S&P500月例レポート(2019年5月配信)<後編>

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最新投稿日時:2019/05/14 11:42 - 「S&P500月例レポート(2019年5月配信)<後編>」(みんかぶ株式コラム)

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S&P500月例レポート(2019年5月配信)<後編>

●世界の株式市場

 ○世界の株式市場は2月の2.59%上昇、3月の0.78%上昇に続いて、4月は3.11%上昇となり、良好な月となりました。米国市場が引き続きアウトパフォームし、米国市場の3.88%上昇を除外すると、グローバル市場は2.23%の上昇でした。過去3カ月間では、グローバル市場は6.60%の上昇となり、米国市場の8.67%上昇を除外すると、4.29%の上昇でした。年初来では、グローバル市場は15.09%上昇し、米国の17.87%の上昇を除けば、12.02%の上昇でした。過去1年間では、グローバル市場は2.06%の上昇となりましたが、米国の10.48%の上昇を除くと6.38%の下落でした。より長期的な指標は米国がアウトパフォームしていることを引き続き示しており、過去2年間のグローバル市場は米国(22.61%上昇)を含めれば14.58%の上昇、米国を除くと6.35%の上昇、過去3年間では29.66%の上昇、米国(42.47%上昇)を除くと17.01%の上昇でした。

 ○4月にS&Pグローバル総合指数の時価総額は1兆6,370億ドル増加しました(3月は3,590億ドル増)。米国以外の市場の時価総額は4月に5,310億ドル増加し(同1,750億ドル増)、米国市場は1兆1,060億ドル増加しました(同1,840億ドル増)。

 ○4月のまとめ

  ・世界の株式市場は4月に3.11%上昇しました。米国市場は3.88%上昇し、米国を除く世界市場は2.23%上昇しました。過去3カ月では世界市場は6.60%上昇、米国の8.67%の上昇を除くと、4.29%上昇しました。年初来では、世界市場は15.09%上昇し、米国の17.87%の上昇を除けば、12.02%の上昇でした。過去1年間でみると、世界市場は2.06%上昇し、米国の10.48%上昇を除くと、6.38%の下落となりました。

  ・新興国市場は4月に1.98%上昇し、過去3カ月間では4.19%上昇、年初来では12.23%上昇、過去1年間では5.76%の下落となりました。

  ・先進国市場は4月に3.24%上昇(米国を除くと2.31%上昇)、過去3カ月間では6.88%の上昇(同4.31%上昇)、年初来では15.43%の上昇(同11.96%上昇)、そして過去1年間では2.99%の上昇(同6.58%下落)となっています。

 ○11セクターのうち8セクターが上昇する中、セクター間のリターンのばらつきは拡大しました(3月も8セクターが上昇)。パフォーマンスが最高のセクター(情報技術セクター、6.00%上昇)と最低のセクター(ヘルスケアセクター、2.46%下落)の騰落率の差は8.45%で(過去1年間の平均は7.35%)で、3月の6.38%から拡大しました。年初来の騰落率の差は20.13%(3月は11.54%)となりました。

 ○新興国市場は3月の1.56%上昇に続き、4月も1.98%上昇しました。過去3カ月間のパフォーマンスは4.19%の上昇、年初来では12.23%上昇、過去1年間では5.76%の下落となっています。過去2年間の騰落率は10.39%の上昇、過去3年間では28.73%の上昇となりました。

  ・4月は23市場のうち15市場が上昇しました。3月は11市場が上昇していました。上昇率が最も高かったのはギリシャで4月に7.16%上昇しました。年初来では21.83%上昇しています。2番目は南アフリカで、4月は6.81%上昇、年初来は10.45%上昇となりました。パフォーマンスが最低だったのはパキスタンで、4月は5.72%下落、年初来では2.79%の下落となっています。次いでパフォーマンスが振るわなかったのはチェコ共和国で、4月は4.41%下落、年初来では0.91%の下落となっています。

 ○先進国市場は4月に全体で3.24%上昇し、米国を除く先進国市場のパフォーマンスは2.31%の上昇でした。4月は25市場中24市場が上昇し、3月の13市場を上回りました。

  ・先進国市場は3月の0.69%上昇に続き4月も3.24%上昇しました。米国を除くと、先進国市場は4月に2.31%上昇しました(3月は0.17%下落)。過去3カ月間のパフォーマンスは6.88%上昇(米国を除くと4.31%上昇)、年初来では15.43%上昇(同11.96%上昇)、過去1年間では2.99%の上昇となりました(同6.58%下落)。

  ・上昇率が最も高かったのはオーストリアで4月に7.66%上昇し、年初来で17.93%上昇、過去1年間では14.40%の下落となっています。2番目はドイツで4月に6.56%上昇し、年初来では13.71%上昇、過去1年間では11.93%の下落となりました。パフォーマンスが最も悪かったのはフィンランドで4月は0.34%下落し、先進国市場の中で唯一の下落となりました。年初来では5.13%上昇、過去1年間では12.88%の下落となっています。次いで振るわなかったのがニュージーランドで4月は0.05%の上昇でした。年初来では12.94%上昇、過去1年間では9.49%の上昇です。注目すべき点として、カナダは2.41%上昇(年初来では17.69%上昇)、英国は2.04%上昇(同13.61%上昇)、日本は1.19%上昇(同6.95%上昇)となりました。

