S&P500月例レポート (2016年12月配信)

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最新投稿日時:2016/12/08 14:10 - 「S&P500月例レポート (2016年12月配信)」(みんかぶ株式コラム)

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S&P500月例レポート (2016年12月配信)

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2016年11月: トランプ氏の次なる相手

 大統領選は終わりましたが、政治は永遠に続きます(税金のように)。11月は、8日(火)の投票日直前の6日(日)に米連邦捜査局(FBI)が米議会に対して、クリントン氏のメール問題について追加で明らかになったメールを調べたが結論は変わらず、捜査を終了すると伝えたことで始まりました。この結果を受けて、クリントン氏が火曜日の選挙で勝利するとの見方が強まり、海外の株式市場は上昇し、米国市場も月曜日に2.2%上昇して引けました。大方がクリントン氏の勝利を織り込んだ結果であり、一日の上昇幅としては2016年3月1日の2.39%以来の上昇となりました。8日の深夜にトランプ氏勝利というサプライズと、共和党が上下両院で議席を若干減らしながらも過半数を確保することが明らかになると、世界中が反射的な反応を見せました。アジア市場は下落し、日経平均株価は5.4%の大幅安となりました。欧州市場も、米国の株価指数先物が5%超の大幅下落を示して株価急落を回避するためのサーキットブレーカーが作動すると、9日は下落して始まりました。しかし、S&P500が取引開始直後に横ばいで推移し、先物市場が回復したことで、欧州市場の下げは落ち着きました。選挙翌日の9日のS&P500は、前日の終値2,140から0.7%安の2,125を付けた後に上昇に転じ、最終的に1.11%高で取引を終え、大方の予想を覆す結果となりました。個別銘柄を見ると、トランプ氏とクリントン氏の政策の相違が株価に影響し、規制緩和への期待感からバイオ銘柄と金融銘柄が上昇しましたが、マネージドケア銘柄はオバマケアの見直しが懸念されて下落しました。また、代替エネルギー銘柄は下落し、従来のエネルギーである石油および石炭関連銘柄は上昇しました。金利は夜の間に一時低下しましたが、その後は上昇し、金価格は下落しました。


 実際の議席数は共和党の勝利という予想外の結果となり、ホワイトハウスも共和党が掌握することになりました。上院(定数100)では共和党は選挙前の54議席から51議席に減らし(民主党は48議席、ルイジアナ州は12月10日に決選投票を行う予定)、下院でも改選前の246議席(民主党186議席)から238議席(同194議席)に減少しましたが、共和党が過半数を維持しました。終わることのない政治の世界では、選挙で勝利したトランプ氏が2017年1月20日に第45代合衆国大統領(グローバー・クリーブランド大統領が第22代と第24代の大統領を務めたため、人数では44人目)に就任しますが、これまでに8名の閣僚を指名しています。指名者の多くは議会での承認が必要となるとみられます。閣僚候補者の中で現在関心が集まっているのは国務長官で、元州知事で2012年の大統領候補者でもあり、今回の選挙期間中にはトランプ氏を公然と批判していたミット・ロムニー氏の名前も挙がっています。とはいえ、一番の注目は、2016年2月に亡くなった保守派のアントニン・スカリア判事の後任となる9人目の最高裁判事の指名でしょう。新たに指名される判事は上院での承認が必要になりますが、激しい議論が予想されます(今回の大統領選と同じくらい)。その上、大統領の交代に合わせて当局のトップも交代します。米証券取引委員会(SEC)のホワイト委員長は1月に辞任する意向を表明しており、定数5人のSEC委員のうち、残るのは2人しかいません。ジェームズ・クラッパー国家情報長官も辞表を提出しており、辞任者は今後さらに増えると予想されます。注目すべきは、United Technology(UTX)の空調部門であるCarrierがトランプ次期大統領との会談後、1,000人の雇用をインディアナ州からメキシコに移転させる計画を撤回すると発表したことです。報道では、トランプ氏が規制の見直しについて言及したとされています。さらに、「早過ぎることは決してない」懸案事項として、2018年の中間選挙では上院の改選議席数33議席のうち民主党が23議席を占め、また民主党寄りの独立系議員が2人おり、民主党の方が高いリスクを負うことになります(今回の選挙では、改選議席数34議席のうち共和党が24議席、民主党はわずか10議席でした)。市場の憶測では、共和党が優勢な州では、2018年に改選される比較的穏健な民主党議員が、議席を確保するために共和党に歩み寄る可能性が高いとみられています。トランプ次期大統領はオバマ現大統領と会談し、話し合いはうまくいったように見られています。今のところ、トランプ次期大統領は大統領候補時代とは異なる姿勢を見せていますが、この先どうなるかは分かりません。

 金融市場関係者にとっての現実に目を向けると、株式市場と富を追求する動きは息を吹き返し、金融セクターを筆頭に活発な状態が続いています。S&P500とダウ工業株30種平均(NYダウ)は選挙後に最高値を更新し(S&P500は4回、NYダウは8回)、S&P500は史上初めて2,200を上回り、NYダウも初めて1万9,000ドルを突破しました。多くの投資家にとって感謝祭の祝日を祝う結果となり、S&P500は11月に3.42%上昇し、11月としては2009年の5.74%上昇に次ぐ上昇幅となりました。しかし、この上昇相場を祝えなかった人もいます。選挙(11月8日の終値)以降、S&P500は2.77%上昇しており、中でも金融セクターは12.30%と最も高いパフォーマンスとなっています(金融を除くとS&P500は1.20%上昇)。2番目は資本財セクターですが、金融セクターから大きく水をあけられて7.45%の上昇となっています。一方で、市場が「上昇相場」に沸く中、不動産セクターは同期間に2.39%、生活必需品セクターは4.42%、情報技術セクターは0.46%、それぞれ下落しています。テーブルについていた人には十分なごちそうがありましたが、テーブルについていなかった人もいて、市場は全てを持ち上げるほどの上げ潮ではなかったということです。今回の格差はトランプ氏の大統領就任後に予想される行動に基づいたもので、現時点では乖離は収束しつつあり、一部のトレーダーや投資家がトランプ氏の実際の政策行動を見届けてから投資先(または再配分先)を考えようとしているとみられます。

