終戦後、衣食住の中で洋服や食事は整ってきましたが、「住」を「住=家庭」ととらえ、「家」は整備されてきましたが「庭」を整えるという事がとても不足していました。
どうして、ここにきて庭が必要になったかというと、余暇時間を過ごす場所が不足しているからです。海外では、ダイニングやテラス、そしてプールへ風が抜けるというガーデンを楽しむ暮らしが多くみられます。実は日本も過去には縁側があり、季節があり、季節との融合があるという素晴らしい「里山」文化があり、非常に豊かな暮らしをしており、世界の人は日本に憧れました。
しかし、終戦後から現代にかけて住宅が沢山作られる中で、庭でゆったりと心地よい空間を持ち、暮らしながら健康を作っていく環境や、ストレスを和らげる環境に注目が集まっています。昨今、大手住宅メーカーなどからご注文を多く頂き、非住宅分野では観光地ホテルをはじめ、世界遺産の建造物に併設されるカフェでもガーデンデザインをご使用いただいております。当社の特長としては、工場で作ったものを流通させるのではなく、個々の現場に応じたカスタマイズ設計ができるという点です。つまり、お客様のニーズをヒアリングしながら、カスタマイズをしながら制作し、提供するというガーデンメーカーとして注目をして頂いております。
宮崎:なるほど、個人の趣味、嗜好が細分化していく中で、マスに対しての供給と共に、それぞれの施設に特徴を出すための細かなカスタマイズ対応までも出来るのですね。
高岡:はい。当社の特長としては、一つの商品コンセプトをお客様のターゲットに応じて適材適所を行えるという点です。例えば、本物の竹から型取りをした高品質の製品を作りハイクラスの非住宅分野向けから、その後DIY向けとして汎用的な商品としても企画を行います。それぞれの用途に応じた商品を製作している事が出来ているのです。これは、メーカーとして非常に珍しい特長だと考えております。
宮崎:ハイクラスのお客様(高級ホテルなど)のカスタマイズにも対応しつつ、そこで得たノウハウやデザイン性をもって、戸建てやマンション等のDIY向けのマスへも転換されているということですね。
高岡:はい。そして、必ずトレンドの流れは決まっておりまして、非住宅から住宅、住宅からスタイル、スタイルからDIYという川上から川下に流れるという事は世界中で普遍です。そして、川上を制する者が、川下を制するという事は変わらないのです。これを実現する為に、縦割りの事業部と、横割りの開発部を設ける必要があります。当社はこの10年で50億円近い開発、および、工場や設備、ショールームに投資を行いました。それが功を奏し、近年業績が好調になっております。
宮崎:ハイクラス向け商品と一般消費者向けの商品では売り方が全く違うと思いますので、それに対応できるように事業部は分けつつも、開発は横ぐしで効率性を高めるという両立をされていらっしゃるという事ですね。
高岡:そうです。これにより、情報や傾向を組織内で共有する事が可能になっており、流行の予想をすぐに行う事ができます。また、世界中に販売会社を持っておりましてイギリス、ドイツ、オーストラリア(メルボルン)、アメリカ(ペンシルベニア)、インド、中国に分布しております。ハイクラス向け商品は、日本で生産したものを送り込んでおります。
一般消費者向けは、中国に2.5万坪の工場を持っておりまして、そこから世界中のチェーンストアに供給できる商品を製作しております。
ハイクラスのプロ向け商品は、オーダーを形にして販売しておりますが、ここにも当社の強みがありまして、1週間ほどで完成致します。また、それと同時に自動生産できる仕組みも用意しておりまして、予めライフスタイルの空間を演出できるパッケージを作成しております。このパッケージをネット上に展開してご興味を持っていただき、ショールームへの集客へ繋げるという導線に関しても、他社との差別化をしております。
また、大手の競合は、大量生産は可能だとしても、個別のハイクラス向けの大量生産は難しい状態です。このハイクラス向け大量生産に関しては、当社は、元々ライフスタイルメーカーとして事業を開始しましたので、可能であり強みとして持っております。
この強みがありましたので、プロ向けにも一般消費者向けにもトレンドに応じて企画生産販売をする体制も構築できました。
住宅メーカーが家と庭をセット販売出るようパッケージ化
宮崎:川上から川下まで対応が可能であることは大いなる強みなのですね。さらに世界中に販売会社をお持ちだからこそ、世界各地のトレンドを把握して商品企画に還流させるという流れも出来ているのですね。
