アラブ首長国連邦(UAE)のマズルーイ・エネルギー相は15日、原油価格の下落が続いているものの、OPECは緊急会合を開く必要はなく、少なくとも3カ月ほど様子を見るとの認識を示した。また、「OPECは世界の原油価格のスイング・プロデューサーではない。OPECがその他の産油国のために原油価格を調整するのは不公平にあたる」とし、原油価格が40ドルに下落しても、生産調整は行わないだろうとした。
一方、ゴールドマンサックスは原油価格60ドル近辺では、約1兆ドル相当のプロジェクトが開始されないだろうとの見通しを示した。結果的に10年タームでは、世界の原油需要の8%に当たる日量約750万バレルの供給が損なわれるとした。
米エネルギー関連会社は2010年の始めから5500億ドルの債券を発行した。原油価格の下落を受け、採掘業者のなかには、1.15ドルで掘り出したものを1ドルで販売するところが出てきている。エネルギー関連ジャンク債の利回りは、2014年6月の5.7%から、12月の始めには9.5%に上昇、5年来の高水準となった。なかには、27.7%にまで上昇した債券もある。来年のデフォルト確率は今年の2倍の8%に達すると見られている。
2009年の6月から石油・ガス操業サポート部門の雇用者数は70%増、採掘部門は34%増だった。原油価格の下落を受け、エネルギー関連企業はすでにリストラを始めている。
参照:Fed Bubble Bursts in $550 Billion of Energy Debt: Credit Markets
http://www.bloomberg.com/news/2014-12-11/fed-bubble-bursts-in-550-billion-of-energy-debt-credit-markets.html
米原油先物WTIの15日の終値は55ドル台だったが、カナダはすでに40ドル以下で重油の販売を開始した。2015年には14年比36%増の14件のオイルサンドのプロジェクトが開始する予定で、日量26万6240バレルの供給増が見込まれている。
参照:Oil Sands Output Rises as Canadian Crude Falls Below $40
http://www.bloomberg.com/news/2014-12-15/oil-sands-output-rises-as-canadian-crude-falls-below-40.html
エクソンモービルなどの石油メジャーは、原油価格40ドルまでの下落には対応できるとしていた。マズルーイUAEエネルギー相の40ドル発言は、おそらくそのことを踏まえた上での牽制かと思われる。OPECが減産しないのは、増産しているのが米国やカナダなのに、原油価格の下落をOPECのせいにされるのは納得がいかないためかと思う。自由経済で市場に委ねるというのなら、それでもいいというのが、OPECの立場だ。また、OPECにとっての市場経済の相手は、米国原油などだけでなく、発電コストの低下が著しい再生可能エネルギーもあるかと思う。
原油価格を含め、エネルギー価格、電気代などの下落は消費者には大きなプラスだ。エネルギーを大量に消費する製造業などの産業にも大きなプラスとなる。航空会社などはすでに最高益の見通しを発表したところが出てきている。
エネルギー関連企業が被るデメリットや雇用減、そこからの税収減と、エネルギー価格というインフラコストが低下することによる消費、製造業、小売、物流、観光などのメリット、そこからの税収増とを秤にかけると、原油価格の下落は世界経済にプラスだといえる。
原油価格の下落を受け、15日の世界の株式市場は軒並み下落したが、中長期的には好材料だ。米FOMC後には反発する可能性すらある。
マーケットウォッチは、今買える石油株として以下の4社を取り上げた。
Chevron(銘柄コード:CHV)配当利回り:4.12%
ConocoPhillips(銘柄コード:COP)配当利回り:4.74%
ExxonMobil(銘柄コード:XOM)配当利回り:3.18%
Suncor Energy(銘柄コード:SU)配当利回り:3.66%
参照:Four oil stocks to buy now
http://www.marketwatch.com/story/four-oil-stocks-to-buy-now-2014-12-15?dist=tbeforebell
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