 ホリデー商戦の速報値からは、実店舗の競争の激化が示唆されました。来客数は予想を下回ったとみられますが、店舗に足を運んだ人には大きな値引きがあったようです。実店舗を持つ小売企業の多くが今ではオンライン販売も行っており、オンラインの売り上げは好調が続いています。「ブラックフライデー」は今でも1年の中で最も多くの商品が売れる日ですが、最近ではブラックフライデーの前後に分散しており、オンラインでの売り上げが増えていることもあって、その日の突出は以前よりも薄れています。消費者はこの時期に多くの買い物をし、実店舗からオンラインへの移行が進んでいるという確信から、Macy’s(M)、Target(TGT)、Wal-Mart(WMT、先日、Jet.comを33億ドルで買収したばかり)などの店舗型小売企業が、Amazon(AMZN)といったオンライン小売企業から売り上げを取り戻せるかどうかに市場の関心が集まっています。


 S&P500指数関連では、11月は、S&P500が初めて2,200に乗せ、終値ベースで最高値を4回更新しましたが、2,198.81で11月を終え、10月の2,126.15から3.42%(配当込みのトータルリターンは3.70%)の上昇となりました。ただし、結果の再集計は行われていません。年初来では7.58%(同9.79%)上昇しています。これを年率換算すると、それぞれ8.28%と10.71%になります。また、米大統領選の前後には、それぞれ0.63%と2.77%のプラスとなりました。FBIの再捜査完了を受けてクリントン氏の勝利が織り込まれた投票日前日の上昇率は2.22%と最も高く、2番目に高い1.11%を記録したのは、トランプ次期大統領による財政支出を織り込み始めた投票日翌日でした。

 11セクターのうち、月間騰落率がプラスになったのは7セクターで、10月の2セクター、9月の3セクターを上回りました。しかし、7対4で勝利、というだけの話ではありません。有望な投資先への資金の再配分が素早く進む中、トランプ関連セクターが上昇し、クリントン関連セクターが下落しました。大きく上昇したのは金融セクター(規制の緩和と金利上昇への期待から)で、11月の上昇率は13.67%と、10月の2.16%を上回り、年初来では15.79%の上昇となりました。国内支出の拡大への期待は資本財セクターを8.48%押し上げ、年初来の上昇率は15.71%となりました。エネルギーセクターは、石油輸出国機構(OPEC)の減産合意を受けた11月最終日の4.82%の上昇が寄与し、7.88%上昇しました(規制の一部撤廃と国内生産への期待から)。年初来の上昇率は21.46%と全セクターの中で最高ですが、それでも、原油価格が105ドルだった2014年6月と比較すると、まだ25.14%下回った状況です。一方で、値を下げたのはクリントン氏の勝利を見込んで上昇していたセクターで、公益事業が5.96%の下落(年初来では7.22%の上昇)、不動産(負債比率が高いことから、金利上昇が業績や配当に影響するとみられます)が3.33%の下落(同3.65%の下落)となりました。情報技術はまちまちで、11月は0.59%の下落となりましたが、年初来では10.31%上昇しています。生活必需品もまた注目すべきセクターで、11月は4.52%下落しましたが、年初来でも0.31%の下落となっています。

 11月は値上がりした銘柄数が値下がりした銘柄数を大きく上回りました。値上がりは335銘柄(平均上昇率は10.21%)と、10月の163銘柄から増加し、一方で値下がりは170銘柄(平均下落率は5.96%)と、10月の341銘柄から減少しました。また、10%以上の上昇は、前月の13銘柄から140銘柄(平均上昇率は17.30%)に増え、10%以上の下落は18銘柄(平均下落率は16.60%)と、前月の54銘柄を下回りました。18銘柄が25%以上値上がりし(前月は2銘柄)、4銘柄が25%以上値下がりしました(前月は1銘柄)。年初来でみると、359銘柄が値上がりし(10月には316銘柄)、そのうちの243銘柄(10月には187銘柄)は10%以上上昇しています。年初来で値下がりしているのは144銘柄(前月には187銘柄)で、そのうちの68銘柄(前月には87銘柄)は10%以上下落しています。出来高は、前月比5%減だった10月から22%増加し、過去1年間の平均月間出来高を9%上回りました。月中の高値と安値の差で見た変動率は、年間の平均を5.56%ポイント上回る6.25%まで急上昇しました(9月は3.24%、10月は2.60%)。

 S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスは11月に、S&P500指数の構成銘柄について4銘柄の入れ替えを発表しました。医療サービスのAmSurg(AMSG)と不動産のMid-American Apartment Communities(MMA)を追加し、資産運用のLegg Mason(LM)と金属・ガラスのOwens-Illinois(IO)を除外しました。

