例年以上に警戒が必要
「著者が本書を著すことを動機づけたのは、アニバーサリー・デイトである。研究によって、筆者は過去の高値、安値を付けたのと同じ月に、株が重要なトレンド転換を果たしていることを発見した。このような時間的なターゲットを筆者はアニバーサリー・デイトと呼ぶ。これらの時を注意深く見守る事で、重要なトレンド転換を探る事ができる」
ドル円に関しては、1月と4月(~5月)に、アニバーサリー・デイトが集中する。長期トレンド転換では、1995年4月、95円台への円高から転換した局面、97年の5月GWには127円台の円安から円高への転換、99年5月には、124円台の円安から円高へ転換しているポイントとなっている。2000年以降も、2000年4月には円安トレンド開始ポイント、2001年には126円台の円安から反転したのが4月。
ドル円の重要な節目として機能している。
今年の4月~5月は、政治関連を含め、重要イベントが集中する。米中首脳会談を前に、トランプ大統領は3月31日、貿易赤字の削減をめざす大統領令を正式に発令。「不公正貿易」に対して「極めて重い代償を負う」と述べ、制裁関税などの強硬策も辞さない構えを示している。大統領令には具体的な相手国は明示しなかったが、ロス商務長官は30日、中国や日本、ドイツなどを名指し、調査する考えを表明。日米2国間貿易については新設される「日米経済対話」(4月18日:東京)で協議する事になっているものの、対米黒字の7割強を占める自動車関連がやり玉に挙がる可能性は残る。
また、トランプ大統領は2日付の英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビューで、北朝鮮の核開発問題について、中国が解決に消極的であれば米国は単独での対処も辞さないと警告しており、朝鮮半島情勢の急変にも注意したい。5月9日には韓国大統領選挙が行われるが、最大野党「共に民主党」は3日、予備選で文在寅・前代表を党の候補に選出した。文氏は対外政策を朴政権から大きく変える姿勢をとっている。文在寅氏は、「戦後の韓国の歴史は、親日派をきちんと清算しなかった汚れた歴史だ」との発言もしている。慰安婦問題をめぐる日韓合意や日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の見直しを掲げ、韓国で配備の米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備延期を主張。大統領になったら、米国より「北朝鮮に先に行く」と述べている。日米韓同盟の破綻リスクも浮上してくる中、米国の北朝鮮攻撃のタイミングとしては、韓国次期大統領が決まる(5/9)前の、5月前半が第一候補と見る向きもある。米中首脳会談では、経済問題以上に北朝鮮問題が重要議題となる可能性もあろう。
今週は、雇用統計や米中首脳会談を控えて様子見ムードが高まる可能性が高いものの、「嵐の前の静けさ」と考えた方が良いかもしれない。
麻生太郎副総理兼財務相が、「いま日本の新聞が書いているより深刻じゃないか」と北朝鮮情勢について語ったように、各市場で、地政学リスクの織り込み度合いが低いのが気になるところ。有事の金が、ジリジリと下値を切り上げている。ドル円に関しては、アジア地区の有事となった場合は、ファーストアクションは、円高ドル安が想定されるものの、日本(米軍基地)にミサイル着弾等あれば、急速に円安が進むリスクもあろう。戦局が早期終了のケースと長期化する場合でも、マーケットシナリオは変化してくる。
例年、日本のGWは荒れると言われるが、今年は例年以上に重要な節目を付ける可能性がある警戒が必要な年となりそうだ。