●S&P500指数

 ○S&P500指数が前回最高値から更新に要した日数は、2016年7月の417日に次ぐ215日となりました。あえて、2007年10月から2013年3月までの1,997日、ましてや1929年9月7日から1954年9月22日までの9,146日については言及しませんが・・・。とにもかくにも、S&P500指数は4月に入って再び終値ベースと日中ベースの最高値を更新しました。月末までに最高値を4回更新し、そのうち3回は月末3日間連続の更新でした。

 具体的に日を追って列挙すると、まず4月23日(火曜日)に、2018年9月20日に記録した2,930.75を更新する2,933.68で取引を終えましたが、その3日後の26日(金曜日)に再び更新して2,939.88となりました。翌週の月曜日(29日)には日中の最高値となる2,949.52(前回の日中最高値は2018年9月21日の2,940.91)を付け、終値でも2,943.03で更新しました。そして「Win-Win相場のような」4月の株式市場は30日に、2,945.83を付けて4回目となる終値ベースの高値更新を演じて1カ月を締め括りましたが、この日は日中ベースの高値更新とはなりませんでした。また、前回の月末最高値は2017年11月30日の2,647.60でした。この結果、2016年11月のトランプ大統領誕生の選挙から通算して90回目から93回目となる史上最高値の更新が4月に実現し、足元の上昇局面が公式に過去最長の強気相場であることが確認されました。ちなみに、今回の強気相場は2009年3月9日から始まり、上昇率は335%に達しました(配当込みのトータルリターンは438%)。S&P500指数の年初からの上昇率は17.51%(配当込みのトータルリターンは18.25%)となり、ブラックマンデーが起こった1987年の年初4カ月間の上昇率19.07%に次ぐ上げ幅となりました。なお、1987年は10月19日に株式市場が20.47%の下げを記録してインデックス史上で最悪の日となり、通年の上昇率は2.07%で終わりました。

 今回の最高値の更新によって、2018年9月の高値から12月の底値までの20%の下落分を回復したことになります。正確に言えば、19.78%の下落であるため「公式に」弱気相場と認められる20%には僅かに及びませんでしたが、日中ベースで見ると、間違いなく20%下落しました。直近底値の2018年12月24日(2,351.10)からの上昇率は25.30%、年初来では17.51%となり、(息の長い)強気相場が続きました。

 ○高値更新に関しては、有り体に言えば、昨年9月に付けた前回最高値まで戻した(2018年第4四半期に14%下落し、年初から17%上昇した)に過ぎないとも言えます。前回の高値に比べると0.51%の上昇と、ほぼ横ばい圏です。一方で、個別銘柄の値動きはばらつきが大きく、銘柄選択が重要な相場となりました。505銘柄のうち252銘柄が値上がりし(平均上昇率は12.28%)、このうち10%以上上昇したのが135銘柄、20%以上上昇したのは44銘柄でした。他方、値下がりしたのは505銘柄中252銘柄(上昇した銘柄数と同じ)となり(平均下落率は13.10%)、このうち136銘柄が10%以上、また56銘柄が20%以上下落しました。要するに、株式市場全体として見れば値動きは横ばいだったものの(前回高値からの上昇率は0.51%)、この間に半数以上の銘柄(53.7%)が10%以上変動し、19.8%の銘柄が20%以上変動しました。これは個別銘柄を物色する投資家にとっては夢(あるいは悪夢)のような相場でした。

 2019年に入ってからの相場回復の一因としては、またしても企業決算が挙げられます。下方修正されていた事前予想を上回る第1四半期の決算発表が続いたことが株式市場の下支えとなり、高値更新へとつながりました。2018年第4四半期と同様に、「期待値が低かったとはいえ、事前予想を上回ったことに変わりはない」という市場の見方がバリュエーションをサポートしました。

 足元では良好なバリュエーションも、今後は試される展開が続くことになるでしょう。現時点での12カ月先営業利益に基づくPER(19.3倍)は、過去平均(18.8倍)を僅かに上回っています。また、2019年の利益成長率に基づいたPERも17.8倍と、過去平均を若干上回っています(通常は17倍台前半のレンジ)。

 ○5月を展望すると、小売セクターの決算内容から「消費者が何にいくら消費しているか」について有益な情報が得られるはずです。政治に関連するイベントも続きます。トランプ大統領の納税申告書の提出を求めた議会下院の召喚状に対する回答期限が5月6日に迫る中、大統領側の弁護士がすでに訴訟に向けて動き始めています。とはいえ、これまでのところ政治的な動きが株価に影響を及ぼしているのはヘルスケア関連銘柄に限定されています。国民の間で、医薬品の価格規制や国民皆健康保険制度の法制化を求める声が高まっていることが背景にあります。5月18日にはトランプ政権が自動車輸入に関税をかけるかどうかを決定する期限を迎えます。加えて、(長らく待たれている)米中間の通商合意の発表を巡るニュースも、新聞紙面を賑わせ、市場では材料視されています。

