ドル円テクニカル戦略
■先週は、米中通商交渉合意に対する期待感から買い優勢の展開となりました。実務者通商協議に向けて、中国が米国産の輸入品に対する関税免除対象拡大を検討しているとの報道が流れたこと、
そしてトランプ大統領が10月から予定していた制裁関税の引き上げ延期を表明したことでリスク選好に動きました。
ドル円相場は106円台から108円台へと上昇しました。
■さて、ここにきて先月までの悲観論が一気に後退しました。
・米中通商交渉再開に向けて、中国サイドが手土産的な緩和策
→ 米国に歩み寄りの姿勢
・米国サイドも制裁関税の延期
→ 「暫定合意」に向けての妥協
・ボルトン大統領補佐官が解任
→ イランとの軍事衝突リスクが後退
■この一週間でこれまでのマイナス要素を解消するかのような動きに対して正直、予想外でした。
確かに、トランプ大統領だけみれば、来年の大統領選に向けて不安感を煽りたくない、また、自国の貿易をはじめ景気がリセッションに突入し、敷いては株価まで下落するといった事態に陥ることは、彼にとってこれまでの行為がすべてマイナスイメージに働いてしまいます。
つまり、トランプ大統領就任によって、これまでの平和かつ安全、友好といった全てのものが壊されたと国民に思われてしまうことを避けたかったと思います。
それゆえに中国との取引は一旦、「暫定合意」でも構わないと切り替えたとしかみえません。
■しかし、そんな暫定合意で中国サイドが納得するわけもなく、ファーウェイ問題や補助金の廃止問題といったところは特に重要視するはずなので、そんな単純な暫定合意にサインするとは思えません。
これまでの104円台からの円安進行は、円のロングポジションの巻き戻しでしかなく、この先に関しての円安は否定的にみています。
■以下、今週のポイントです。
・17-18日のFOMC…0.25%利下げはほぼ確実視。
→ドットプロットやパウエル議長の会見で年末年始の利下げ見通しに注目。
・18-19日の日銀金融政策決定会合
→黒田日銀総裁がマイナス金利の深堀を示唆している。追加緩和の可能性。
・日米通商交渉の大枠合意
→国連総会に合わせての予定されている日米首脳会談。自動車や為替条項が盛り込まれるかに注目。
■先週、すでにユーロ圏では金融緩和策が打ち出されたことで、世界的にも緩和策への方向になっています。
現状としてはこの金余り現象が株式市場に流れていることで、株価は上昇しています。
しかし、この株価が一転、下落に転じた時のスピードは尋常ではないとみています。
「株価上昇=景気好調」と通常は考えますが、今の株価上昇はどちらかというと、金余りによるものです。特に日本をみればわかるように、日銀が大量のマネーを使って株式を購入していますが、その歪みはいずれやってきます。
国内景気もこの10月の消費増税をきっかけに大きく変化するのではないかとみています。
■最後にドル円のテクニカルと戦略です。
ドル円の日足チャートをみれば、移動平均100日線(13日終値:108.12円)に到達しました。
となれば200日線(13日終値:109.43円)の意識が強くなります。
水平線でみても109円が現状の上値抵抗になるのはわかります。
108.50円や109.00円の節目を売りで待ち構えたいと考えています。
いずれにしても今週はイベント週なので結果次第でのスタンスをとりたいと考えています。