高岡:そうです。この情報の強みは将来の成長性にも関与します。ネット及びリアルの融合に注目をしています。ネットではVRやARを活用し、リアルではショールームや個々のお客様のところへ繋げるという事を意識しています。
そして、啓発活動としては「ガーデンストーリー」という庭が好きな方がご覧になるサイトを通して行っております。このサイトのアクセスが非常に増えておりまして、月に150万PVほどあります。
ちなみに、当社は工場を2種類持っておりまして、1つ目は製品の製造をしており2つ目はソフト工場を持っております。ソフト工場というのは、住宅メーカーに不足している庭のある暮らし、空間を当社が設計して住宅メーカー様に提供をさせて頂いているものです。これにより住宅メーカー様に「家」のみならず「庭」を一緒に売って頂くことが可能となります。
宮崎:「家」と「庭」を一緒に提案し、付加価値を付けるよう後押しされているという事ですね。
高岡:お客様にとっての最大のメリットは、「家」と「庭」に対して一緒にローンが組めることです。「家」を建てた後に、後付けで「庭」を作ろうとすると予算が不足しがちです。住宅は坪単価60~80万円ほどしますが、庭は坪単価20~40万円ほどです。最初から「家」と「庭」を融合することを考え、リビングからガーデンまでの空間を一緒に設計するのです。その結果、予算が安くなるとともにローンが組めて負担感を低減でき、さらに緑とも触れ合える住環境を得ることが出来ます。
当社は、これをリビングとガーデンの中間領域として、「5th Room(R) 5番目の部屋」と呼んでおります。実は、当社が順調な理由として、プロ向けの5番目の部屋の商品のニーズが高まっている事にあります。
宮崎:新しい概念ですね。その「5th Room(R) 5番目の部屋」はどのような効果をもたらしていますか!
高岡:はい。やはり提案力が上がった事だと思います。CADを使ってパッケージを作るようになり、当社の単独販売から各住宅メーカー様仕様にカスタマイズが出来るようになりました。パッケージなので、短い納期でお客様への空間のご提案から供給ができるということでご好評を頂いております。
宮崎:戸建て住宅はそれぞれに周辺の環境や建物にも特徴があると思いますが、それぞれの特性に合わせて、パッケージを利用した提案をしているのですね。
高岡:はい。販売に関する今のトレンドは、体感、経験、といった感じる事です。そこにも対応しています。「家」と「庭」を3D VR(スリーディーヴィアール)で確認をして頂いています。この機能をネット経由で提供し、24時間利用可能として利便性を上げ、それに加え四季を感じて頂く様に設計して訴求力を高めております。四季の提案もできる事で、四季が変化しても快適に生活ができるデザインをご提案しています。ここに加え、「ローボルト(R)システム」というモノを導入しています。
宮崎:四季の移ろいに合わせた提案までできるのですが、すごいですね。「ローボルト(R)システム」とは、どういった物なのでしょうか。
ローボルト(R)システムにより住宅に光のデザイン性を付加
高岡:「ローボルト(R)システム」は、「庭」の電気工事において資格がなくてもライトの設置ができるという物です。さらに、気象庁と提携をして季節を読み取れる様にしました。2020年から販売するものは、季節に応じてYouTubeから音声を流したり、天気によって水やりを自動調節する機能も加え、2020年から販売を致します。このソフトとハードを当社が担っていきます。
宮崎:メーカーとしての印象が大きく変わりますね。ハードの製造をメインで展開されている企業様が多いイメージですが加えて、ソフトも備えられるという事ですね。
高岡:当社はグループに優秀な企業がありまして、テーマパークや観光地、競馬場のイルミネーション等を請け負っている企業があります。この会社のノウハウを活用して「庭」に自動ライトを利用したデザインも設計しております。当社はこういった各分野に強い連結会社のノウハウを利用して事業を今後も発展させていきます。プロからDIYは、様々な部分でニーズやトレンドの違いはありますが流れは1つです。ハードからソフトまで幅広く対応できる総合力がある企業として、やっと当社は基盤が固まった状態です。
宮崎:なるほど、その各機能を持っている子会社は、戦略的にグループに参加頂いたのですね!
