第二のギリシャ?イタリア財政不安の影響は如何に
欧州委員会はEU加盟国に対し財政赤字をGDP比3%、債務残高を60%以内に抑えるよう義務づけておりますが、3月末時点のイタリアの債務残高が133%となっており、EU加盟国ではギリシャに次ぐ高い数値です。
欧州委員会はこの債務残高を低下させるため、イタリアは緊縮財政が必要だと主張しています。しかし、イタリア政府は財政支出をしてGDPを伸ばすことで債務残高が低下すると主張をしており、両者の主張は正反対となっております。
欧州委員会はイタリアの予算案の再考を促していますが、連立政権の一翼を担う「五つ星運動」党首であるディマイオ氏は「1ミリたりとも引き下がらない」としております。さらにはイタリアのボルギ下院予算委員長が「自国通貨を持てば問題は解決する」と発言したことでユーロ離脱の可能性まで連想されてユーロが売られました。
イタリアの予算案に関しては毎年恒例で、ここまで大騒ぎしなくてもいいような気もいたしますが、マーケットのテーマとなってしまった以上、これからも敏感に反応するでしょう。今後のスケジュールですが、イタリアは10月半ばにEU側に予算案を提出して11月にEUから可否が出るという流れなので、向こう1カ月は何かと話題になるでしょう。また、ブレグジット交渉や、今月末にはイタリア国債の格下げも予定されており、ユーロが売られやすい状況が続きそうです。