S&P500月例レポート(2019年3月配信)<後編>

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最新投稿日時:2019/03/12 13:31 - 「S&P500月例レポート(2019年3月配信)<後編>」(みんかぶ株式コラム)

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S&P500月例レポート(2019年3月配信)<後編>

●個別銘柄

 ・世界最大の公開会社(浮動株調整前時価総額ベース)を競うレースでは、2月はMicrosoftが8,660億ドルで第1位、第2位はAppleで8,220億ドル、第3位はAmazonの8,020億ドルでした。指数ベースも同順で、浮動株調整後の時価総額はそれぞれ8,660億ドル、7,810億ドル、6,740億ドルでした。

 ・小売大手のWal-Mart(WMT)は、顧客の減少を発表した他の小売業者とは対照的に、年末商戦での力強い売上高を発表しました。

 ・iPhoneメーカーのApple(AAPL)と投資銀行のゴールドマン・サックス(GS)は、共同でクレジットカードを発行することを明らかにしました。このクレジットカードはiPhoneと連携し(全てのモデルに対応しているわけではありません)、マネー管理機能を備えています。

 ・食品・飲料メーカーのKraft Heinz(KHC)の株価は、会社予想を下回る企業業績、弱気の業績見通し、150億ドルに上るブランドの減損計上(非現金費用として処理される見通し)、38%の減配、さらに米証券取引委員会が同社の会計慣行を調査中との発表を受けて、2月に28.6%安となりました。

 ・General Electric(GE)はバイオテクノロジー事業をDanaher(DHR)に現金210億ドルで売却することを明らかにしました。

 ・小売企業のGap(GPS)は2つの公開会社に分社化することを発表しました。

 ・S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスはS&P中型株400指数構成銘柄であったAtmos Energy(ATO)とWabtec(WAB)をS&P500指数に追加し、EnCana(ECA)に買収されたNewfield Exploration(NFX)とGoodyear Tire & Rubber(GT)をS&P 500指数から除外しました。Goodyear Tire & RubberはS&P中型株400指数に追加されます。

●注目点

 ・米国の公的債務残高が初めて22兆ドルを超えました(S&P 500指数の時価総額は浮動株調整前ベースで24兆ドル)。

 ・2008年の金融危機時に投げ売り価格でMerrill Lynchを買収したBank of America(BAC)は、一部の事業からMerrill Lynchの名前を外して新たな名称に変更すると発表しました。

●利回り、金利、コモディティ

 ・米国10年国債の利回りは1月末の2.64%から上昇して2.72%で月を終えました(2018年末は2.69%、2017年末は2.41%、2016年末は2.45%)。

 ・英ポンドは1月末の1ポンド=1.3110ドルから1.3264ドルに上昇し(同1.2754ドル、同1.3498ドル、同1.2345ドル)、ユーロは1月末の1ユーロ=1.1448ドルから1.1369ドルに下落しました(同1.1461ドル、同1.2000ドル、同1.0520ドル)。円は1月末の1ドル=108.89円から111.38円に下落し(同109.58円、同112.68円、同117.00円)、人民元は1月末の1ドル=6.7004元から6.6937元に上昇しました(同6.8785元、同6.5030元、同6.9448元)。

 ・原油価格は1月末の1バレル=54.13ドルから上昇して57.25ドルで月を終えました(同45.81ドル、同60.09ドル、同53.89ドル)。米国のガソリン価格(EIAによる全等級)は1月末の1ガロン=2.343ドルから2.471ドルに上昇して月末を迎えました(同2.358ドル、同2.589ドル、同2.364ドル)。

 ・金価格は1月末の1トロイオンス=1,324.80ドルから1,314.70ドルに下落して月を終えました(同1,284.70ドル、同1,305.00ドル、同1,152.00ドル)。

 ・VIX恐怖指数は1月末の16.57から低下して14.78で月末を迎えました。月中の最高は17.89、最低は13.44でした(同25.42、同11.05、同14.04)。

