自動化の落ち着きどころを考える

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最新投稿日時:2016/01/04 16:34 - 「自動化の落ち着きどころを考える」(みんかぶ株式コラム)

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自動化の落ち着きどころを考える

著者:舞妓さん
投稿:2016/01/04 16:34

2015年も自動化の話題は豊富、消費者向け分野で興味深い発表が幾つか

2015年を振り返ると、改めていろいろな話題が株式市場で取り上げられました。その中でも『自動化』関連は引き続き注目の的であったと思われます。特に、これまでの産業分野に加え、2015年は消費者向け製品で興味深い発表がいくつかありました。

本稿では、2015年に発表された『自動化』関連の話題から消費者向け製品を2つ紹介し、2016年以降の同テーマの落ち着きどころについて述べたいと思います。
 

全自動洗濯物折り畳み機『laundroid』は約375日もの生活時間を解放

2015年10月に開催されたIT・エレクトロニクス総合展CEATEC JAPANにて、seven dreamers laboratories株式会社が世界初の全自動洗濯物折り畳み機『laundroid(ランドロイド)』を展示発表しました。

同社はWebサイトにおいて、(1)一般的な家庭で一生のうち洗濯作業に費やす時間は約18,000時間、(2)そのうちの約50%の約375日が洗濯物を畳み・分配し・運んでいる時間に該当、(3)同社の『laundroid(ランドロイド)』によって人生における約375日が解放される、と説明しています。

確かに素晴らしい製品ではあるものの、発表を受けて、会場やインターネット上では「現状、1枚折り畳むのに要する時間は5-10分」という点や、そもそもの導入費用が高そうな点が課題として挙げられていました。

それでも、時間の経過と生産数量の増加は単位あたりの導入費用を低下させることが可能と見られることや、折り畳む作業を就寝中に行えば1枚の洗濯物を折り畳む時間は大きな問題にならないことなどを考えると、近い将来に『laundroid(ランドロイド)』が身近なものになる可能性は大いにあると思われます。

Tesla Motorsの自動運転機能『Autopilot』は良くも悪くも大きな話題を呼ぶ

電気自動車『Model S』で知られる米Tesla Motors は、2015 年10 月に自動運転機能『Autopilot』を搭載した最新の同社自動車向けソフトウェアをリリースしました。この最新ソフト(Version 7.0)では、限定された条件下においてハンドルやアクセルなどから手足を離した状態で走行出来る機能が搭載され、大きな話題を呼びました。

Tesla Motorsのこうした取り組みは、本来、運転手の負担を軽減したり、事故を未然に回避する上での補助的な役割として提供されています。しかし実際には、この『自動運転』に近い機能にばかり目が行ってしまった人々による危険な運転行為や報告が次々と動画サイトなどに掲載され、かえって悪目立ちしてしまいました。

自動運転に関する技術は日進月歩であり、かつ、自動車での移動が必要不可欠な現実社会における恩恵も多いことから、今回のTesla Motorsのソフトウェアの一件をもって「自動運転は危険だ」と断じてしまうのは早計と考えます。ただ、今後この分野が発展普及するために解決すべき課題が実に多いことを再認識させるのに十分な出来事ではあったと思われます。

今後の消費者向け自動化製品の普及過程は『常識を持って考える』のも一考

新しい技術を導入する上での重要な要素のひとつに『費用対効果』があります。どれだけ素晴らしい効果が得られても、とてつもなく高額では、残念ながらお話になりません。

既報の通り、産業分野では、労働賃金とロボットほか自動化システムの『費用対効果を』考慮した結果、比較的はやく適用が進んでいます。そして、今後注目される消費者分野でも理屈は同じと思われます。実際、家庭向け自動食洗機やお掃除ロボットなどは、価格の低下と認知度の向上によって、我々の生活においては身近な商品となっています。

加えて、消費者分野においては『使い手の嗜好』も普及を左右する要素になるかもしれません。具体的には、運転そのものが好きな人にとっては自動運転にあまり必要性と魅力を感じなかったり、PCでの文書作成が一般的になった今でも手書きの手紙のほうが好まれるといったことが挙げられます。

ともあれ、自動化というテーマは2016年以降さらに我々の身近なものになっていくと思われます。投資においては、『テーマが具体化する時間軸』と『その担い手が誰なのか』というのがとても重要になります。

過去の『デジタルからアナログの移行』を参考にすると、自動化の普及は進むものの、その過程において株式市場は期待と失望を繰り返すと予想されます。その際には、伝統的な『費用対効果』の考え方に加えて、『使い手の嗜好』の変化が特に時間軸に大きく影響する可能性があると考えられます。

技術を適切に評価することはプロの技術者でも容易ではありません。ただ、我々の生活に普及する過程については、あまり難しく考えずに「自分は値段がいくら位だったらこの製品を買いたい」「ほかの人はこの製品に興味を持つのだろうか」といった『常識を持って考える』という金言のほうが役に立つかもしれません。
 

※ 当コラムは執筆者の見解が含まれている場合があり、スパークス・アセット・マネジメント株式会社の見解と異なることがあります。上記の企業名はあくまでもご参考であり、特定の有価証券等の取引を勧誘しているものではございません。

このページのコンテンツは、スパークス・アセット・マネジメント㈱の協力により、転載いたしております。
配信元: みんかぶ株式コラム

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