 12月に株価が上昇した割合はこれまで71.6%に達し、月間の騰落率は平均で1.40%と、12月は最も見込みのある月といえます。閣僚の指名などを通じて政治が市場に影響を及ぼす状況が続くとみられます。12月13日~14日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利上げが決定される見込みです(それ以外だった場合は、即座に相場が動くでしょう)。投資家は2017年に利上げが何回行われるか予想しようとしていますが、今のところ、3回と予想されています。2017年の企業業績と目標株価に対する見方を変更するアナリストが増えてくるでしょう。年末が近づくこの時期には決算対策の取引が増える傾向にありますが、選挙後の資金の再配分を考えると、今年は減少するかもしれません。


 各国中央銀行の動きをみると、日銀は、物価上昇率が高まっていないことを認め、最近(9月に)新たに導入した政策を据え置きました。日銀は、2%の物価上昇目標の達成時期が2018年になるとの見通しを示し、さらに、国債利回りを維持するため、あらかじめ決められた価格(固定利回り)で金額に制限を設けずに国債の買い入れを行うと述べました。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、月額880億ドルの債券買い入れプログラムの2017年3月以降への延長に関する議論を行っていないと述べましたが、12月8日開催の政策理事会では、この件が議題に上るとみられています。メキシコの中央銀行は、政策金利を0.50%引き上げ5.25%とし、米大統領選があらゆる地域の金融市場でボラティリティの上昇を招いたと指摘しました。メキシコ・ペソの対ドルでの値下がりが続き、米大統領選投票日(11月8日)の終値が18.32だったのに対し、月末の終値は20.64でした(2015年の終値は17.38)。イングランド銀行(BOE)は政策金利を据え置き、追加利下げの可能性は後退したとの見方を示しました。また、BOEは英国の経済成長率の見通しを2016年は2.0%から2.2%に、2017年については0.8%から1.4%にそれぞれ引き上げました。FOMCは予想通り利上げを見送りました。投票結果は8対2で利上げ反対派が多数を占めましたが、9月のFOMCでメスター総裁、ジョージ総裁と共に利上げに賛成していたローゼングレン総裁が今回は反対に回りました。米連邦準備制度理事会(FRB)は、物価上昇率が目標の2%に近づいており、経済は引き続き力強さを増していると述べました。FRBは依然として12月の利上げを示唆しましたが、それは大部分の専門家が予想するところでした(先物市場がその時点で織り込んでいた12月の利上げの可能性はほぼ70%)。FRBは何度か異なる見方を示しましたが、重きをなしたのは「比較的早期」に利上げする可能性があるというイエレン議長の発言でした。12月のFOMCは13日~14日に開催されますが、先物市場が織り込む利上げの可能性は90%を超えています。

 世界経済に関するニュースでは、オーストラリア準備銀行は政策金利の据え置きを決定しました。中国国家統計局発表の10月の中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)は市場予想の50.3を上回る51.2となり(9月は50.4)、世界的な株価の支援材料となりました。また、サービス業PMIも9月の53.7から54.0に上昇しました。中国の10月の輸出は前年同月比7.3%減少し、輸入も1.4%減少した結果、貿易収支は490億ドルの黒字となりました。ユーロ圏の第3四半期のGDP成長率は前期比0.3%、前年同期比1.6%となりました。欧州連合(EU)の第3四半期のGDP成長率は前期比0.4%、前年同期比1.8%でした。ユーロ圏の9月の小売売上高は、市場予想の前月比0.3%減に対して0.2%減となりました(前年同月比比1.1%増)。英国の10月の消費者物価指数(CPI)は9月の前年同月比1.0%上昇から低下して同0.9%上昇となりました。市場予想は同1.1%の上昇でした。マークイット発表の11月のユーロ圏PMIの速報値は54.1と前月の53.3から上昇しました。日本の10月のコアCPI(食品とエネルギーを除く)は前年同月比0.4%低下し、8カ月連続でマイナスとなりました。経済協力開発機構(OECD)は、2017年の世界経済の成長率を前回予想の3.2%から3.3%に引き上げました。また、トランプ次期大統領が掲げる景気刺激策を予測に織り込み、2018年は3.6%の成長率を見込んでいます。


