■業績動向
4. 2019年12月期の業績見通し
クロス・マーケティンググループ<3675>は2019年12月期業績見通しについて、売上高20,000百万円(前期比14.3%増)、営業利益1,250百万円(同30.9%増)、経常利益1,109百万円(同32.0%増)、親会社株主に帰属する当期純損失490百万円(前期は506百万円の当期純利益)を見込んでいる。第2四半期の未達、のれんの減損損失の発生を受け、親会社株主に帰属する当期純損失を計上する予想となったが、売上高、営業利益、経常利益は期初の見通しのままである。これは、国内の各事業が引き続き好調に推移する見通しであること、第2四半期に業績未達となった海外も下期は当初見通しどおりで見ていること、2019年12月期下期に計上見込みだったのれん償却費約70百万円が減損損失により費用化されなくなったことが背景で、下期の業績は底固い展開が予想されるくらいである。しかし、海外リサーチ事業の事業進捗に一定の不安定さが残ること、国内において消費税増税の影響がある程度想定されることから、親会社株主に帰属する当期純利益以外は期初の見通しのままとなった。
Kadence減損も中期成長イメージはさほど変わらない
5. 中期成長イメージ
今後中期的に、高い成長力が見込めるデジタルマーケティングやITといった領域において、新サービス・新ビジネスの開発やグループ連携の強化を推進する方針である。このため、ITソリューション事業、Webプロモーション事業を含め、デジタルマーケティングやビッグデータに対し積極的な投資を継続する計画である。また、主力の国内リサーチ事業においては収益力強化に向け、コンサルティングビジネスなどリサーチの上流域やメディカルのような成長領域への投資を積極化する計画である。業界で2~3%という安定成長が期待される国内リサーチでは、RPA(Robotic Process Automation:業務の自動化)やAI(Artificial Intelligence:人工知能)も含めたシステム投資による業務の自動化や生産性の向上を推進し、様々な顧客の課題を踏まえた人材育成プログラムも構築する方針である。足元業績順調な国内の事業に関しては、中期的にも成長をけん引するすることが期待されている。
一方、海外リサーチ事業の今後について、考え方や大きな流れは変わらないと思われ、アジアや米国へは進出すべきで、手段としてのM&Aも必要と考える。しかし、Kadenceにはリカバリー策が必要だ。事業推進に集中できる環境を構築していくため、海外子会社のマネジメントについて、経営全般から事業責任者へと役割を明確にし、会計や財務を日本側でコントロールしていく方針となった。もちろんKadenceも、同様に日本側のコントロールを強化していくことになるだろう。その後は、米中貿易戦争などから収益が見込めなくなった拠点を統廃合する一方、人口ボーナス国については積極投資を続けていく予定である。同社は中期再成長へ向けて、経費削減体制やガバナンスの強化などにより早期に事業を立て直し、今期をボトムに海外事業の収益化を図っていく方針である。既にBPO拠点やインドR&Dセンターの開設を進めているが、中長期的には、マーケティングソリューション企業として高付加価値で高生産性の事業構造を背景に、海外事業が成長ドライバーになるという考えに変わりはない。
国内外でマーケティング関連市場は堅調に推移、同社の事業領域の拡大も順調に進んでいる。紆余曲折はあったものの、BPO拠点による業務集約化や新技術開発に向けたインドのR&Dセンターの開設など、海外事業の基盤構築も進行している。一方、事業領域の拡大については、メディカルやミステリーショッパー(覆面調査)など新領域への進出、プロモーション事業(ディーアンドエム)やエンジニア派遣事業など周辺事業も育っている。さらに、デジタルマーケティングなどの新たな技術への対応も進んでいる。Kadenceののれん減損のイメージは少々残るが、「総合マーケティングソリューショングループ」へ向けた土台作りは着実に前進していると言うことができる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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4. 2019年12月期の業績見通し
クロス・マーケティンググループ<3675>は2019年12月期業績見通しについて、売上高20,000百万円(前期比14.3%増)、営業利益1,250百万円(同30.9%増)、経常利益1,109百万円(同32.0%増)、親会社株主に帰属する当期純損失490百万円(前期は506百万円の当期純利益)を見込んでいる。第2四半期の未達、のれんの減損損失の発生を受け、親会社株主に帰属する当期純損失を計上する予想となったが、売上高、営業利益、経常利益は期初の見通しのままである。これは、国内の各事業が引き続き好調に推移する見通しであること、第2四半期に業績未達となった海外も下期は当初見通しどおりで見ていること、2019年12月期下期に計上見込みだったのれん償却費約70百万円が減損損失により費用化されなくなったことが背景で、下期の業績は底固い展開が予想されるくらいである。しかし、海外リサーチ事業の事業進捗に一定の不安定さが残ること、国内において消費税増税の影響がある程度想定されることから、親会社株主に帰属する当期純利益以外は期初の見通しのままとなった。
Kadence減損も中期成長イメージはさほど変わらない
5. 中期成長イメージ
今後中期的に、高い成長力が見込めるデジタルマーケティングやITといった領域において、新サービス・新ビジネスの開発やグループ連携の強化を推進する方針である。このため、ITソリューション事業、Webプロモーション事業を含め、デジタルマーケティングやビッグデータに対し積極的な投資を継続する計画である。また、主力の国内リサーチ事業においては収益力強化に向け、コンサルティングビジネスなどリサーチの上流域やメディカルのような成長領域への投資を積極化する計画である。業界で2~3%という安定成長が期待される国内リサーチでは、RPA(Robotic Process Automation:業務の自動化)やAI(Artificial Intelligence:人工知能)も含めたシステム投資による業務の自動化や生産性の向上を推進し、様々な顧客の課題を踏まえた人材育成プログラムも構築する方針である。足元業績順調な国内の事業に関しては、中期的にも成長をけん引するすることが期待されている。
一方、海外リサーチ事業の今後について、考え方や大きな流れは変わらないと思われ、アジアや米国へは進出すべきで、手段としてのM&Aも必要と考える。しかし、Kadenceにはリカバリー策が必要だ。事業推進に集中できる環境を構築していくため、海外子会社のマネジメントについて、経営全般から事業責任者へと役割を明確にし、会計や財務を日本側でコントロールしていく方針となった。もちろんKadenceも、同様に日本側のコントロールを強化していくことになるだろう。その後は、米中貿易戦争などから収益が見込めなくなった拠点を統廃合する一方、人口ボーナス国については積極投資を続けていく予定である。同社は中期再成長へ向けて、経費削減体制やガバナンスの強化などにより早期に事業を立て直し、今期をボトムに海外事業の収益化を図っていく方針である。既にBPO拠点やインドR&Dセンターの開設を進めているが、中長期的には、マーケティングソリューション企業として高付加価値で高生産性の事業構造を背景に、海外事業が成長ドライバーになるという考えに変わりはない。
国内外でマーケティング関連市場は堅調に推移、同社の事業領域の拡大も順調に進んでいる。紆余曲折はあったものの、BPO拠点による業務集約化や新技術開発に向けたインドのR&Dセンターの開設など、海外事業の基盤構築も進行している。一方、事業領域の拡大については、メディカルやミステリーショッパー(覆面調査)など新領域への進出、プロモーション事業(ディーアンドエム)やエンジニア派遣事業など周辺事業も育っている。さらに、デジタルマーケティングなどの新たな技術への対応も進んでいる。Kadenceののれん減損のイメージは少々残るが、「総合マーケティングソリューショングループ」へ向けた土台作りは着実に前進していると言うことができる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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