[資源・新興国通貨10月展望] カナダドルは、NAFTA見直し交渉や24日のBOC政策会合に注目

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最新投稿日時:2018/09/28 18:10 - 「[資源・新興国通貨10月展望] カナダドルは、NAFTA見直し交渉や24日のBOC政策会合に注目」(八代 和也)

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[資源・新興国通貨10月展望] カナダドルは、NAFTA見直し交渉や24日のBOC政策会合に注目

著者:八代 和也
投稿:2018/09/28 18:10

【豪ドル】米中貿易摩擦に動きがあれば、豪ドルが反応する可能性あり

豪ドルは、米国と中国の貿易摩擦に注意が必要です。米国は9月24日、2000億米ドル相当の中国製品に追加関税を発動。中国は即座に600億米ドル相当の報復関税を発動しました。米国はさらに2670億米ドル相当(これにより、中国からの輸入品すべてに追加課税)の追加関税を検討することを示唆しており、今後2670億米ドル相当の対中追加関税に向けた動きが出てくる可能性もあります。豪経済は対中依存度(最大の輸出先)が高いため、米中の貿易摩擦が激化することは、豪ドルにとってマイナス材料と考えられます。

一方、両国が貿易摩擦解消に向けて歩みよれば、豪ドルにとってプラス材料になりそうです。

RBA(豪中銀)が10月2日に政策金利を発表します。政策金利は現行の1.50%に据え置かれる可能性が高く、また声明の内容も9月から大きな変化はみられないと考えられます。その通りになれば、豪ドルの反応は限定的になりそうです。

【NZドル】金融政策の方向性の違いがNZドルの重石に。10月16日のCPIに注目

RBNZ(NZ中銀)は9月27日、政策金利を過去最低の1.75%に据え置きました。据え置きは13回連続です。

声明は、金融政策スタンスが“中立(利上げと利下げの両にらみ)”であることを改めて表明するとともに、成長見通しに対する下振れリスクは残っていると指摘し、NZ経済の先行きに対して警戒感を示しました。

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FRB(米連邦準備制度理事会)やBOC(カナダ中銀)が利上げを継続する一方、RBNZは次の一手が利下げの可能性もあることを示しています。こうした金融政策の方向性の違いは、NZドルの上値を抑える要因になりそうです。

NZの7-9月期CPI(消費者物価指数)が10月16日に発表されます。その結果にNZドルが反応する可能性があります。RBNZは8月の金融政策報告で、7-9月期のCPI上昇率を前年比+1.4%と予想しました。+1.4%が強弱を判断する目安になりそうです。

また、NZドルは豪ドルと同様に、米中貿易摩擦にも注意が必要です。米中貿易摩擦への懸念が強まれば、NZドルにとってマイナス材料と考えられる一方、両国が貿易摩擦解消に向けて歩みよれば、NZドルにとってプラス材料になりそうです。

【カナダドル】NAFTA見直し交渉の行方は!? BOCは追加利上げか

10月のカナダドルは、米国とカナダのNAFTA(北米自由貿易協定)見直し交渉の行方に影響を受ける可能性があります。米国は、カナダとのNAFTA見直し交渉の期限を9月30日に設定。その期限までに合意できなければ、米国はカナダ抜きでメキシコとの二国間協定を進めることを示唆しています。

米国とカナダが見直し交渉で合意できなければ、カナダドルに対して下押し圧力が加わる可能性があります。一方、両国が見直し交渉で合意すれば、カナダドルの上昇材料になりそうです。

10月24日のBOC(カナダ中銀)の政策会合にも注目です。会合では0.25%の利上げが決定され、声明は今後も利上げを続けることが示唆される可能性が高いとみられます。その通りになれば、カナダドルが上昇する可能性があります。

一方、政策金利が据え置かれる、あるいは利上げが決定されたとしても、声明で利上げをいったん休止することが示唆された場合、カナダドルは下落しそうです。

【トルコリラ】エルドアン大統領の言動や米国とトルコの関係に要注意

9月のトルコリラは、主に以下の理由から反発しました。

●TCMB(トルコ中銀)の大幅利上げ
TCMBは13日の会合で6.25%の利上げ(政策金利を17.75%から24.00%)を決定し、中銀が政府から独立していることを示しました。

●米国とトルコの関係改善期待
ポンペオ米国務長官が24日、「ブランソン牧師は近く解放される可能性がある」と語りました。米国人のブランソン牧師は2016年のクーデーター未遂事件に関与したとして、トルコ国内の自宅に現在軟禁されており、米国がブランソン牧師の解放を求める一方、トルコは解放を拒否。そのことで、両国の関係は一段と悪化しています。

トルコリラは引き続き、エルドアン大統領の言動や米国とトルコの関係に要注意です。

エルドアン大統領は9月26日、「中銀は独立している」としたうえで、「TCMBが(9月13日に)利上げを決めたことは、中銀の独立性を明確に示すものだ」と語り、また大統領が金融政策に影響力を行使しているとの指摘も否定。TCMBの独立性を尊重する発言を行いました。

ただ、エルドアン大統領はこれまで、高金利反対を公言し、TCMBに対して公然と利下げ圧力を加えてきました。そのため、市場ではエルドアン大統領の9月26日の発言に懐疑的な見方があります。エルドアン大統領が今後、TCMBの独立性を脅かすような発言をすれば、トルコリラには下落圧力が加わる可能性があります。

前述のブランソン牧師の問題については、エルドアン大統領は牧師の処遇を決めるのは政治家ではなく裁判所との見解です。10月12日にブランソン牧師の審理が行われる予定。そこでブランソン牧師を釈放するとの判断が下されれば、米国とトルコの関係改善への期待が高まり、トルコリラにとってプラス材料と考えられます。

一方、自宅軟禁継続の判断が下された場合、トルコリラが下落する可能性があります。

経済指標では、10月3日のトルコの9月CPI(消費者物価指数)に注目です。9月CPIはこれまでのトルコリラ安の影響によって8月の前年比+17.90%から一段と上昇率が加速する可能性があります。CPIが大幅に上昇した場合、市場の関心は25日の政策会合におけるTCMBの対応に向かう可能性があります。

【南アフリカランド】 SARBは僅差で据え置きを決定。利上げ派の存在はランドの支援材料となりそう

SARB(南アフリカ中銀)は9月20日の会合で、市場の予想通り、政策金利を6.50%に据え置くことを決定しました。

クガニャゴ総裁は会見で、会合では7人の政策メンバーのうち、3人が利上げを求め、据え置きの決定は4対3の僅差で下されたことを明らかにしました。クガニャゴ総裁はまた、「インフレ見通しへのリスクが引き続き表面化しており、インフレ見通しは悪化した」と語りました。これらは、SARBが今後、利上げに動く可能性があることを示唆します。そのことは、ランドにとってプラス材料と考えられます。

南アフリカの9月CPI(消費者物価指数)が10月24日に発表されます。市場はSARBが近い将来に利上げを行うと予想していないものの、CPIでインフレ圧力の高まりが確認されれば、市場ではSARBの利上げ観測が浮上する可能性があります。その場合、ランドの上昇要因になりそうです。

一方で、ランドの懸念材料としては、米中貿易摩擦の激化(リスクオフ要因)、新興国通貨全般に対する下落圧力の増大が挙げられます。
八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想

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