米ドル/円、相場動意は「パウエルFRB議長<トランプ大統領」?
足もとの注目メルクマール&材料について
【注目メルクマール】フィボナッチ・リトレースメント
【注目材料1】ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長講演内容
【注目材料2】講演後の“トランプ砲”
【見通し】“口先介入”なら、“全値押し”水準(=104.580円)までの下押しトリガーとなる可能性も
注目すべきは、ジャクソンホール会議よりも“トランプ砲”?
足もとの米ドル/円相場は、1月3日のフラッシュ・クラッシュ時に付けた安値L(104.58円)と4月24日に付けた高値H(112.360円)を結んだ、フィボナッチ・リトレースメント(以下、FR)の76.4%ライン(≒106.416円、別図赤色点線)付近を推移しています。
今年4月に高値を付けた後の米ドル/円の動向を辿ってみると、以下のような事象が確認できます。
1) 4月24日に112.360円を付けた後、米ドル/円はFR・38.2%ライン(≒109.388円、別図緑色点線)まで下押しし、同ラインを下値メドとして意識する相場展開に。<38.2%押し>
2) 5月31日、トランプ大統領による対メキシコ関税賦課ツイートもあり、米ドル/円はFR・38.2%ラインを割り込み、同日中にFR・50.0%ライン、いわゆる「半値押し」水準(≒108.470円)に到達。その後、FR・61.8%ライン(≒107.552円、別図青色点線)付近まで下押しし、6~7月の約2ヵ月間は、概ねFR・61.8%ラインとFR・38.2%ラインをメドとする「107.552~108.470円」での“往って来い”の相場展開に。<61.8%押し>
3) 8月1日、トランプ大統領による対中追加関税第4弾ツイートもあり、米ドル/円はFR・61.8%ラインを割り込み、8月12日には105.051円までの下押しフローに。その後の反発フローもあり、前述通り、FR・76.4%ライン(≒106.416円、別図赤色点線)付近を推移する相場展開に。<76.4%押し>
これら1)~3)を概括した上で、チャートの傾向・パターン分析をしてみると、米ドル/円のFR重要ラインを割り込み、フェーズ(局面)変化を伴うような大陰線出現のきっかけとなり得たのが、奇しくもトランプ大統領のツイート(=いわゆる“トランプ砲”)。
マーケット参加者の耳目は、22~24日の日程で開かれているジャクソンホール会議(テーマ:「金融政策の課題」)に集まっており、特に、日本時間本日23時に予定されているパウエルFRB議長の講演内容が足もとの相場動意となる可能性も。
同議長の講演内容がタカ派orハト派であるのかということは極めて重要な相場判断要素であることは言うまでもありませんが、その一方で、前述したチャートの傾向・パターン分析上、講演後のトランプ大統領のツイート内容がそれを凌駕する可能性についても注視する必要があると考えます。
当該ツイートは不確定要素であり、同時に不確実性を孕んでいることを前提とした上で、筆者個人の見立てを申し上げれば、相場材料としては、「ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長発言<講演後のトランプ大統領のツイート内容」と捉えています。
よって、仮にジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長講演後に、トランプ大統領による金融政策に関する“口先介入”とも取れるツイートが発信された場合は、米ドル/円相場は、FRの「全値押し」水準である「104.580円」(別図黒色点線)までの下押しに向かう“トリガー”となる可能性について、想定した方が良さそうです。
配信元: