■中期経営計画
1. “Century 2025”計画
三機工業<1961>は前期(2016年度)から創立100周年の2025年度に向けて、10年間の長期ビジョン“Century 2025”を発表している。この長期ビジョンの最終目標を「選ばれる会社」と定め、その目標達成のために10年間を以下の3つのPhaseに分け、中期経営計画に基づく事業戦略を推進していく方針を掲げている。
2. 三機大和地区再開発計画(STeP:Sanki Techno Park計画)の進捗状況
この中期経営計画“Century 2025”Phase1における重要施策の1つとして掲げられていたのが「大和地区の再開発」だが、同社は、この再開発計画を「STeP:Sanki Techno Park計画」と名づけてその概要を発表している。まずこの計画は、大きく(1)三機テクノセンターの構築、(2)機械システム事業部門の製造工場の再編、(3)保有資産の有効活用に分けられているが、以下が各事業の現在の進捗状況と今後の予定である。
(1) 「三機テクノセンター」の構築工事本格開始
“Century 2025”Phase1の目標の1つは、「技術と人の質の向上」であるが、その目標達成のために「三機テクノセンター」構築計画を発表済みである。この計画では、旧三機大和ビルA館(SRC造地上6階地下1階 延床面積約45千平米)を改修して総合研究・研修施設「三機テクノセンター」として活用するものだが、既に今年度上半期に改修工事が本格的に開始され、2018年10月頃には運営開始される予定だ。
また、その「三機テクノセンター」構築の一環として、新技術研究所の同センター内への設置も発表されているが、従来の技術研究所の解体に伴い、今年度上半期に研究所は三機大和ビル内に仮移転している。今後は、三機テクノセンターの全面オープンに先駆け、2018年4月頃には新技術研究所が三機テクノセンター内で運営を開始する予定となっている。
(2) 機械システム工場の再編
「機械システム事業部門製造工場の再編」では、新しい機械システム製造工場(敷地面積約11千平米、建屋面積約5.5千平米)を旧標準品工場の位置に建替えることを発表しているが、この建替えのために今年度上半期に機械システム工場は湘南地区に仮移転済みで、2019年8月頃には新工場の運営が開始される見込みである。
(3) 大和事業所の工場施設等を解体中
上記の機械システム製造工場や技術研究所等からなる大和事業所各施設の解体工事を現在進めている。この解体工事のための費用を2018年3月期第2四半期に特別損失として計上済みだが、下半期にも一部計上される見込みだ。この解体工事完了後、その土地の一部に上記機械システムの新工場を来年度から建設予定であるが、残りの敷地については保有資産の有効活用の観点から賃貸用不動産として整備することが今年度上半期に発表された。約41千平米のこの土地については2018年春頃から賃貸を開始する予定で、2019年3月期以降は、不動産事業の売上高・利益がさらに上積みされる見込みだ。
3. 各種施策の進捗状況
この“Century 2025”Phase1では、上記の「大和地区の再開発」が重要施策の1つとして掲げられているが、それ以外の様々な定性的な施策も掲げられている。以下は、それらの今年度進捗状況である。
(1) 現場支援組織の充実
a) 調達本部:2017年4月より、全店で発注業務を電子化する「調達WEBシステム」が稼動開始。
b) サイト業務センター:元請現場へのグリーンサイト導入、労務安全管理関連支援開始など業務範囲拡大。取扱件数=942件(前年同期比91件増)
c) 設計支援センター:エンジニアリング統括室に設計支援センターを統合し、全店的に設計業務を支援。 同59件(同29件増)
(2) 生産性向上に向けたICT投資
a) タブレット端末の有効活用:グループ全体でタブレット端末1,200台を施工現場を中心に導入。業務効率化を継続して推進。
b) 技術資料検索システムの開発:社内に分散している技術資料を、グループ社員がどこからでも横断的に検索できる仕組みを構築中。
(3) 働き方改革「スマイルプロジェクト」3年目
同社では、社長をリーダーとする働き方改革の取組みを推進するプロジェクトを既に2015年10月から導入している。
a) トップメッセージ発信:「休みを取る意志、休める環境づくり、休ませる決意」を推進。
b) 長時間労働を減らす:残業時間の目標時間を部門別に設定。
c) 時間管理を緻密に:勤務表とは別に残業時間管理ツールを新たに導入。
d) より働きやすく:ジョブリターン、在宅勤務(テスト運用)、社宅見直し 等。
(4) コミュニケーションアップの取組み
昨年度(2017年3月期)、社長が全店を回り約300名の社員と直接意見交換したが、今年度は各部門長がこれを実施する。下半期から開始して、全55回を計画している。また昨年度に続き、女性社員交流会「三機レディ座談会」第2回を今後実施予定。
(5) ESGの切り口から
また同社では、ESGの視点から、以下のような施策を進めている。
a) 環境(E)
1)「SANKI YOUエコ貢献ポイント」2016年度下期分寄付実施
2)新設のエネルギー回収型廃棄物処理施設をDBO方式で受注
3)木質バイオマスガス化発電施設納入(再生可能エネルギー関連)
4)NEDO等と共同で中国上海市で高度省エネルギー設備納入
5)経済産業省が2017年度に新設した「ZEBプランナー」登録
b) 社会(S)
1)同社独自の働き方改革「スマイル・プロジェクト」が3年目に
2)施工管理職に特化した上記プロジェクトの専門委員会として「スマイル・サイト・プラン」を発足
3)女性専用相談窓口「女性ほっとライン」新設
c) 企業統治(G)
1)取締役会評価内容の充実
2)議決権電子行使プラットフォームへの参加
3)コーポレートガバナンスに特化した役員意見交換会実施
4)取締役会に対する議案上程基準の見直し着手
5)株主との対話の充実(体制増強し回数増、個人投資家向け説明会)
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<TN>
1. “Century 2025”計画
三機工業<1961>は前期(2016年度)から創立100周年の2025年度に向けて、10年間の長期ビジョン“Century 2025”を発表している。この長期ビジョンの最終目標を「選ばれる会社」と定め、その目標達成のために10年間を以下の3つのPhaseに分け、中期経営計画に基づく事業戦略を推進していく方針を掲げている。
2. 三機大和地区再開発計画(STeP:Sanki Techno Park計画)の進捗状況
この中期経営計画“Century 2025”Phase1における重要施策の1つとして掲げられていたのが「大和地区の再開発」だが、同社は、この再開発計画を「STeP:Sanki Techno Park計画」と名づけてその概要を発表している。まずこの計画は、大きく(1)三機テクノセンターの構築、(2)機械システム事業部門の製造工場の再編、(3)保有資産の有効活用に分けられているが、以下が各事業の現在の進捗状況と今後の予定である。
(1) 「三機テクノセンター」の構築工事本格開始
“Century 2025”Phase1の目標の1つは、「技術と人の質の向上」であるが、その目標達成のために「三機テクノセンター」構築計画を発表済みである。この計画では、旧三機大和ビルA館(SRC造地上6階地下1階 延床面積約45千平米)を改修して総合研究・研修施設「三機テクノセンター」として活用するものだが、既に今年度上半期に改修工事が本格的に開始され、2018年10月頃には運営開始される予定だ。
また、その「三機テクノセンター」構築の一環として、新技術研究所の同センター内への設置も発表されているが、従来の技術研究所の解体に伴い、今年度上半期に研究所は三機大和ビル内に仮移転している。今後は、三機テクノセンターの全面オープンに先駆け、2018年4月頃には新技術研究所が三機テクノセンター内で運営を開始する予定となっている。
(2) 機械システム工場の再編
「機械システム事業部門製造工場の再編」では、新しい機械システム製造工場(敷地面積約11千平米、建屋面積約5.5千平米)を旧標準品工場の位置に建替えることを発表しているが、この建替えのために今年度上半期に機械システム工場は湘南地区に仮移転済みで、2019年8月頃には新工場の運営が開始される見込みである。
(3) 大和事業所の工場施設等を解体中
上記の機械システム製造工場や技術研究所等からなる大和事業所各施設の解体工事を現在進めている。この解体工事のための費用を2018年3月期第2四半期に特別損失として計上済みだが、下半期にも一部計上される見込みだ。この解体工事完了後、その土地の一部に上記機械システムの新工場を来年度から建設予定であるが、残りの敷地については保有資産の有効活用の観点から賃貸用不動産として整備することが今年度上半期に発表された。約41千平米のこの土地については2018年春頃から賃貸を開始する予定で、2019年3月期以降は、不動産事業の売上高・利益がさらに上積みされる見込みだ。
3. 各種施策の進捗状況
この“Century 2025”Phase1では、上記の「大和地区の再開発」が重要施策の1つとして掲げられているが、それ以外の様々な定性的な施策も掲げられている。以下は、それらの今年度進捗状況である。
(1) 現場支援組織の充実
a) 調達本部:2017年4月より、全店で発注業務を電子化する「調達WEBシステム」が稼動開始。
b) サイト業務センター:元請現場へのグリーンサイト導入、労務安全管理関連支援開始など業務範囲拡大。取扱件数=942件(前年同期比91件増)
c) 設計支援センター:エンジニアリング統括室に設計支援センターを統合し、全店的に設計業務を支援。 同59件(同29件増)
(2) 生産性向上に向けたICT投資
a) タブレット端末の有効活用:グループ全体でタブレット端末1,200台を施工現場を中心に導入。業務効率化を継続して推進。
b) 技術資料検索システムの開発:社内に分散している技術資料を、グループ社員がどこからでも横断的に検索できる仕組みを構築中。
(3) 働き方改革「スマイルプロジェクト」3年目
同社では、社長をリーダーとする働き方改革の取組みを推進するプロジェクトを既に2015年10月から導入している。
a) トップメッセージ発信:「休みを取る意志、休める環境づくり、休ませる決意」を推進。
b) 長時間労働を減らす:残業時間の目標時間を部門別に設定。
c) 時間管理を緻密に:勤務表とは別に残業時間管理ツールを新たに導入。
d) より働きやすく:ジョブリターン、在宅勤務(テスト運用)、社宅見直し 等。
(4) コミュニケーションアップの取組み
昨年度(2017年3月期)、社長が全店を回り約300名の社員と直接意見交換したが、今年度は各部門長がこれを実施する。下半期から開始して、全55回を計画している。また昨年度に続き、女性社員交流会「三機レディ座談会」第2回を今後実施予定。
(5) ESGの切り口から
また同社では、ESGの視点から、以下のような施策を進めている。
a) 環境(E)
1)「SANKI YOUエコ貢献ポイント」2016年度下期分寄付実施
2)新設のエネルギー回収型廃棄物処理施設をDBO方式で受注
3)木質バイオマスガス化発電施設納入(再生可能エネルギー関連)
4)NEDO等と共同で中国上海市で高度省エネルギー設備納入
5)経済産業省が2017年度に新設した「ZEBプランナー」登録
b) 社会(S)
1)同社独自の働き方改革「スマイル・プロジェクト」が3年目に
2)施工管理職に特化した上記プロジェクトの専門委員会として「スマイル・サイト・プラン」を発足
3)女性専用相談窓口「女性ほっとライン」新設
c) 企業統治(G)
1)取締役会評価内容の充実
2)議決権電子行使プラットフォームへの参加
3)コーポレートガバナンスに特化した役員意見交換会実施
4)取締役会に対する議案上程基準の見直し着手
5)株主との対話の充実(体制増強し回数増、個人投資家向け説明会)
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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