高岡:そうです。その典型例として、庭に光がなかった所に、ローボルト(R)ライトを導入し、安全性を高めつつ、光を入れたという物です。
これからリフォームやリノベーションが盛んになるかと思いますが、様々なシーンに光を盛り込む事で提案のレベルが上がります。投資と同じで非常におもしろい業界だと思います。
当社の業界では、住宅業界の様に全国ネットワークでショールームがないことが多いのですが、唯一そのネットワークを保持しているのが当社です。例えば、勉強会開催可能なセミナー会場、ショールームにカフェが併設している所もあります。
法人向けでは教育プログラムを通じて提案テクニックを学んで頂き、個人向けでは楽しさを感じて頂ける様な狙いがあります。
住宅メーカーさんとお客様が一緒に来て頂き、外構に関する当社商品を見学頂けるように設計をしています。これも、投資として完成に時間がかかりましたが、完成してからは手ごたえを感じています。
宮崎:やはり、リアルに物が見えて触れるのは良いですね。加えて、リアルでは再現しずらい季節感などはVRで再現していくという事ですね。
高岡:特に、2020年から開始する5Gに関しても当社は時流として取り込む努力をしております。例えば、CAD、クラウド、ネットワークの観点から5Gに取り組む努力とともに、打合せ時間を少なくしてお客様がネット上でも確認できる様なパッケージを推進しながら、シェアを増やしたり、価値観を共有することで利益を高める努力をしております。これにより業績が好調になってきております。
宮崎:カスタマイズができると言われても、ゼロからお客様で考えて下さいと言われるとなかなか形にならず、時間がかかってしまうので、そのデメリットを、発想の核となるパッケージをご提案されて、そこからカスタマイズすることにより、短納期かつ満足感を実現されているということですね。
高岡:当社は、個人向けに関しては、中間富裕層と富裕層に合わせた住まいのイメージづくり、プラットフォームづくりに関しては、ショールームとパッケージ提案を通じて、継続的により良い暮らしを提案していきます。
その商品の1つとして、外構の空間の色を選べる「庭づくりパッケージ」というものがあります。これは、「住」と「庭」の一体感をより追求し、より良い暮らしに結びつく提案として準備しております。また、当社の強みとして、リフォームに強い事があります。リフォームは、1ミリ単位で企画を設計する必要がありますが、当社はそれが可能です。
宮崎:たしかに、新築はゼロからつくれますが、リフォームは既存のものを活かしつつ、現場でズレが発生しない様に緻密な設計とフレキシブルな現場対応が必要となるわけですね。
DIY出来るよう作業性を高めバルコニー空間への進出を狙う
高岡:そうです。今まではその作業を職人が行っていましたが、当社は、この作業を職人ではない人でも可能になる仕組みを作っております。最初はパッケージとして住宅メーカーさんにご提供し、その後家庭菜園に使えるDIYのキットなども違う角度から制作予定です。
宮崎:これがあれば、都心部の高層マンションや、バルコニーの空間にも利用を広げていけるということですね。
高岡:そうです。ここは大きな市場なので、取り組んでおります。
また、ワークショップに力を入れております。参加をして一緒に作れる喜びや、コミュニティーを作ることで高齢者の認知症を遅らせる効果に繋がると考えています。こういったカルチャーは工場で作るものではないと思っています。
宮崎:大変興味深いですね。料理教室の様に自分たちで作る楽しみを体験してもらうということですね。
高岡:そうです。こういった教室は増えていくと考えています。現在、直運営の店舗が3店舗ありますが、ここで利用している商品も当社で販売しておりまして定価販売ができますし、加えて受講料を払って頂くモデルです。
この事業は力を入れていきたいと考えています。既に3分以内の動画で家庭菜園のやり方が分かるサイト「つくろう」もできております。
個人を中心に地域と提供側を繋ぎ、結果として、デザインや庭を飾る楽しみを伝えていこうと考えております。