 米国経済関連では、9月の個人所得は前月比0.3%増と、予想の0.4%増を僅かに下回り、個人消費支出は予想通りの同0.5%増となりました。9月のPCE価格指数は予想通り前月比0.2%上昇し、前年同月比では1.2%上昇しました。コアPCE価格指数も予想通り前月比0.1%、前年同月比1.7%の上昇となりました。10月の自動車販売台数は年率換算で1,800万台と2015年11月以来の高い水準を記録しました。General Motors(GM、11月は0.5%安)の販売台数は前年同月比1.7%減となりましたが、ピックアップトラックやスポーツ用多目的車(SUV)が売り上げを伸ばし、予想(6.9%減)ほどの落ち込みとはなりませんでした。Ford(F、同2.7%安)の販売台数は12%減と予想の11%減よりも悪化しました。10月の小売売上高は予想の前月比0.6%増を上回る0.8%増となり、自動車を除いた数値も予想の0.5%増を上回る0.8%増となりました。10月の生産者物価指数(PPI)は、予想の前月比0.3%の上昇に対し、横ばいでした。前年同月比では0.8%上昇しました。コアPPIは前月比0.2%上昇との予想に反して、0.2%下落しました。前年同月比では1.2%上昇しました。10月のCPIは予想通り前月比0.4%上昇し、前年同月比では1.6%上昇しました。コアCPIは、前月比0.2%の事前予想に対し、0.1%の上昇となりました。前年同月比では2.1%上昇しました。10月の個人所得は、予想の前月比0.4%増に対して0.6%増、個人消費支出は、予想の前月比0.5%増に対して0.3%増となりました。10月のPCE価格指数は、予想の前月比0.3%上昇に対して0.2%上昇し、前年同月比では1.4%の上昇となりました。コアPCE価格指数は、予想通り前月比0.1%上昇し、前年同月比では1.7%上昇しました。10月のPMIは9月の51.5から53.4に上昇しました。10月のサプライ管理協会(ISM)製造業景気指数は9月の51.5から 51.9に上昇しました。マークイット発表の10月のサービス業PMIは9月の52.3から54.8に上昇しました。10月のISM非製造業景気指数は、市場予想の56.1と9月の57.1のいずれも下回る54.8となりました。10月の耐久財受注は前月比4.8%増となり、市場予想の1.5%増を大幅に上回りました。輸送機器を除いたコア受注も予想の0.2%増を上回る1.0%増となりました。9月の建設支出は前月比0.4%減(予想は0.6%増)、前年同月比では0.2%減となりました。9月の製造業受注は前月比0.3%増(予想は0.2%増)となり、8月分は当初発表の0.2%増から0.4%増に上方修正されました。10月の鉱工業生産は前月比横ばい(予想は0.1%上昇)となりました。設備稼働率は9月と変わらずの75.4%との予想に届かず、75.3%に低下しました。11月のミシガン大学消費者信頼感指数の速報値は、市場が10月を下回る87.1と予想していたのに対し、91.6に改善しました(10月確報値は87.2)。コンファレンス・ボード発表の11月の消費者信頼感指数は107.1と、予想の101.0や10月の100.8を大きく上回りました。9月の企業在庫は前月比0.1%増(予想は0.2%増)となりました。10月の景気先行指数は予想通り前月比0.1%上昇しました。9月の米国の輸出は前月比0.6%増、輸入は同1.3%減となりました。貿易赤字は8月の405億ドルから9月は364億4,000万ドルに減少しました。9月の卸売売上高は前月比0.1%増となりました(予想は0.2%増)。8月分は当初発表の0.2%減から0.1%減に上方修正されました。10月の輸入物価指数は前月比0.5%上昇(予想は0.4%上昇)しましたが、前年同月比では0.2%低下しました。輸出物価指数は前月比で0.2%上昇(予想は0.1%上昇)し、前年同月比では1.1%低下しました。10月の国際収支では、輸出が前月比2.7%減少し、輸入が同1.1%増加した結果、貿易収支は620億ドルの赤字(9月は565億ドルの赤字)となりました。第3四半期の企業利益は前年同期比5.2%増となりました。第3四半期の非農業部門労働生産性は前期比3.1%と予想の同2.2%を大幅に上回る伸びとなりました。第2四半期は同0.2%のマイナスでした。単位労働コストは予想の前期比1.4%に及ばず0.3%の伸びにとどまりました。第3四半期のGDP成長率の改定値は前期比年率換算で3.2%と当初発表の同2.9%から上方修正され(改定値の予想は3.1%)、2年ぶりの高い伸びとなりました。12月22日に確報値が発表される予定です。FRBのベージュブック(地区連銀経済報告)は、小売売上高の伸びや労働市場の引き締まりを指摘するとともに、米国経済の拡大基調が続いていると報告しています。

 住宅関連では、全米住宅産業協会(NAHB)が発表した11月のNAHB住宅市場指数は予想通り63と、10月から横ばいでした。10月の住宅着工件数は年率換算で132万3,000戸と、予想(116万8,000戸)を上回りました。許可件数も年率換算で122万9,000戸と、予想(119万戸)を上回りました。米連邦住宅金融局(FHFA)発表の9月のFHFA住宅価格指数は前月比0.7%上昇の予想に対し、0.6%上昇となりました。10月の中古住宅販売件数は9月の年率換算547万戸から542万戸への減少が予想されていましたが、560万戸で前年同月比5.9%の増加となりました。10月の新築住宅販売件数は年率換算で56万3,000戸となり、予想の59万戸には届きませんでした。10月の中古住宅販売仮契約指数は0.8%上昇の予想に対し、0.1%上昇となりました。9月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数は前月比0.1%上昇して過去最高を記録しましたが、前年同月比の伸び率は8月の5.2%から5.1%に低下しました。

 雇用関連では、10月の雇用統計で非農業部門就業者数は16万1,000人増と、予想の17万8,000人増を下回りました。9月は速報値の15万6,000人増から19万1,000人増に上方修正されました。失業率は5.0%から4.9%に低下し、労働参加率は前月の62.9%から62.8%にわずかに低下しました。週平均労働時間は34.4時間で横ばいでした。注目は、時間当たり平均賃金が前月比0.4%増(前月の25.79ドルから25.92ドルに増加)となり、前年同月比では2.8%増と2009年以来の高い伸びを記録したことでした。翌金曜日に発表される雇用統計の動向に注目が集まる中、11月のADP全米雇用統計が発表され、民間部門の雇用者数は21万6,000人の大幅増加となりました(予想は16万人増)。企業の雇用削減に関しては、ニュース配信会社のThomson Reuters(TRI、11月は9.15%高)は2,000人を削減すると発表しました(同社のグローバルの従業員数は4万8,000人)。航空宇宙機器大手Boeing(BA、同5.6%安)は2工場を閉鎖し500人の人員を削減すると発表しました。太陽光発電モジュールメーカーFirst Solar(FSLR、同24.4%安)は全従業員の4分の1以上(1,600人)を削減し、5億ドルの費用が発生すると発表しました。通信サービス大手Verizon(VZ、同5.1%高)傘下のインターネット接続会社AOLは従業員の5%(500人)を削減すると発表しました。欧州航空機メーカー大手Airbus Group(EADSY、同8.3%高)は従業員1,200人を削減すると発表しました。独自動車メーカーVolkswagen(VLKAY、同5.5%安)は今後5年間で従業員3万人(うち2万3,000人はドイツ)を削減する大規模なリストラ計画を発表しました。


