アルファ Research Memo(6):100年企業を目指し新中期経営計画で新たな成長ステージの足固めを進める

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最新投稿日時:2019/07/10 15:26 - 「アルファ Research Memo(6):100年企業を目指し新中期経営計画で新たな成長ステージの足固めを進める」(フィスコ)

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アルファ Research Memo(6):100年企業を目指し新中期経営計画で新たな成長ステージの足固めを進める

配信元:フィスコ
投稿:2019/07/10 15:26
■中長期の成長戦略

1. 100年企業に向けた新中期経営計画「MP2022」
アルファ<3434>は2023年3月期の創業100周年に向け、2020年3月期から2023年3月期を対象期間とする中期経営計画(MP2022)を策定した。この中で、2023年3月期売上高70,000百万円、営業利益率6%以上の達成を目標とした。目標達成に向けた基本方針として、成長のための新事業・新製品開発、安定性確保のための収益基盤の強化、成長と安定を実現するための人材育成を掲げている。2020年3月期予想はこれに沿った形で、売上高63,000百万円、営業利益3,150百万円を提示しているが、この1年は新たな成長ステージの足固めを進める年として、先行投資を実行しつつ収益を確保する方針と思われる。

2. 事業別の業績見通しと注力点
2023年3月期の事業別業績見通しは、売上高で自動車部品事業が57,000百万円(年平均3.2%増)、セキュリティ機器事業13,000百万円(年平均7.8%増)としている。

自動車部品事業については、欧州でのキーセット事業に加え、ドアハンドル事業への参入のための整備に注力する。具体的にはドアハンドル事業参入に当たってメッキから塗装への流れがある欧州では塗装設備が必要不可欠であった。同社は塗装設備について、2018年10月2日付でSPPPを取得し、環境規制の厳しい欧州で既存設備を活用してビジネスの早期立ち上げが可能となった。なおSPPPはスロバキア、フランスに工場を有するが、スロバキア工場は全自動化された新鋭工場である。またドアハンドルの開発についてはチェコで行い、既にエンジニアの教育は2018年1月より既に始めている。現状、年間4,000百万円規模の売上があり、2020年3月期はフルに連結寄与するが、同社ユーザーには欧州の主要自動車メーカー向けに塗装部品の納めているTire1企業が数多くあり、将来的には同社が現在メインとしているVW以外でのビジネス拡大も視野に入ってくる。なお欧州ハンドル事業については自動車の認証もあり、2022年以降に具体的に売上が実現される見通しで、2022年以降、欧州でもキーセットとドアハンドル事業の両輪で事業拡大が期待される。

また中国においては2019年4月に子会社のアルファ広州を通じて中国メッキ会社のADVANCONを孫会社化した。ADVANCONは2014年4月設立の若い企業であり、主に自動車用外装部品(フロントグリル、ドアハンドル等)の成形・メッキ・組立を事業主体としており、主にBYDを最大ユーザーに中国系有力自動車部品メーカーに製品を納入している。同社は最新鋭の設備を持ち、しかもADVANCONの工場は表面処理を行う企業が集まる工業団地内に立地し、共同の大型廃液処理設備の利用が可能で、今後の中国での環境規制強化のなかで優位な立地となっている。既に同社の中国花都メッキ工場はフル生産状況で、しかも環境規制強化の中で増設が難しい局面であり、ADVANCONの売上規模が2018年12月期4,333万元(約700百万円)でしかないものの、生産設備能力は年間4,000~5,000百万円規模あると見られ、2023年3月期以降の中国ビジネス拡大に大きく寄与してくるだろう。

日本については自動車部品事業の拡大は三菱自動車への納入拡大の可能性が期待されるものの、当面は非製造部門の徹底したスリム化などを実行し、営業黒字化を目指す。

上記のように、自動車部品事業のグローバル展開では将来の拡大に向けて先行投資を怠りなく実行しているが、2023年3月期でも同部門の売上高は570億円規模しか想定しておらず、年平均成長率は3.2%増に止まる見通し。現在の先行投資の効果が本格的には2023年3月期以降になるとみられるものの、必ずしも高い成長を見込んでいるわけではない。その大きな阻害因子として、ミネベアミツミ<6479>によるライバル企業で経営不振に喘いでいたユーシン<6985>の経営統合が挙げられる。2019年4月10日にTOBが成立、2018年12月期の売上高148,553百万円のうち、キーセットやドアハンドルなどの自動車部品事業売上は122,155百万円、同部門の営業利益は5,481百万円規模を誇る。ユーシンは2013年に欧州Valeo社からアクセスメカニズム事業(UAM事業)を買収後、同事業の運営がうまく機能せず経営が停滞していたが、今回の統合で精密技術を持つミネベアミツミのコア技術とグローバルな生産拠点を生かしたシナジー効果をフルに生かし、特にUAMを中心とするコスト競争力強化、欧州での売上拡大とコストシナジーの本格化、新たな事業展開を仕掛けてくる見通しにある。ある意味で同社のグローバル展開において新規ユーザー獲得面で大いに脅威となるだけに、その動向には注意を要する。

セキュリティ機器事業は年率7.8%成長を見込んでいるが、国内電子錠では新築94万件に対して、戸建てでの採用比率が30%程度に対し、賃対住宅では採用比率が低いことから、インバウンド需要も含め同分野への拡販を図るとともに、全体での採用比率向上で売上拡大を目指す。またターミナルロッカーについては駅コインロッカーで宅配便(不在再配達)の受取対応を付加した「中継機能付きロッカー」の投入、さらにはスマートフォンでコインロッカーの予約ができる新サービスの「スマホdeロッカー」なども開始、さらにIoT対応・通信機能を付与した新型ターミナルロッカー「AISシリーズ」を市場投入し同分野の売上伸長を目指す。また、急増する訪日外国人旅行客への対応などを背景にホテルなどでの「QRコード対応セルフクロークロッカー」など、多様化するライフスタイルに合わせた様々なセキュリティ機器の投入、セキュリティサービスの実施で収益拡大を図る計画にある。

なお、同分野においてもミネベアミツミがユーシンの住宅機器部門(旧昭和ロック(株)の事業を1998年に買収、売上高は2018年12月期2,307百万円、営業利益61百万円)を利用し、ミネベアミツミのスマートハウス構想の中で住宅・ビル用スマートロック事業に本格拡大を目論んでおり、その動向には注意を要する。

現状、2020年3月期の収益見通しについては、米中貿易摩擦以外でも内外の不確定要素が山積している状況で、同社の企業努力だけで収益目標達成が可能とは言い難いものの、100年企業を目指し新中期経営計画「MP2022」を着実に実行していくことで、新たな成長ステージを実現していけると期待したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)


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配信元: フィスコ

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