宮崎:既存の事業パーツを利用してガーデニングの楽しみ方を伝える動画を提供すると共に、受講した方が自らコンテンツを投稿する流れを作られているということですね。
高岡:はい、そうです。その流れを現在作成しております。
宮崎:そうすると、自社で全てのコンテンツを作る必要がなく、お客様が楽しみながらコンテンツを作り続けてくれるということですね。
高岡:また、「ガーデンストーリー」というサイトは、既に3000文字以上の記事コンテンツが2000個以上ありまして、検索エンジンの検索順位を上げるために偽コンテンツやリライトを排して品質担保を徹底しています。
興味があるお客様や、お店、教室、ネットサイトを繋ぎつつマーケット、つまり潜在需要を作る活動をしております。
ここに集まっている方々に将来当社のお客様になって頂きたいと考えております。
先般、「花時間」というコンテンツを公開したところ、クリック数が3倍になりました。この「花時間」は素晴らしい雑誌を制作していたのですが、当社と業務提携をし、サイトにコンテンツ提供を開始したところ、あっという間にアクセスが増え、ウェブの重要性を再認識できました。
宮崎:ユーザーの紙からウェブ媒体に転換している世の動向にしっかりと沿った動きを進められているわけですね。
高岡:そうです。その為、当社のコンテンツは、サイバー空間とフィジカル空間を融合させながら、お客様にとって一番大事にできる生活を作っていくという事を目指しております。
当社は新しいITのテクニックを入れつつ、人に重きを置き、人が感動する、幸せになる、健康になる生活、そして未来の環境を大きなテーマとして進めております。競合が今から投資をしても追いつけないものと思います。当社は冬になるとイルミネーションを日本で1番受注しており季節商材も強いですが、ガーデニングに利用する建材をリフォームに利用することで、年間を通じて安定して成長する様になりました。そのため、ここからは、成長フェーズに入っていくと考えております。
宮崎:なるほど、ガーデニングだけでは季節変動性が大きいですが、建材ニーズに対応することで年間を通じて売り上げを作る事ができ、さらに、マンションのバルコニーに対する商品販売の開拓も進められて、領域を広げて行かれているのですね。
ガーデニングにストーリー性を付加しストックビジネス化
高岡:そうです。作っている材料は同じですので、工場でお客様からのご要望に応えられます。ユニットの製品だけでは流通製品ですが、空間を第3のカテゴリーとして実行していくためにパッケージを展開しております。
パッケージのコンテンツが大事でして、住居に対してはストックマーケットとしてとらえています。今あるものをよくするために継続して提案を続ける事で、ストックビジネスとして実施をして行こうとしています。
宮崎:建材は、建設やリフォームが完了すると取引が終わりますが、その後も継続してリピート利用を促す施策として、住居のガーデンを位置づけていらっしゃるのですね。引き続きガーデンのアップデートをしたいと思わせる動機喚起をネットで行うということですね。
高岡:そうです。その施策の1つがガーデンストーリーです。これからは、いかに物を売らないビジネスを展開するかどうかが成長性に関与してくると考えております。
宮崎:物だけを売らずに、ストーリーで売るということですね。
高岡:何故かというと、日本の人口は減っているので、人口を前提とした戦略を取るとビジネスが縮小してしまいます。その為、マーケットインの発想ではなく、ユーザーインとしてビジネスの展開が必要です。商業施設などのクライアントにはインバウンドなどの観点でどのように対応すべきか考えれば、日本の人口減少とは関係ない観点でビジネスを行うことができます。
宮崎:日本の商圏だけで考えるのではなく、インバウンドまで取り込むことができるという発想で戦略を立てられているという事ですね。
高岡:ここに着目して先行投資をした結果、海外の売上が徐々に増えております。ですが、一番の強みは、国内のハイクラスから一般向けの対応の幅広さ、リアルとネットの売り方の組み合わせです。ネットとリアルの両面で広報を行っていった際、更なる成長フェーズに入っていくだろうと考えております。
宮崎:今後はどの方面を伸ばされる予定ですか!