 M&A関連では、General Electric(GE)が、油田サービス大手Baker Hughes(BHI)を買収して自社の石油・ガス事業と統合させる計画を明らかにしました。GEはBaker Hughesの株主に対し、17.40ドルの特別配当(総額74億ドル)を支払う予定です。通信サービス会社CenturyLink(CTL)は、同業のLevel 3(LVLT)を250億ドルで買収すると発表しました。国際石油企業Occidental Petroleum(OXY)はパーミアン盆地の土地と資産を20億ドルで購入すると発表しました。石油精製会社Tesoro(TSO)は同業のWestern Refining(WNR)を41億ドルで買収する計画を明らかにしました。バイオ医薬品会社Pfizer(PFE)は一般医薬品事業の売却または分割を検討中と報じられました。同事業の価値は140億ドルと推定されます。韓国の電子企業Samsung electronicsは米国の自動車部品メーカーHarmon Industries(HAR)を80億ドルで買収すると発表しました。ギャンブル用品の製造を手掛けるカナダ企業Amaya(AYA)のDavid Baazov元最高経営責任者(CEO)が26億ドルで同社を買収し、非公開化する提案を行いました(Baazov元CEOは現在、同社株の17%を保有)。ドイツのエンジニアリング企業Siemens(SIEGY)は米国企業のMentor Graphics(MENT)を45億ドルで買収すると発表しました。不動産事業を手掛けるRegency Centers(REG、11月は5.2%安)は同業のEquity One(EQY)を株式交換方式により約50億ドルで買収すると発表しました。化粧品メーカーEstee Lauder(EL、同9.7%安)は、ミレニアル世代向けの化粧品ブランドであるToo Facedを15億ドルで買収すると発表しました。ソフトドリンクメーカーCoca-Cola(KO)は中国のボトリング事業の持分を10億ドルでパートナー2社(China FoodsとSwire Beverage Holdings)に売却することで合意しました。ヘルスケア関連製品を製造するJohnson & Johnson(JNJ)はスイスのバイオ医薬品会社Actelion(ALIOY)と合併をめぐって交渉中と報じられました。Actelionの時価総額は現在170億ドルです。一方、白紙になった案件もありました。Gannett(GCI)は「シカゴ・トリビューン」や「ロサンゼルス・タイムズ」を発行する新聞大手tronc(TRNC)の買収計画を中止すると発表しました。米国のたばこ企業Reynolds American(RAI)は同業のBritish American Tobacco(BTI)による470億ドルでの買収提案を拒否しました。British American Tobaccoが買収額を引き上げることも予想されます。Time Incorporated(TIME)はEdgar Bronfman氏が率いる投資グループによる2度目の買収案を拒否しました。

 個別銘柄のニュースとしては、健康管理・フィットネス・ウェアラブル端末メーカーFitbit(FIT)の株価は業績が市場予想と会社ガイダンスともに下回ったことを受けて、11月に37.0%下落し、8.36ドルで取引を終えました。Fitbitの株価は2015年6月の株式公開(IPO)価格の30.40ドルから72.5%下落しています(2015年8月の高値51.90ドルからは83.9%下落)。ウェアラブルルカメラを手掛けるGoPro(GPRO)は低調な四半期業績を受けて、株価は11月に21.9%下落し、9.98ドルで取引を終えました。GoProの株価は2014年6月のIPO価格24ドルから、2014年9月には94ドルに急騰しました。メッセージアプリSnapchatを運営するSnapは、時価総額200億~250億ドル規模のIPOの申請を行いました。市場参加者の間では、2017年3月の公開が予想されています(市場環境次第で時期がずれる可能性があります)。

 業績関連では、決算発表は金融セクターの好調な業績発表でスタートしましたが、その後は業績の鈍化を示す企業が相次ぎ、好調な企業の裾野も広くないことが明らかになりました。とはいえ、決算発表は全体的には明るい内容で、第4四半期の業績に関するネガティブなガイダンスがあっても、許容できる水準でした。第2四半期と同様に、業績の伸びがバリュエーションを下支えしました。バリュエーションが懸念材料であることに変わりありませんが、現在では政治とトランプ新大統領の今後の政策がより重要視されています。2016年11月の時点で、S&P500構成企業のうち、時価総額97%以上に相当する490社が決算発表を終えており、71%の企業で営業利益が予想を上回り(過去平均は67%)、55%の企業で売上高が予想を上回っています。第4四半期の1株当たり利益(EPS)予想も従来の水準が維持されており(2016年9月時点の予想から1.8%低下)、現時点では第4四半期の営業利益が過去最高を更新することが示唆されています。2016年通年の利益予想は、2014年9月時点の12カ月先の予想EPSを4.0%下回っていますが、2015年の利益実績を8.7%上回っています。2017年の見通しは依然として強気で、利益は20%の伸びが予想されます。過去の経験によれば、年度末の利益予想と目標株価が修正されるのに伴って、翌年の利益予想が下方修正され始める傾向があることに留意すべきです。


