海外視察に行った人が、現地からの生の声などと報告することがある。日本にいるだけだと、そうかそうかと、耳を傾けたくなるものだ。耳を傾けるのはいい。しかし、それを「真実」だと思い込むと、世の中を1つの眼鏡を通して見てしまうことになる。
私は野村證券のニューヨークにいた時に、日本の機関投資家、全金融機関相手のリレーション担当のような仕事をしていた事があった。時には、生保や信託銀行(年金など)のファンドマネージャーたちを引き連れて、野村主催の現地企業訪問をすることがあった。
プロクター&ギャンブルやバドワイザー、ロッキードやグラマン、薬品会社などの超大手企業でも、日本の機関投資家に株式を買って貰いたいために、役員、時には社長自らが社内を案内してくれ、プレゼンテーションを行い、ランチや土産までくれる。私が参加したものだけで、訪問が合計で20数社。ニューヨークのホテルでの会社説明会が100社近くあったと思う。
それで何が分かるか? 企業の言いたいことだけが分かる。
例えば皆さんでも、自分が住んでいる町の、どの位のことを把握しているだろうか? 勤めている会社のどれだけのことを分かっているだろうか? 東芝では社員のほとんどが会社の実情を知らなかったのだ。
相場で最も信頼性が高い情報は値動き、次いで売買高だ。売買高は場外での取引があるので、値動きよりも少し落ちる。場外での取引では、市場でつかない値段がつく可能性があるものの、チャートなどへの記録や評価、他の人の損益には関係がないものなので、市場参加者が気にする必要がない。つまり、相場での情報は誰でもが入手できるものほど信頼性が高いのだ。
世界の動きや、マクロ経済の状況も、公的機関発表の数値や報告の方が、メディアや現地からの報告よりも信頼性が高い。
聞き耳を立てるのはいい。しかし、判断するのは自分自身だ。雰囲気とか、空気とかの表現は、あくまで、その人が(先入観や他人の意見を参考に)そう感じただけなのだ。
良いお年を!
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