立体感ある特殊印刷のデザインボードで売上成長を狙う
高岡:売上成長性として一番伸ばしたいのは、リフォームに使って頂けるような基礎商材の建材ルートを強化していきたいと考えております。
新しい取り組みとしては、お客様の希望する柄を1枚単位でデザインボードとして作る事が可能になりました。立体感の出る特殊な印刷技術により、差別化を行い、この差別化商品がある事で販売を優位に進めることが出来るようになります。
そして、VRを利用したパッケージの販売も行います。今後、全ての住宅メーカ、工務店が生き残る方法として、住宅は「家」と「庭」を融合し、「家庭」という付加価値を作る必要があります。「庭」の暮らしを入れないことには、よい家庭を作るという付加価値を作る事ができません。その為、当社はソフト開発を積極的に行っております。ガーデンの工場だけではなく、ソフトの工場。そこに、風、光、水を利用してお客様のステージをどう作っていくかという事が今後の目標です。
宮崎:ありがとうございます。お客様の希望する柄で立体感のあるボードを作れるのは驚きです。家と庭の融合、ガーデンとソフトの両面からアプローチすることにより、人の喜びだけでなく、健康も作ることもできているということですね。
ガーデニングを通して健康増進と医療費削減に貢献
高岡:そうです。健康を作るというのは、一番大きな課題で、日本の10大リスクの中の2つ目に位置しています。1つは、医療介護の国家予算が43兆円。医療介護費は今後カットされます。なぜかというと、今後医療介護の市場は45~50兆円になると言われています。この金額になると国家予算を超えるため、自分の健康を自分で維持する事が当然の時代になります。日本は平均寿命と健康寿命には約9年間の差があり、その差分の期間に発生した金額は政府が負担をすることになります。そのため、この差分の期間を少なくすることが必要になり、日頃の健康は自分たちで管理する事が求められます。
当社が一番手掛けやすいのは、五感と住まい方による療法です。健康を作るということは幸せを作ることですし、それと同時にお金を使わないという事が実現できます。医療費が削減されるため必須の事業になると考えています。
宮崎:庭から健康、健康から医療費削減という文脈で仕掛けられているというのは驚きですね。
高岡:病気の一番の原因はストレスです。ストレスは環境や空間から生まれることも多いので、最近のオフィスでは緑が整備されることが増えています。緑を入れるだけでストレスが軽減する事が期待できます。
更に注力しているのはスマートシティです。人口減少になり、高齢化した街づくりを再開発するという事です。当社は、医療介護及びスマートシティの2軸を産業化していく予定です。
当社は、投資家の方々に投資をして頂けるような未来を描くと共に、投資家の方々には当社のお客様になって頂くという事、当社を身近に感じてもらいつつ、株主として経営者目線で投資をして頂く事を大事にしています。
お金ではなく、暮らし中での楽しさの価値や、幸せ、健康、喜びを感じて頂くために、導入しているプレミアム優待倶楽部にも特典を出しております。
宮崎:株主の方に対して、ただの還元策というものではなく、株主が会社の持ち主であり、お客様である、というまさに本質の部分を大切にされているということですね。そこに、自社商品やプレミアム優待倶楽部もツールとして使いながら実践されているということですね。
高岡:まさに仰る通りです。株主の方を増やすために、クオカードなどを出すというのではなく、趣味嗜好性が高まるような物を提供し、時代に応じて楽しさを感じて頂ける物にしていきたいと考えております。
ガーデニング事業を通して健康寿命を延ばしたい
宮崎:株主の方々のご年齢も少し高めであり、健康寿命を延ばしたいとお考えの方は多く、ターゲット層は合致していると思います。凄いですね。1企業の視点にとどまらず、医療費削減を目指した国家レベルのお話までされていますね。。
高岡:そうですね、もっと当社のような民間がしっかりと経済活動をしていく事で法律が変わるくらいまで持っていかないといけないと考えています。今お金を持たれている60~70歳の方が、もっとお金を出したいと思ってもらうために、そしてこんな素敵な暮らし方があることを提案したいです。暮らし方にお金を費やして頂いて初めて経済活動は活発になります。
当社の一番の願いは、そこに住む方が、もっと早くここに住んでおけばよかったね、と言って頂ける様になる事です。こういう事を提言できる事がタカショーグループの強みです。
なので、タカショーグループが好きだ、と思って頂ける方に、ぜひ社会貢献に繋がるという意識を持って株主になって頂けたら嬉しいです。ヨーロッパでは、環境に寄与する会社の株を買うという事がトレンドですし、当社においても中長期的な目線でぜひご一緒して頂けたらと思います。当社ほど、社会に対して、環境に対して、暮らし方に対して明確な方向性を持っている会社はないと思います。