 その他のニュースとしては、イングランド銀行のカーニー総裁が、英国のEU離脱が予想される期限より先の2019年6月まで現職にとどまる意向を示しました。英高等法院はEU離脱の正式な手続きの開始には議会承認を必要とするとの判決を下しました。今回の判決はメイ首相にとって痛手となります(同首相は最高裁に上訴する構えです)。この判決によって、EU離脱手続きに(政治的)条件が追加されることも考えられ、2017年3月に予定されている(離脱時期を2年後とする)EU離脱の通告が遅れる可能性がでてきました。中国は突如、財政相(2013年就任、任期5年)、国家安全相、民政相などの閣僚の交代を発表しました。国際エネルギー機関(IEA)は原油需給の長期予想を据え置き、IEAは原油の世界需要が2015年の日量9,250万バレルから2040年には同1億350万バレルに増加するとの予想を示しました。また、中国が米国を抜いて世界最大の原油消費国になるとの見通しを示し、また、代替エネルギー源を見出すことは困難であるとも指摘しました。11月30日のOPEC総会では、原油生産量を日量約120万バレル削減して同3,250万バレルとすることで合意した模様です。ホリデー商戦の小売売上高の速報値からは、従来型の店舗販売で大幅な値引きが行われて競争の激化がうかがわれる一方、オンライン販売の売り上げ(その多くが同じ店舗販売型の小売業者が扱っている)が好調さを示しました。「ブラックフライデー」は今でも1年の中で最も多くの商品が売れる日ですが、最近ではブラックフライデーの前後にセールスが分散しており、オンライン販売でもセールスが分散される傾向にあることから、その日の突出は以前より薄れています。消費者はこの時期に多くの商品を購入し、実店舗からオンラインへの移行が進んでいるという確信から、Macy’s(M、同1.2%高)、Target(TGT、同1.2%高)、Wal-Mart(WMT、同1.2%高。Jet.comを33億ドルで買収したばかり)などの店舗型小売企業が、Amazon(AMZN、同1.2%高)といったオンライン小売企業から売り上げを取り戻せるかどうかに市場の関心が集まっています。

 利回り、金利、コモディティは引き続き活発な動きを見せました。トランプ新政権が発足すれば国内支出が増えるとの思惑から、金利は11月に急上昇しました。米国10年国債の利回りは10月末の1.84%から上昇(価格は下落)して2.39%で11月の取引を終えました(2015年末は2.27%、2014年末は2.17%)。30年国債の利回りは3.04%と、10月末の2.59%から上昇しました(同3.02%、同2.75%)。外国為替市場の取引は活発で、米ドルは上昇し、ユーロは10月末の1ユーロ=1.0982ドルから1.0595ドルに下落して11月を終えました(2015年末は1.0861ドル)。英ポンドは10月末の1ポンド=1.2244ドルから11月末は1.2526ドルに上昇しました(同1.4776ドル)。円はドルに対して10月末の104.81円から下落して114.41円で11月を終えました(同120.66円)。人民元は1ドルに対して10月末の6.7716元から6.8859元に下落しました(同6.4931元)。金価格は10月末の1,278.90ドルから11月末は1,173.80ドルに下落しました(2015年末は1,060.50ドル、2014年末は1,183.20ドル)。原油価格は大きく変動しましたが、広いレンジにとどまり、10月末の1バレル46.70ドルから49.26ドルに上昇して11月を終えました(2015年末は37.04ドル)。米国のガソリン価格は下落し、10月末の1ガロン2.243ドルから11月末は2.154ドルに下落して月の取引を終えました(2015年末は2.034ドル、2014年末は2.299ドル)。VIX恐怖指数は10月末の17.06から11月末は13.33に低下しました(2015年末は18.21)。

 
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投資家が押さえておくべきポイント

 11月の重要ポイントは以下の通りです。

→くどいようですが、トランプ氏の勝利

 ○世界的な株価急落の予想に反して米国市場がトランプ相場で上昇した一方、米国以外の市場は下落

  ■S&P米国総合指数は4.17%上昇し、S&Pグローバル総合指数(米国を除く)は2.58%下落しました(2016年11月29日現在)。

   ●米国人で良かった

 ○クリントン銘柄からトランプ銘柄への移行

  ■規制緩和見通しにより金融セクターは14%上昇

  ■財政刺激策とインフラ投資への期待感が資本財セクター(8%上昇)と関連銘柄の株価を押し上げ

  ■公益(6%下落)、不動産(3%下落)、生活必需品(5%下落)の各セクターは下落

 ○トランプ氏との会談後、United Technology(UTX)の空調部門であるCarrierが1,000人の雇用をインディアナ州からメキシコに移転させる計画を撤回すると発表

→最高値更新

 ○S&P500は初めて2,200を上回り、終値で史上最高値を4回更新

 ○ダウ工業株30種平均は初めて1万9,000ドルを超え、終値で史上最高値を8回更新

→11月のパフォーマンス

 ○S&P500は10月の2126.15から3.42%上昇し、2198.81で取引を終えました。

 ○原油価格は10月の46.70ドルから5.5%上昇し、49.26ドルで取引を終えました(11月30日だけで8.8%上昇)。

 ○米国10年国債利回りは10月の1.83%から2.39%に急上昇し、2015年末の2.27%も上回りました。

 ○金価格は10月の1,278.90ドルから8.2%下落して1173.80ドルとなり、9月の1318.80ドルから続落しました。

 ○英ポンドは対ドルで10月の1.2244ドル(国民投票前は1.5ドル)から1.2526ドルに上昇し、ユーロは対ドルで1.0982ドルから1.0595ドルに下落し、円は対ドルで104.81円から114.46円に下落しました。