●世界の株式市場

 ・世界の株式市場は1月に7.97%大幅上昇した後で、2月は2.59%上昇しました。2018年12月は7.36%の大幅下落でした。米国市場が引き続きアウトパフォームしており、米国市場の3.29%上昇を除外すると、グローバル市場は1.79%の上昇でした。過去3カ月間では、グローバル市場は2.61%の上昇となり、平均以下となった米国市場の1.42%を除けば、グローバル市場は4.03%の上昇でした。年初来、グローバル市場は10.76%上昇しており、米国市場の12.04%の上昇を除外すると、9.34%の上昇でした。過去1年間では、グローバル市場は3.14%下落しましたが、米国の3.03%の上昇を除けば、9.41%の下落でした。より長期的な指標は米国がアウトパフォームしていることを引き続き示しており、過去2年間のグローバル市場のリターンは米国(17.54%)を含めれば12.91%、米国を除くと8.04%、過去3年間のリターンは35.78%、米国(45.41%)を除くと26.03%でした。

 ・2月にS&Pグローバル総合指数の時価総額は1兆3,020億ドル増加し(1月は3兆7,680億ドル増、2018年12月は3兆9,770億ドル減)しました。米国以外の市場の時価総額は4,330億ドル増加し(1月は1兆6,390億ドル増、12月は1兆990億ドル減)、米国市場は8,700億ドル増加しました(1月は2兆1,290億ドル増、12月は2兆8,780億ドル減)。

 ・2月のまとめ

  ○世界の株式市場は2月に2.59%上昇しました。米国市場は3.29%上昇し、米国を除く世界市場は1.79%上昇しました。過去3カ月では、世界市場は2.61%上昇しました。米国の1.42%の上昇を除くと、4.03%上昇しました。年初来では世界市場は10.76%上昇し、米国(12.04%上昇)を除いた上昇率は9.34%となっています。過去1年間でみると、世界市場は3.14%下落し、米国を除いた下落率は9.41%となりました。

  ○新興国市場は2月に0.60%上昇し、過去3カ月では5.34%上昇、年初来では8.37%上昇、過去1年間では12.33%の下落となりました。

  ○先進国市場は2月に2.82%上昇(米国を除くと2.13%上昇)、過去3カ月では2.32%の上昇(同3.67%上昇)、年初来では11.04%の上昇(同9.62%上昇)、そして過去1年間では2.02%の下落(同8.61%下落)となっています。

 ・11セクター全てが上昇する中、セクター間のリターンのばらつきに変化はありませんでした(1月も全11セクターが上昇、2018年12月は全11セクターが下落)。パフォーマンスが最高のセクター(情報技術、6.63%上昇)と最低のセクター(一般消費財、0.65%上昇)の騰落率の差は5.98%で、1月の7.99%から縮小しました。年初来の騰落率の差は12.35%でした。

 ・新興国市場は2月に0.60%上昇しました。1月は7.72%の上昇でした。過去3カ月間のパフォーマンスは5.34%の上昇、年初来では8.37%の上昇、過去1年間では12.33%の下落となっています。過去2年間の騰落率は10.90%の上昇、過去3年間は35.78%の上昇となりました。

  ○2月は23市場のうち10市場が上昇しました。1月に上昇した市場数は22市場でした(12月は8市場)。上昇率が最も高かったのはギリシャで2月に9.22%上昇しました。年初来では13.18%上昇しましたが、過去1年間では25.44%の下落となっています。2番目がエジプトで2月は6.64%上昇、年初来は18.61%上昇、過去1年間では2.82%の上昇となりました。パフォーマンスが最低だったのはカタールで2月は6.12%下落しました。年初来では3.17%の下落でしたが、過去1年間では18.87%の上昇となっています。次いでパフォーマンスが振るわなかったのは南アフリカで、2月は4.98%下落しました。年初来では6.25%上昇していますが、過去1年間では24.15%の下落となっています。

 ・先進国市場は2月に全体で2.82%上昇し、米国を除く先進国市場のパフォーマンスは2.13%の上昇となりました。2月は25市場中の22市場が上昇しました(1月は25市場全てが上昇、2018年12月は25市場全てが下落)。

