香港ドル・米ドルペック制崩壊を企画するヘッジファンドと中国の外貨準備
これで騒動は収まるのかと思いきや、さらに第二幕目が待ち受けているとの見方が浮上しています。
つまりは香港騒動は最終的に香港ドルのドルペック制廃止につながっていくとの見方です。
企画しているヘッジファンドの動きと合わせて考察したいと思います。
かつて香港ドルのドルペック制を崩そうと挑んだのはジョージ・ソロス氏。
1998年のアジア通貨危機の時でした。
2011年にはビル・アックマン氏も香港ドルに仕掛けましたが敗退。
2018年半ばに空売り投資家として知られる運用マネジャー、クリスピン・オデイ氏撤収。ちなみに彼は現在も「香港ドルは空売りしても割に合わない」という見方だそうです。
このように著名投機家がことごとくやられたにも関わらず、現在、ふたたび、香港ドルに挑むヘッジファンドが登場しているといわれます。名前が浮上しているのはヘイマン・キャピタル・マネジメントのカイル・バス、クレスキャット・キャピタルのケビン・スミス、トリウム・キャピタルのトーマス・ロデリックの3氏。
彼らは香港ドルと米ドルのドルペックが済し崩され、香港ドルが急激に下落すると読んで空売りしているようです。
が、香港は日本円にして48兆円弱の外貨準備があり、香港ドル買い支えという行動に出た場合、かなり手ごわい。
が、世界的低金利の今、マイナス金利の通貨を仕込んで売り崩しに大枚をはたいて勝算が増している可能性はあるのではないか?
中国が加勢して香港ドル買い支えに出た場合、どうでしょうか。
中国の外貨準備は最新ニュースより、増加していて現在のところ約3兆ドル。
日本円で307兆円ほどになります。
香港ドル安に介入する体力は十分ありますが、元安と香港ドル安、関税合戦と併せて考えると今の中国にとってけして愉快な話ではないと思います。香港ドルを買い支えればドル資産流失。
ドルが市場に流出することによってドル安進行。これを受けたドル安円高で日本は米国債を買うことにより、円売りドル買い。
ちなみにこの行動により一定の円高歯止めにはなります。
そして、アメリカにとってやってみる価値のある対中戦略だろうと思います。
香港のドルペック制が崩れれば、流れが中国元とのペック制崩しに変わるかもしれず、その時に中国の外貨準備が相当数減っていれば、アメリカにとって勝算は描けるかもしれません。
いずれにしても変動要素の変数となり得るので関心をもって見守りたいですね。