■市場環境と成長戦略
3. 業績動向
(1) 過去業績
レアジョブ<6096>の過去業績を見ると、売上高については会員数の増加とともに順調に拡大してきたが、利益及び利益率に関しては伸び悩んできた経緯がある。同社の事業モデルでは限界利益率が高いため、本来であれば売上増とともに利益率も上昇するが、2014年の上場直後に為替が円安に振れた影響があったことに加えて、2016年3月期以降は事業拡大のための先行投資を行ってきたことが背景にある。具体的には、社内の管理体制強化や、従来の日本人学習者とフィリピン人講師をマッチングし、英語を話す場を提供するサービスから、英語が話せるようになるという成果を提供する英語教育サービスへの転換(品質向上)を図るためのカリキュラム開発、講師トレーニングの強化、レッスン供給センターの開設、スマートメソッド®の開発などに投資してきた。また、顧客の利便性向上と学習効率の向上を図るため、「Skype」から「レッスンルーム」への移行を2018年より開始したほか、法人・教育機関向けの営業体制の拡充にも取り組んできた。こうした先行投資については2019年3月期までで一定の目途が立ち、利益及び利益率の上昇となって反映されたのが2019年3月期からということになり、経常利益で過去最高を更新している。
(2) 2020年3月期第2四半期累計業績
2020年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比26.9%増の2,083百万円、営業利益で同895.8%増の182百万円、経常利益で同704.8%増の172百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で93百万円(前年同期は1百万円の利益)と大幅増収増益となり、半期ベースで過去最高業績を更新し、収益性も大きく向上した。
売上高の内訳を見ると、個人向けはWebマーケティング活動の強化やサービス改善に取り組んだこと、英語学習ニーズが引き続き拡大していることを背景として会員数が順調に増加したことや、Geos Language Centre Pte Ltd.の完全子会社化が寄与したことなどにより、前年同期比24.6%増の1,482百万円と計画を上回るペースで伸長した。また、法人・教育機関向けについても同33.0%増の600百万円と計画どおりの進捗となった。特に、法人向け英語研修の需要はグローバル化の進展や東京オリンピック・パラリンピックの開催による訪日外国人の増加を控えて拡大傾向にあるほか、IT人材の不足から外国人エンジニアの採用が急速に進んでおり、受け入れ側の日本人の英語研修ニーズも拡大している。こうした英語研修ニーズが高まるなかで、時間や場所の制限がなく、低コストで受講できるメリットが評価されていることが、同社サービスの高成長につながっている。
大型案件として、JR東日本から全社員を対象とした英語研修プログラムの受注を獲得しており、2019年10月より、数千人規模の受講者を対象にサービスを提供開始している(1年間のプログラム)。その他にも2020年3月期下期に売上貢献する案件を獲得していることから、下期の法人向け売上高は急拡大することが見込まれている。
費用面について見ると、売上原価は前年同期比27.6%増の809百万円となった。会員数の拡大に伴うレッスン数の増加によって講師への支払費用が同28%増の562百万円となったほか、新サービス等の費用増によりその他売上原価も同26%増の246百万円となり、売上原価率としては同0.2ポイント上昇した。
一方、販管費は生産性向上や事業効率化によるコスト抑制に取り組んだ結果、同10.3%増の1,091百万円となり、販管費率は同7.8ポイント低下した。主な項目を見ると、人件費は前期に営業人員を積極採用したことや新株予約権付与による株式報酬費用の増加もあって同20%増の521百万円となったが、広告宣伝費は前年同期に積極投下した反動と運用効率化を図ったことにより同15%減の116百万円、その他販管費は同8%増の453百万円となった。
(3) 2020年3月期見通し
2020年3月期の連結業績は、売上高で前期比23.6%増の4,500百万円、営業利益で同124.5%増の400百万円、経常利益で同106.6%増の350百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同60.5%増の200百万円と期初計画を上方修正した。第2四半期進捗率は売上高で46.3%、営業利益で45.7%と50%を下回っているが、有料会員数が右肩上がりで伸びているほか、下期は法人向けの売上急増が見込めることもあって、修正計画も保守的であり上振れする可能性が高いと弊社では見ている。
同社では下期の事業方針として、収益性については事業運営の体制が整いつつあり、フィリピン人講師を除く従業員の増加ペースが一段落することもあって、更なる生産性向上、事業効率化を図ることで向上を目指していく方針となっている。
売上高については個人向けの着実な成長に加えて、法人向けは成果保証型「スマートメソッド®コース」の拡販を中心とした売上拡大を目指し、教育機関向けでは英語教育改革が実施される2020年度以降の急成長に向けた基盤づくりを行っていく方針としている。
また、テクノロジーの活用に向けた研究開発においては、AIと音声認識技術を組み合わせてスピーキングテストの自動採点システムを開発していくほか、日々集積される大量のレッスンデータを分析し、学習効率や学習継続率を高める方法の研究にも取り組んでいく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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3. 業績動向
