ドル高牽制=トランプ政権の基本姿勢?
特に、ラストベルト(錆びついた工業地帯)の白人中間層からの圧倒的支持を得ているトランプ大統領、および共和党政権にとって、一方的なドル高は死活問題となり得るため、今後も同様の“ドル高牽制発言”が繰り返されるであろうと見るのが一般的と言えそうです。
直近では、「デトロイト3社」と呼ばれる、自動車大手のGM・フォード・FCAの最高経営責任者(CEO)がトランプ大統領と会談し、「貿易を妨げる根源は為替操作だ」との発言を行い、トランプ大統領にドル高是正を求めたとのニュースも。
トランプ大統領の基本的な交渉姿勢は“ディール(取引)”とされており、先方が求めるものを受け入れる代わりに、こちら(トランプ大統領)側が求めるものを受け入れてもらうという、まさにビジネスで培った“Win-Win”のスタイルとも。
つまり、トランプ大統領は、米自動車大手には国外ではなく、国内に工場を作ってもらうという条件を飲んでもらう対価として、交易条件の悪化をもたらすドル高放置は行わないという“ディール(取引)”を行った可能性も想定できます。
その一方で、1990年代からの米国の“概念上”かつ“形而上”の「強いドル」政策を、トランプ大統領自ら積極的に覆すことも考えにくいため、当面は「トランプ相場」ならぬ「トランポリン相場」と表現してもいいような、ボラタイル(=値動きの激しい)な相場状況になると想定した方がいいのかもしれません。
その意味でも、投資家にとっては今後の取引において、事前に想定する以上のレンジ幅を考慮に入れつつ、リスク管理を一丁目一番地とする“ディール(取引)”を行うべきなのではないでしょうか。