 ○VIX恐怖指数は10月末の17.06から低下しましたが、9月末の13.29を上回る13.33で11月を終えました。

→11月30日に開かれたOPECの総会では、産油量が1日当たり約120万バレル減の日量3,250万バレルに減産する方向で合意がまとまった模様です。

→2016年第3四半期速報

 ○2016年第3四半期のEPSは予想を上回り、営業利益は71%の企業が、売上高は55%の企業が予想を上回る結果となりました。第4四半期のEPS予想は従来予想(前期比1.8%低下)が据え置かれましたが、四半期として過去最高益を達成する可能性もあります。

 ○企業は引き続き、新規発行株数を上回る自社株買いを行っていますが、第2四半期に続き、第3四半期もペースは鈍化しています。

 ○第3四半期の設備投資は前期比では概ね横ばい(ノイズ程度)でしたが、前年同期比では5%減少しました。

  ■エネルギーを除くS&P500構成企業の設備投資は、前期比2%増、前年同期比4%増

 ○企業が保有する現金残高は過去最高を大幅に上回り、第2四半期と比べて1,100億ドルも増加しました。現金残高の上位5社は引き続き全てIT企業が占めています。

→各国中央銀行は議論を継続

 ○日銀は先ごろ変更した政策を据え置き、足元でインフレ率が押し上げられていないことを認めた上で、目標とする2%の達成時期を2018年中としました。

 ○イングランド銀行は政策金利を据え置き、追加利下げの可能性が弱まったことを示唆しました。

 ○FOMCで、予想通りに利上げは先送りされましたが、12月利上げの可能性は引き続き示唆されており、先物市場が織り込む12月利上げの可能性は100%となっています。

 ○ECBのドラギ総裁は10月の政策理事会で、2017年3月を期限とする月額880億ドルの債券買い入れプログラムの延長について議論しなかったことを明らかにしましたが、12月8日の次回会合で話し合われるとみられます。

 ○メキシコ中銀は政策金利を0.50%ポイント引き上げて5.25%とし、米国の選挙結果を受けて「あらゆる地域で金融市場のボラティリティが上昇した」との見方を示しました。

→成立した買収案件と白紙になった案件

 ○General Electric(GE)は自社の石油・ガス事業とBaker Hughes(BHI)を統合させる計画を明らかにしました。同社はBaker Hughesの既存株主に1株当たり17.40ドル(総額74億ドル)の特別配当を実施する予定です。

 ○通信サービスCenturyLink(CTL)は、同業のLevel 3(LVLT)を250億ドルで買収すると発表しました。

 ○石油精製大手Tesoro(TSO)は、同業のWestern Refining(WNR)を41億ドルで買収することを明らかにしました。

 ○製薬大手Pfizer(PFE)は、報道によると、一般医薬品事業の売却あるいはスピンオフを検討しています。同事業の価値は140億ドルと推定されています。

 ○ヘルスケア製品メーカーJohnson & Johnson(JNJ)は、スイスのバイオ医薬品企業Actelion(ALIOY)と買収交渉を行っていると報じられました。現在、Actelionの時価総額は170億ドルです。

 ○白紙となった案件:Gannett(GCI)は、「シカゴ・トリビューン」や「ロサンゼルス・タイムズ」を発行するtronc(TRNC)の買収を断念すると発表しました。

 ○白紙となった案件:米たばこ大手Reynolds American(RAI)は、同業のBritish American Tobacco(BTI)による470億ドルでの買収提案を拒否しました。BATが提示金額を引き上げる可能性も残っています。

 ○白紙となった案件:Time Incorporated(TIME)は、Edgar Bronfman氏が率いる投資家グループによる二度目の買収提案を退けました。


→10月の雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比16万1,000人増と、予想の17万8,000人増を下回りました。一方、9月分は従来発表の15万6,000人増から19万1,000人増に上方修正されました

 ○失業率は5.0%から4.9%に低下しました。

 ○労働参加率は前月の62.9%から62.8%に低下しました。

 ○週平均労働時間は横ばいの34.4時間でした。

 ○ただし、特筆すべき点として、時間当たり賃金は9月の25.79から25.92に前月比0.4%増加し、前年同月比では2.8%増と2009年以来最高の伸びを記録しました。

 ○11月のADP民間雇用者数は、予想の16万人増に対して、21万6,000人増と力強い伸びとなりました。11月の雇用統計は12月2日(金)に発表されます。

→企業によるレイオフの発表が続きました

 ○情報サービス企業のThomson Reuters(TRI)は従業員2,000人の人員削減を発表しました(同社の世界全体の従業員数は4万8,000人)。

 ○航空機メーカーBoeing(BA)は人員500人を削減し、二つの生産工場を閉鎖することを発表しました。

 ○太陽光発電メーカーFirst Solar(FSLR)は、従業員の4分の1以上にあたる1,600人の人員削減を発表しました。

 ○通信サービス大手Verizon Communications(VZ)傘下のインターネットサービス大手AOLは従業員の5%にあたる500人の人員削減計画を明らかにしました。

 ○ドイツの自動車メーカーVolkswagen(VLKAY)は、大規模な事業再編計画を発表し、今後5年間に3万人(そのうち、ドイツ国内が2万3,000人)の人員削減を行うことを明らかにしました。

→住宅市場は引き続き、明るい材料となりました

 ○10月の住宅着工件数は年率換算132万3,000戸と、予想の116万8,000戸を上回りました。また、住宅建設許可件数も、同122万9,000戸と、予想の119万戸を上回りました。

