日本のサービス価格は安すぎる

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最新投稿日時:2015/10/02 11:09 - 「日本のサービス価格は安すぎる」(みんかぶ株式コラム)

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日本のサービス価格は安すぎる

著者:舞妓さん
投稿:2015/10/02 11:09

【要約】
仕事柄、海外のお客さまを訪問する機会をいただくことがあります。欧州や米国、アジアなどのお客様を訪問させていただいており、驚かされるのがホテルの宿泊料金の日本と海外の違いです。国内出張と海外出張の宿泊費用の差があまりにも大きいことに気付かされました。一概にホテルの宿泊料金といっても、高級感、設備内容、部屋の大きさ、使用目的によって料金は大きく異なりますので、世界的に展開している高級ホテルを例に東京と海外主要都市を比較してみました。

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東京の水準は、欧州、米国との差が大きいことに気が付きますが、経済規模が小さい香港の水準をも下回る水準であることに驚かされます。また宿泊するという比較的シンプルなサービスでこれほど差が開いているのはなぜでしょうか。

原因は2つ考えられます。デフレと為替相場の水準です。日本では90年代後半から約20年間デフレが続いてきました。企業収益の減少、給与所得の低下によって、需要の減少、人件費などのコスト低下の両面から宿泊料金の下落が年々進んできたと考えられます。一方で同時期の海外経済を見てみると、リーマンショックで一時的な変動はありましたが、人件費などの上昇を転嫁するために継続的に値上げが行われてきたと考えられます。デフレとインフレの20年の積み重ねが大きな差を生んできたのです。

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また2012年のアベノミクス後、為替市場で円安が大きく進行したこともこの差を更に拡大させました。

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これはホテルの宿泊料金だけに見られる特別な現象ではありません。同じような理由で日本のあらゆるサービス料金が海外の料金に比べて圧倒的に割安になっているのです。


世界的テーマリゾートの入園料金、スキーリゾートのリフト券料金でもホテルの宿泊料金と同様の格差があることがご覧いただけます。

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直接の比較は困難ですが、著名ガイドブックの星付きレストランのディナー料金、牛丼などのファストフードの料金でも大きな差が見られます。都市の治安、食品の安全、サービス意識の高さなど日本のサービスの質の高さを考慮するとこれほどまでの差があることは理解できません。長期のデフレ経済が生んだ不均衡と言えるのではないでしょうか。

それでは、この不均衡を解消させるきっかけはあるのでしょうか。私たちは訪日外国人旅行者とデフレ経済脱出の2つが大きな推進力となると考えています。昨年から訪日外国人旅行者は増加が顕著になってきましたが、彼らにとってはホテル宿泊料金、リゾート施設の利用料金、食事料金などあらゆる日本のサービスが割安に映っていることでしょう。実際にホテルの宿泊料金は外国人旅行者の利用増加をきっかけに今年から上昇傾向が鮮明になっています。

また昨年度から多くの日本企業が給与のベースアップを行っています。同時に求人数の増加によってパートタイマーの時給の上昇も顕著になっています。日本銀行の短観調査でもサービス業の人材不足感は高まっています。人件費の上昇というコスト要因からもサービス料金は構造的に上昇する局面に入った可能性が高いと考えています。

同時にこれは一時的な動きではないと考えています。日本経済が長期にわたるデフレ経済を脱出し正常なインフレ経済に転換するのに歩調を合わせて、ホテルの宿泊料金、リゾート施設の利用料金、飲食料金など、日本のサービス料金は長期的に上昇していくのではないかと考えています。

※当コラムは執筆者の見解が含まれている場合があり、スパークス・アセット・マネジメント株式会社の見解と異なることがあります。

このページのコンテンツは、スパークス・アセット・マネジメント㈱の協力により、転載いたしております。
配信元: みんかぶ株式コラム

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