宮崎:ここまでの理念と深い哲学を持って事業の方向性を決められ、加えて、医療費削減という視点まで入れられているという点に感動致しました。
高岡:日本は首都圏に一極集中をしておりますので、働き方改革を実践するために、まずは通勤時間を減らすこと、ストレスを減らす事が非常に重要になってきます。そのためには、緑や自然を感じ、安らぎのある空間づくりが大事で、これは当社のガーデンが形にできると考えております。
ガーデンストーリーのテーマは花、緑、庭、暮らしです。2019年の11月からは110市町村で1500万人の方に向けて、花と緑で街づくりをしていくという方針が提案されております。また、国交省の日本ガーデンツーリズムでは、健康を作りながらガーデンツーリズムを利用して旅行や産業を活性化しよう、地方を活性化しようという取り組みが始まっています。
宮崎:ガーデン観光を目的として全国を旅行するということですね。
高岡:そうです。北海道の場合は、ガーデン街道というものがあります。ここには、ホテルやレストランがあります。出かけるにあたり、自然が多いところは、お金も使わないし、楽しいし、健康になるしという事で良い事が非常に多いです。
ドイツなどでは、庭を作ると政府から補助がおります。これは健康づくりに繋がるからです。しかも有給で3週間森を歩く権利が与えられています。これは森林療法と言い、世界のトレンドはこちらに向かっています。
宮崎:自然が健康と結びつくという事を明確なエビデンスを持って証明しないと国は後押しをしないという固いところもあるやもしれませんが、既に世界では進んでいるという事ですね。
高岡:そうです。エビデンスは結果論としてみる事ができます。自然と暮らしてもらえると、病気の削減、医療費の削減にもなります。
宮崎:過去に里山や縁側と共に健康寿命が長く暮らしていた人々がいたことを考えると、まさに温故知新ですね。それを現代に応用し、「庭」という形で実現をされているということですね。
高岡:当社は、日本ガーデンセラピー協会というものを作りました。実は六本木で株主交流会を実施した時に、東京の高層マンションなどの方は、ご近所の方と交流ができていないという事がわかりました。しかし、ガーデン教室を開催すると、近くの人とコミュニケーションを取ることができますし、当社の商品も売る事ができます。そこからこの協会は生まれました。趣味や嗜好性が高い方が集まってくると庭づくりをするようになるので、リビングガーデンを広げていきたいと考えています。
宮崎:凄いですね。住環境の変化により色々な問題が出てくるその因果関係を解明し、ガーデンという軸でハードからソフトに広げ、さらにセラピーに結びつけて社会問題を解決していくという事ですね。
高岡:高気密は体に良くありません。やはり、大きな窓を作り、外とつながる事が大事です。ガーデンというのは非常に大事な位置づけになるのでこれからしっかりと進めていこうと考えております。
宮崎:非常に感銘をうけました。理念と哲学と様々なビジョナリーなお考えがあり、先々の布石を打たれているわけですね。
高岡:ちなみに密閉空間の中で人が生かされるような環境はあまりよくないと考えています。
しかし、誇張して言うことはできないので、当社の知見からお伝えをするために書籍なども制作しております。人は、自然と交わり、コミュニティーの中で人交わっていると笑顔で健康でいる事ができるという事です。
当社は、人としての利便性の追求と、人としての健康、コミュニティーを融合させたいと考えています。それがソサイエティ5.0です。
サイバー空間とフィジカル空間を融合し、人間中心の生活が何であるかという事を追求する事が企業としての大事な考え方だと思います。
社会に役に立つ会社と世界を株主と一緒に作っていきたい
宮崎:これはぜひ個人投資家の方々のみならず、色々な方に、企業としての視点を超えて高い視座からの社会貢献を感じて頂きたいですね。最後に個人株主の方に一言お願いします。
高岡:タカショーは未来を考えて今があります。会社はそもそも株主さんがあり、そして社会の役に立つ経営をしていこうと考えております。その大事な株主の方が大事な社会の役立つ会社として、私は想いを強く経営しておりますのでどうか、当社の株主さんになって頂き、一緒に世界を作って頂けたら、社会が、世界が良くなると考えています。決して大きな話ではなく、株を持って頂くことによって初めてここからスタートになります。皆様からの前向きなご意見等も頂きながら、良い経営ができたらと考えております。宜しくお願い致します。
宮崎:本日は誠にありがとうございました。
(インタビュー日 2019/12/04)
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