  ○先進国市場は2月に2.82%上昇しました。1月は8.00%上昇、2018年12月は7.85%下落しました。米国を除く先進国市場は2月に2.13%上昇しました(1月は7.33%上昇、12月は5.42%下落)。過去3カ月間のパフォーマンスは2.32%上昇(米国を除くと3.67%上昇)、年初来では11.04%上昇しました(同9.62%上昇)。過去1年間では2.02%の下落となりました(同8.61%下落)。

 上昇率が最も高かったのは香港で2月に5.62%上昇し、年初来でも13.56%上昇しましたが、過去1年間では0.79%の下落となっています。第2位はデンマークで2月に5.16%上昇し、年初来では9.77%上昇しましたが、過去1年間では8.61%下落しています。パフォーマンスが最も悪かったのは韓国で2月は1.54%下落しました。年初来では7.65%上昇、過去1年間では13.94%下落しました。次いでルクセンブルグが2月に0.30%下落しました。年初来では8.36%上昇しましたが、過去1年間では18.39%下落しています。

 注目すべき点として、英国は1月の7.70%上昇に続き2月も2.94%上昇しました(年初来では10.87%上昇)。日本は2月に0.19%上昇し(年初来では6.01%上昇)、ドイツは1.39%上昇しました(同8.28%上昇)。

●S&P 500指数

 S&P 500指数は1月に7.87%上昇し(大暴落した1987年以来で最高)、2018年12月の9.18%下落(12月としては1931年以来の最低)の大半を帳消しにした後、2月も流れを引き継ぎ、2.97%と大きく上昇しました。年初来では1991年(11.16%)以降で最も高い11.08%の上昇となっており、S&P 500指数は最高値更新まで4.99%の水準に迫っています。

 トレード(そして投資)のモメンタムは、1月当初の反発と底値買いモード(12月の下落に対する反応)から、米国の経済成長率の鈍化(ただし成長に変わりはありません)、低金利の継続と、中国との最終的な通商合意に向けた動きが見られたこと(合意は多くの人に歓迎されるわけではありませんが、それでも合意が成立し、今後の企業計画に向けてルールと関税が定義されるでしょう)を背景に、慎重ながらも楽観的なものに切り替わったようです。

 3月の市場は、現在の強気相場が3月9日に10周年を迎え、メディアで大きく取り上げられることで賑やかな展開が予想されます。投資家にとっては、(願わくは)過去を嘆くのではなく将来に集中し、保有銘柄と戦略を見直す良い機会となります。強気相場はこれまでに年率で17.69%のトータル・リターンを上げ、S&P 500指数の時価総額を17兆4,900億ドル押し上げてきました(同期間の配当3兆3,000億ドルは除く、含めると追加で18.8%増加)。

 市場は企業が発表する年次報告書や説明会に基づき、4月以降のマクロ経済/セクター見通し、さらに企業の基調的な成長率を予想し始めるとみられ(配分見直しにつながる可能性も)、最近の低ボラティリティを受けて投資先が決まっていない待機資金が動き出すかもしれません。米中の貿易問題が大きな注目を集め、最終合意ではないかもしれませんが何らかの合意が予想されます。FRBは3月19-20日開催のFOMCで政策金利を据え置くと予想される一方、金利の変更とバランスシート縮小のタイミングに関する発言は市場に影響を与えることが見込まれます。

 興味深いことに、強気相場は3月9日に10周年を迎えます。LyftはIPOを実施する予定で、Uberがその後に控えていますが、IPOは直後ではなく2019年第2四半期になる可能性があります。2020年の米大統領選レースの動きも広がり、一部で好感されるとしても、多く(大半と言って差し支えありません)にとって苛立たしい材料となるでしょう。

 S&P 500指数は7.87%(配当込みのトータル・リターンは8.01%)上昇した1月終値の2,704.10ドルから2.97%上昇(同3.21%)し、2,784.49ドルで2月の取引を終えました。2月の上昇で同指数は最高値更新(2018年9月20日の2,930.75ドル)まで4.99%に迫りました。同指数は年初来では11.08%(配当込みのトータル・リターンは11.48%)、3カ月では0.88%(同1.42%)、過去1年では2.60%(同4.68%)、2017年末以降では4.15%(同6.59%)、2016年11月8日の米大統領選当日の終値2,139.56ドル以降では30.14%上昇(同36.34%、同期間の年率の上昇率とトータル・リターンはそれぞれ12.11%と14.39%)しています。