 ○9月のFHFA住宅価格指数は前月比0.6%上昇しました。

 ○10月の中古住宅販売件数は年率換算560万戸で、前年同月比5.9%増となりました。

 ○10月の新築住宅販売件数は年率換算56万3,000戸となりました(予想は下回りました)。

 ○9月のS&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数は前月比0.1%上昇して過去最高を記録しましたが、前年同期比は8月の5.2%上昇から5.1%上昇に伸びが鈍化しました。

→経済指標関連では

 ○10月の自動車販売台数は年率換算1,800万台と、2015年11月以来の高水準を記録しました。

 ○10月の小売売上高は前月比0.8%増と、予想の0.6%増を上回りました。

 ○10月のPPIは前年同月比0.8%上昇、コアPPIは1.2%上昇となりました。

 ○10月のCPIは前年同月比1.6%上昇、コアCPIは2.1%上昇となりました。

 ○10月の個人所得は前月比0.6%増、個人消費支出は0.3%増でした。

 ○10月のPCE価格指数は前年同月比1.4%上昇、コアPCEは1.7%上昇でした。

 ○第3四半期の非農業部門労働生産性は前期比年率3.1%上昇と、予想(2.2%上昇)を大幅に上回る反発を示しました(第2四半期は同0.2%低下)。

 ○10月のマークイット・サービス業PMIは、9月の52.3から54.8に上昇しました。

 ○10月のISM非製造業景況指数は54.8と、9月の57.1から低下しました。

 ○10月の耐久財受注は前月比4.8%増と、予想の1.5%増を大幅に上回りました。

 ○9月の建設支出は予想の前月比0.6%増に対して、0.4%減となりました。

 ○9月の製造業受注は予想の前月比0.2%増に対して、0.3%増となりました。

 ○第3四半期の企業利益は前年同期比5.2%増でした。

 ○11月のコンファレンス・ボード消費者信頼感指数は107.1と、10月の100.8から大幅に上昇しました。

 ○2016年第3四半期のGDP改定値は、速報値の前期比年率2.9%増から3.2%増に上方修正されました。確報値は12月22日に発表されます。

→S&Pダウ・ジョーン・インデックスは10月に、医療サービスのAmSurg(AMSG)と不動産のMid-American Apartment Communities(MAA)をS&P500指数に組み入れた一方、資産運用のLegg Mason(LM)と金属・ガラスのOwen’s Illinois(IO)を同指数から除外しました。

 ○両方の変更ともに、S&P中型株400指数からの入れ替えによるものでした。

→フィットネスをしながら、天高く飛びなさい . たとえ落ちたとしても、もう少しで全てを手に入れられるところだったことを忘れないで

 ○上場後、一時株価が大幅に上昇した健康管理・フィットネス・ウェアラブル端末メーカーのFitbit(FIT)は、決算が市場予想とガイダンスをともに下回ったことが嫌気され、11月は37.0%下落しました。11月の終値は8.36ドルと、2015年6月のIPO価格30.40ドルを72.5%下回っています(2015年8月の高値51.90ドルからは83.9%の下落)。

 ○ウェアラブルカメラメーカーのGoPro(GPRO)は低調な四半期決算を受けて、11月に21.9%下落し、9.98ドルで取引を終えました。同社株は2014年9月には94ドルまで上昇しており、2014年6月のIPO価格は24ドルでした。

→その他の注目材料は以下の通りです

 ○イングランド銀行のカーニー総裁は、予想されるEU離脱の期限よりも先の2019年6月まで現職にとどまる意向を明らかにしました。

 ○英高等法院はEU離脱の手続きを正式に開始するには議会承認が必要との判決を下しました。判決はメイ首相にとって痛手となります(首相は上訴する方針です)。今回の判決を受けて政治情勢も離脱プロセスに影響を与えることが見込まれ、2017年3月に予定されているEUへの離脱通告が遅れる可能性があります(通告から2年後に離脱が発効します)。

 ○IEAは、長期の石油需給見通しを据え置き、世界の石油需要は2015年の日量9,250万バレルから2040年には同1億350万バレルに増加するとの予想を示しました。また、中国が米国に代わり最大の石油需要国になるとの見通しを示し、代替エネルギー源を見出すことの困難さついても指摘しました。

 ○ドイツのメルケル首相が2017年の連邦議会下院選挙に首相候補として出馬し、4期目を目指す意向を表明しました。選挙では、支持が拡大している右派と左派双方の主張に対して同首相の政策が試されることになります。

 ○ホリデー商戦に関する当初発表によると(今後修正される予定)、感謝祭の週末にオンライン販売にアクセスしたビジター数は推定で1億9,000万人、支出額は昨年を18%上回る52億7,000万ドルとなっています。一方、実店舗の来店客数は推定で9,900万人、売り上げは10%減となっています。

→サイバーマンデーのオンライン・ビジター数は推定で10%増、売り上げは340億ドルでした。

 ○高級宝飾品・ギフト製品のTiffany(TIF)は、トランプ・タワー(ニューヨーク5番街に位置し、トランプ氏が居住)に隣接する旗艦店で、最近のトランプ氏に対する抗議デモや追加のセキュリティの必要性から、打撃を受けたことを明らかにしました。

12月のフューチャー・ショック

 
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ハワード・シルバーブラット
S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス
シニア・インデックス・アナリスト

本翻訳は、英文原本から参照用の目的でS&Pダウ・ジョーンズ・インデックス(SPDJI)が作成したものです。
SPDJIは、翻訳が正確かつ完全であるよう努めましたが、その正確性ないし完全性につきこれを保証し表明するものではありません。英文原本についてはこちらをご参照ください。
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配信元: みんかぶ株式コラム

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