(1) 過去業績
レアジョブ<6096>の過去業績を見ると、売上高については会員数の増加とともに順調に拡大してきたが、利益及び利益率に関しては伸び悩んできた経緯がある。同社の事業モデルでは限界利益率が高いため、本来であれば売上増とともに利益率も上昇するが、2014年の上場直後に為替が円安に振れた影響があったことに加えて、2016年3月期以降は事業拡大のための先行投資を行ってきたことが背景にある。具体的には、社内の管理体制強化や、従来の日本人学習者とフィリピン人講師をマッチングし、英語を話す場を提供するサービスから、英語が話せるようになるという成果を提供する英語教育サービスへの転換(品質向上)を図るためのカリキュラム開発、講師トレーニングの強化、レッスン供給センターの開設、スマートメソッド®の開発などに投資してきた。また、顧客の利便性向上と学習効率の向上を図るため、「Skype」から「レッスンルーム」への移行を2018年より開始したほか、法人・教育機関向けの営業体制の拡充にも取り組んできた。こうした先行投資については2019年3月期までで一定の目途が立ち、利益及び利益率の上昇となって反映されたのが2019年3月期からということになり、経常利益で過去最高を更新している。
(2) 2020年3月期第2四半期累計業績
2020年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比26.9%増の2,083百万円、営業利益で同895.8%増の182百万円、経常利益で同704.8%増の172百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で93百万円(前年同期は1百万円の利益)と大幅増収増益となり、半期ベースで過去最高業績を更新し、収益性も大きく向上した。
売上高の内訳を見ると、個人向けはWebマーケティング活動の強化やサービス改善に取り組んだこと、英語学習ニーズが引き続き拡大していることを背景として会員数が順調に増加したことや、Geos Language Centre Pte Ltd.の完全子会社化が寄与したことなどにより、前年同期比24.6%増の1,482百万円と計画を上回るペースで伸長した。また、法人・教育機関向けについても同33.0%増の600百万円と計画どおりの進捗となった。特に、法人向け英語研修の需要はグローバル化の進展や東京オリンピック・パラリンピックの開催による訪日外国人の増加を控えて拡大傾向にあるほか、IT人材の不足から外国人エンジニアの採用が急速に進んでおり、受け入れ側の日本人の英語研修ニーズも拡大している。こうした英語研修ニーズが高まるなかで、時間や場所の制限がなく、低コストで受講できるメリットが評価されていることが、同社サービスの高成長につながっている。
大型案件として、JR東日本から全社員を対象とした英語研修プログラムの受注を獲得しており、2019年10月より、数千人規模の受講者を対象にサービスを提供開始している(1年間のプログラム)。その他にも2020年3月期下期に売上貢献する案件を獲得していることから、下期の法人向け売上高は急拡大することが見込まれている。
費用面について見ると、売上原価は前年同期比27.6%増の809百万円となった。会員数の拡大に伴うレッスン数の増加によって講師への支払費用が同28%増の562百万円となったほか、新サービス等の費用増によりその他売上原価も同26%増の246百万円となり、売上原価率としては同0.2ポイント上昇した。
一方、販管費は生産性向上や事業効率化によるコスト抑制に取り組んだ結果、同10.3%増の1,091百万円となり、販管費率は同7.8ポイント低下した。主な項目を見ると、人件費は前期に営業人員を積極採用したことや新株予約権付与による株式報酬費用の増加もあって同20%増の521百万円となったが、広告宣伝費は前年同期に積極投下した反動と運用効率化を図ったことにより同15%減の116百万円、その他販管費は同8%増の453百万円となった。
(3) 2020年3月期見通し
2020年3月期の連結業績は、売上高で前期比23.6%増の4,500百万円、営業利益で同124.5%増の400百万円、経常利益で同106.6%増の350百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同60.5%増の200百万円と期初計画を上方修正した。第2四半期進捗率は売上高で46.3%、営業利益で45.7%と50%を下回っているが、有料会員数が右肩上がりで伸びているほか、下期は法人向けの売上急増が見込めることもあって、修正計画も保守的であり上振れする可能性が高いと弊社では見ている。
同社では下期の事業方針として、収益性については事業運営の体制が整いつつあり、フィリピン人講師を除く従業員の増加ペースが一段落することもあって、更なる生産性向上、事業効率化を図ることで向上を目指していく方針となっている。
売上高については個人向けの着実な成長に加えて、法人向けは成果保証型「スマートメソッド®コース」の拡販を中心とした売上拡大を目指し、教育機関向けでは英語教育改革が実施される2020年度以降の急成長に向けた基盤づくりを行っていく方針としている。
また、テクノロジーの活用に向けた研究開発においては、AIと音声認識技術を組み合わせてスピーキングテストの自動採点システムを開発していくほか、日々集積される大量のレッスンデータを分析し、学習効率や学習継続率を高める方法の研究にも取り組んでいく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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