 ○4月のS&P500指数は、3月終値の2,834.40から3.93%上昇し(配当込みのトータルリターンは4.05%)、2,945.83の過去最高値で月を終えました。3月は1.79%の上昇でした(同1.94%)。同指数は年初来では17.51%上昇し(同18.25%)、過去1年間では11.25%上昇と(同13.49%)、上昇率を二桁台に戻しています。

 ダウ平均は3月終値の2万5,928.68ドルから2.56%上昇し(同2.66%)、2万6,592.91ドルで月を終えました。3月は2.41%の上昇でした(同2.59%)。同指数は年初来では14.00%(同14.79%)、過去1年間では10.06%上昇しています(同12.63%)。

 S&P500指数の日中ボラティリティティ(日中の高値と安値の差)は3月の0.93%から0.56%に低下し(2017年12月の0.53%以来最低)、年初来では0.86%(3月は0.97%)となりました。同指標は、2018は1.21%、2017年は0.51%(1962年以降の最低、平均は1.43%)でした。

 出来高は3月の前月比1%増(営業日数調整後)の後12%減少し(営業日数は3月と同じ)、前年同月比では1%減でした。年初来の出来高は前年同期比横ばいです。1%以上変動した日数は減少し、3月の21営業日中3日(上昇が2日、下落が1日)に対し、21営業日1日(上昇が1日)となりました。年初来では、82営業日中12日となっています(上昇が9日、下落が3日)。

 ○セクター間のリターンのばらつきは拡大し、4月は11セクターのうち8セクターが上昇し、3月の9セクター、2月、1月の11セクター(12月は11セクター全てが下落)から減少しました。パフォーマンスが最高のセクター(金融、8.84%上昇)と最低のセクター(ヘルスケア、2.74%下落)の騰落率の差は11.58%と、3月の7.50%、2月の5.87%から拡大しました。この騰落率の差は、年初来では23.75%(3月の13.25%から上昇、2018年通年は25.19%)でした。

 4月は銀行の決算が予想を上回り、概ね明るいガイダンスが示される中で、金融セクターが8.84%上昇で騰落率トップとなりました。同セクターは年初来では17.44%上昇しています。情報技術セクターは6.36%上昇し、年初来では26.96%上昇と騰落率トップを維持しました(2016年11月の米大統領選以降では72.81%上昇)。コミュニケーション・サービスセクターは3月の2.39%上昇(2月は0.82%上昇)ののち、6.22%上昇と好調な結果となり(ただし、最終日には2.56%の下落と圧力にさらされました)、年初来で20.69%上昇しました。決算が同セクターの個別銘柄の株価を押し上げ、娯楽大手のWalt Disney(DIS)は23.4%高(年初来は24.9%高)、ソーシャル・メディア大手のTwitter(TWTR)は21.4%高(同38.9%高)となりました。

 消費関連セクターのパフォーマンスは引き続き乖離し、一般消費財セクターが4月に5.65%上昇、年初来で21.83%上昇となった一方、生活必需品セクターは4月に2.33%上昇、年初来で13.75%上昇となりました。政府の法規制をめぐる懸念(薬価、メディケア・フォー・オール)が株価を押し下げたヘルスケアセクターが2.74%下落で騰落率最下位となりました。同セクターは年初来3.21%の上昇で月を終えたものの、月中に一時マイナス圏に沈みました。エネルギーセクターは0.01%の下落とわずかに下落しました。同セクターは年初来では15.40%上昇しています。不動産セクターは0.58%の下落で下落率2位となりましたが、年初来では15.97%上昇しています。

 ○値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の差は4月に拡大しました(既に値上がり銘柄数が大幅に上回っていました)。4月の値上がり銘柄数は359銘柄(平均上昇率は6.66%)と、3月の305銘柄から増加しましたが、2月の382銘柄は下回り、そのうち67銘柄が10%以上上昇し(平均上昇率は15.00%、3月20銘柄、2月123銘柄)、2銘柄が25%以上上昇しました(3月はゼロ)。一方、値下がり銘柄数は145銘柄(平均下落率は4.29%)と、3月の200銘柄から減少しましたが、2月の123銘柄は上回り、そのうち11銘柄が10%以上下落し(平均下落率は14.25%、3月は22銘柄、2月は33銘柄)、1銘柄が25%以上下落しました。

 年初来では、458銘柄(平均上昇率は21.10%、3月は460銘柄)が上昇し、そのうち371銘柄(3月は322銘柄)が10%以上、152銘柄(同78銘柄)が25%以上上昇した一方、44銘柄(同43銘柄)が下落し、そのうち18銘柄(同9銘柄)が10%以上、1銘柄(同ゼロ)が25%以上下落しました。
 

 

 

 

 

 

 
 
[執筆者]
ハワード・シルバーブラット
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
シニア・インデックス・アナリスト

※このレポートは、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはサイトをご参照ください。
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配信元: みんかぶ株式コラム

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