■要約
アドバネクス<5998>は、精密ばねの大手専業メーカー。世界経済の4割を占める米国と中国の貿易摩擦の広がりとイギリスのEU離脱が混迷の度を増していることから、製造業は中国及びイギリスからの生産移管が喫緊の課題となっている。同社は、海外17ヶ所の製造拠点、グローバル並行生産体制により生産移管に迅速、効率的な対応が可能。2019年6月に、2015年より開始した世界の工場面積を倍増にする拡張計画が完了したことから、2021年3月期より本格的な収穫期入りを見込む。
1. 米中貿易摩擦とブレグジットに伴う生産移管の受け皿となる
グローバルな生産体制は、国内5拠点、海外17拠点で形成される。海外拠点数は、精密ばね業界において群を抜いている。2015年以降、中期経営計画により進出エリアを拡大する計画を遂行し、2019年6月のチェコ工場の開設と埼玉工場増設により完了した。日本はもとより、生産移管の受け皿となるインドネシア、ベトナム、インド、チェコ、米国、メキシコにおいて工場を開設もしくはM&Aを行った。同社は、グローバル並行生産体制をとっている。日本で量産に必要な装置、金型、ツールなど準備して海外拠点に搬送し、生産を軌道に乗せるための支援体制を整えており、製品の品質均一化を保証することができる。グローバル展開する顧客の購買部とは同社の営業窓口が一本化されるグローバル発注システムを採っていることから、生産アロケーションの地域別変更にも迅速に対応できる。
2. 2019年3月期の業績と2020年3月期の業績予想
2019年3月期は売上高が前期比3.3%増の20,967百万円、営業利益が同74.4%減の66百万円であった。インドネシア子会社に関するのれんの減損損失の発生などで特別損失121百万円を計上し、親会社株主に帰属する当期純損失は107百万円となった。2020年3月期は、売上高が同4.4%増の21,900百万円、営業利益が同396.1%増の330百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が50百万円の黒字転換を見込む。営業利益の変化率は大きいものの、売上高営業利益率は1.5%にとどまる。設備投資額は、ピークとなった2019年3月期の4,144百万円から2,118百万円に減少するが、減価償却費は1,008百万円から1,215百万円に増加する予算となっている。
3. 先行投資時期から収穫期入りの転換点を迎える
2019年3月期の営業利益は66百万円にとどまったが、黒字工場の利益合算額が13億円に上った。開設5年未満の“未成年”工場が、未だ損失を計上している。最大の損失を出したメキシコ工場は、自動車産業向け品質マネジメント規格IATF16949を取得しており、2020年3月期後半にブレークイーブンに到達し、2023年3月期には稼ぎ頭になると期待されている。自動車専用のスマート工場として新設された埼玉工場は、立ち上がりこそ品質マネジメント規格の認証取得に手間取ったが、2020年3月期から次世代自動車基幹部品向けの量産が開始される。想定よりも新規の受注案件が多く、工場拡張工事を前倒しした。同工場は2年以内の黒字化を目指す。2020年3月期以降は、“未成年”工場の損失が縮小するだけで、大幅な増益が継続されよう。
■Key Points
・2020年3月期から収穫期入りで利益の高成長が見込まれる
・顧客の生産移管に迅速・効率的に対応が可能
・日本の高い労働生産性を海外に移植し、最低賃金高騰に対応する
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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アドバネクス<5998>は、精密ばねの大手専業メーカー。世界経済の4割を占める米国と中国の貿易摩擦の広がりとイギリスのEU離脱が混迷の度を増していることから、製造業は中国及びイギリスからの生産移管が喫緊の課題となっている。同社は、海外17ヶ所の製造拠点、グローバル並行生産体制により生産移管に迅速、効率的な対応が可能。2019年6月に、2015年より開始した世界の工場面積を倍増にする拡張計画が完了したことから、2021年3月期より本格的な収穫期入りを見込む。
1. 米中貿易摩擦とブレグジットに伴う生産移管の受け皿となる
グローバルな生産体制は、国内5拠点、海外17拠点で形成される。海外拠点数は、精密ばね業界において群を抜いている。2015年以降、中期経営計画により進出エリアを拡大する計画を遂行し、2019年6月のチェコ工場の開設と埼玉工場増設により完了した。日本はもとより、生産移管の受け皿となるインドネシア、ベトナム、インド、チェコ、米国、メキシコにおいて工場を開設もしくはM&Aを行った。同社は、グローバル並行生産体制をとっている。日本で量産に必要な装置、金型、ツールなど準備して海外拠点に搬送し、生産を軌道に乗せるための支援体制を整えており、製品の品質均一化を保証することができる。グローバル展開する顧客の購買部とは同社の営業窓口が一本化されるグローバル発注システムを採っていることから、生産アロケーションの地域別変更にも迅速に対応できる。
2. 2019年3月期の業績と2020年3月期の業績予想
2019年3月期は売上高が前期比3.3%増の20,967百万円、営業利益が同74.4%減の66百万円であった。インドネシア子会社に関するのれんの減損損失の発生などで特別損失121百万円を計上し、親会社株主に帰属する当期純損失は107百万円となった。2020年3月期は、売上高が同4.4%増の21,900百万円、営業利益が同396.1%増の330百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が50百万円の黒字転換を見込む。営業利益の変化率は大きいものの、売上高営業利益率は1.5%にとどまる。設備投資額は、ピークとなった2019年3月期の4,144百万円から2,118百万円に減少するが、減価償却費は1,008百万円から1,215百万円に増加する予算となっている。
3. 先行投資時期から収穫期入りの転換点を迎える
2019年3月期の営業利益は66百万円にとどまったが、黒字工場の利益合算額が13億円に上った。開設5年未満の“未成年”工場が、未だ損失を計上している。最大の損失を出したメキシコ工場は、自動車産業向け品質マネジメント規格IATF16949を取得しており、2020年3月期後半にブレークイーブンに到達し、2023年3月期には稼ぎ頭になると期待されている。自動車専用のスマート工場として新設された埼玉工場は、立ち上がりこそ品質マネジメント規格の認証取得に手間取ったが、2020年3月期から次世代自動車基幹部品向けの量産が開始される。想定よりも新規の受注案件が多く、工場拡張工事を前倒しした。同工場は2年以内の黒字化を目指す。2020年3月期以降は、“未成年”工場の損失が縮小するだけで、大幅な増益が継続されよう。
■Key Points
・2020年3月期から収穫期入りで利益の高成長が見込まれる
・顧客の生産移管に迅速・効率的に対応が可能
・日本の高い労働生産性を海外に移植し、最低賃金高騰に対応する
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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