■今後の見通し
1. 2020年5月期は一時的費用を吸収して営業・経常増益予想
日本プロセス<9651>の2020年5月期の連結業績予想は、売上高が前期比5.6%増の7,620百万円、営業利益が同3.2%増の635百万円、経常利益が同3.0%増の685百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同6.2%減の470百万円としている。なお、オフショア開発子会社の中国・IPD大連を新規連結した。
全事業とも受注が好調に推移して増収予想である。各セグメントの利益率はおおむね2019年5月期並みの見込みとしている。コスト面では、働き方改革や人材投資への取り組み継続に伴う費用の増加などに加えて、本社及び事業所の移転・拡張に伴って一時的費用(総額約95百万円)も発生するが、請負化進展と受注条件改善、オフショア開発拡大とプロジェクト管理強化、さらに社員モチベーション上昇による生産性向上効果などで吸収して、小幅ながら営業・経常増益予想としている。親会社株主に帰属する当期純利益は2019年5月期に計上した特別利益が剥落するため減益予想としている。
2. セグメント別重点取り組み
セグメント別の重点取り組みは下記のとおりである。
(1) 制御システム
エネルギー関連や鉄道関連が堅調で、台湾新幹線リプレース案件も順調に推移する見込みだ。オフショア開発拠点のIPD大連を活用して、売上・利益増を目指す。また、注力分野として、AIを活用した開発の提案を積極推進する。
(2) 自動車システム
主力事業化した自動運転・ADAS関連や電動化関連が好調に推移する見込みだ。2019年6月に新設した車載システム事業部を中心として、組込システムや特定情報システムとの連携も強化し事業拡大を積極推進する。請負案件の増加に対応して、IPD大連をオンサイト/オフショア開発で活用する。
(3) 特定情報システム
2019年5月期は一時的な作業効率悪化が発生して減益だったが、2020年5月期は請負開発が拡大して利益率回復を見込んでいる。また、大型請負案件の受注に注力するとともに、画像認識・識別関連で自動車分野以外の利用分野や新規顧客への参入も狙う。
(4) 組込システム
半導体関連は市況が低迷しているが、NAND型フラッシュメモリ関連の引き合いが増加しているため、受注拡大を目指す。また、自動運転関連、IoT関連、医療関連など次の中核ビジネスへのシフトにも注力する。
(5) 産業・公共システム
駅務機器関連が堅調に推移する見込みだ。また、IoT関連、ロボティクス関連、AI関連の新規案件受注にも注力する。航空/宇宙関連は一部案件が保守フェーズに入ったが、新たな中核プロジェクトで体制拡大を狙う。
(6) ITサービス
保守・運用サービスで鉄道子会社のエンジニアリングサービスが堅調に推移し、次の注力分野としてパブリッククラウド案件の拡大を推進する。
3. 新たな成長ステージ
同社の収益は2016年5月期と2017年5月期に2期連続で減収・営業減益となり一旦縮小した形だが、2018年5月期と2019年5月期は2ケタ増収、2ケタ営業・経常増益と拡大した。そして2020年5月期は、親会社株主に帰属する当期純利益が特別利益のはく落で減益予想だが、需要が高水準に推移し、一時的費用の発生を吸収して営業・経常増益予想である。会社予想は保守的な印象が強く、上振れも期待される。新たな成長ステージに入ったと言えそうだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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