 ボラティリティは低下し、1%以上変動した日数は1月の21営業日中6日(上昇が4日、下落が2日。2018年は上昇が32日、下落が32日)に対して、19営業日中2日となりました。日中ボラティリティ(日中の高値と安値の差)は1月の1.26%、12月の2.56%から0.69%に低下しました。同指標は、2018年は1.21%、2017年は筆者がデータを入手している1962年以降の最低の0.51%でした(過去の平均は1.43%)。1月の月間の値幅(高値と安値の差)は、1月に大幅だった12月の19.33%(2011年10月の20.27%以来の高水準)から10.84%に低下したのち、4.91%に大きく低下し、1年平均の7.64%、10年平均の6.49%を下回りました。出来高は1月の前月比11%減(営業日数調整後)の後、4%減少し、前年同月比では12%減少しました。

 セクター間のリターンのばらつきに変化はなく、昨年12月に全11セクターが下落したのに対して、2月も再び全11セクターが上昇しました。パフォーマンスが最高のセクター(情報技術、6.63%上昇)と最低のセクター(一般消費財、0.65%上昇)の騰落率の差は5.98%と、1月の7.99%から縮小しました。2018年のこの騰落率の差は18.99%でした。

 2月は景気減速と低金利の継続を受け入れる姿勢が企業業績の低下懸念を一部打ち消す中、1月同様に全11セクターが上昇しました(ただし、上昇の勢いは1月の方がはるかに強く、12月は全11セクターが下落)。騰落率トップとなったのは1月の6.88%上昇後6.63%上昇した情報技術セクターで、同セクターは2016年の米大統領選以降では55.11%上昇しています(全セクター中最高)。1月に騰落率トップ(11.36%上昇)だった資本財・サービスが6.06%上昇でこれに続き、同セクターは年初来では18.11%上昇しました。

 金融は2.18%上昇と平均を下回りました。同セクターは年初来では10.95%上昇したものの、2017年末以降ではなお5.32%下落しています。ヘルスケアセクターも2月は1.04%上昇と平均を下回り、年初来では5.75%、2017年末以降では10.71%の上昇となっています。消費関連セクターも市場平均を下回りました。一般消費財が0.65%上昇で騰落率最下位なり、年初来で10.94%上昇した一方、生活必需品は2.12%上昇し、年初来で7.22%の上昇となりました。1月に騰落率最下位(3.37%上昇)だった公益事業は再びリスクオンとなる中でも3.55%上昇し、年初来で7.04%上昇しました。

 値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の差は縮小したものの、依然として値上がり銘柄数が大幅に上回りました。2月の値上がり銘柄数は382銘柄(平均上昇率は5.87%)と、12月のわずか14銘柄を上回った一方、1月の472銘柄からは減少し、そのうち51銘柄(平均上昇率は14.46%、1月は250銘柄、12月はゼロ)が10%以上、2銘柄(1月は14銘柄)が25%以上上昇しました。

 一方、値下がり銘柄数は123銘柄(平均下落率は4.27%)と、1月の33銘柄(12月は491銘柄)から増加し、10%以上値下がりした銘柄数も12銘柄(平均下落率は15.61%)と、1月の5銘柄(12月は237銘柄)から増加しました。

 年初来では、465銘柄が上昇し(平均上昇率は15.35%)、そのうち324銘柄が20%以上、59銘柄が25%以上上昇した一方、40銘柄が下落し、そのうち10%以上下落した銘柄が9銘柄、25%以上下落した銘柄がゼロとなりました。
 

 

 

 

 
[執筆者]
ハワード・シルバーブラット
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
シニア・インデックス・アナリスト

※このレポートは、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはサイトをご参照ください。
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配信元: みんかぶ株式コラム

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