米アップルでスマホ次期モデルに有機ELディスプレー採用の可能性
ソニー<6758>は、同社初となる4K有機ELテレビ「ブラビア A1Eシリーズ」を今月5~8日に米ラスベガスで開催された家電見本市「CES2017」で発表した。日本を含む世界で年内に発売する。ディスプレーを振動させ、画面から音を直接出力する独自技術「アコースティックサーフェス」を搭載。スピーカー部分をそぎ落とし、スタンドレスのデザインを実現した。サイズは77型、65型、55型の大型で展開する。
ソニーは10年前の07年に、世界で初めて有機ELテレビに参入したものの、パネル量産によるコストダウンが困難を極め、11型で20万円という高額な価格設定にもかかわらず採算的に厳しく、10年に生産を終了し撤退した経緯がある。海外メーカーからパネルを調達し再参入を図る。
パナソニック<6752>が「CES2017」で発表したのが、平面型有機ELパネルを採用し「HDR(ハイダイナミックレンジ)」と呼ばれる高画質技術により、従来の約2倍の明るさを実現した有機ELテレビ「TX-65EZ1000」で、国内発売も視野に入れている。同社は、15年から欧州で65型の4K有機ELテレビ「CZ950シリーズ」を展開していた。
東芝<6502>の100%子会社東芝映像ソリューションは11日、同社としては初めての有機ELパネルと自社開発の専用映像処理エンジンを採用し、高いピーク輝度と濃密な黒の高いコントラストを実現した4K有機ELテレビ「X910シリーズ」2機種(65型、55型)を3月上旬から発売すると発表した。
現状、有機ELディスプレーパネルはスマホ用、テレビ用を問わずサムスン電子、LG電子など韓国メーカーが圧倒的なシェアを占めている。そのなかで、台湾の鴻海精密工業傘下のシャープ<6753>が18年4~6月に試験ラインを稼働させることを目指しており、供給へ向けアップルとも協議している。また、ジャパンディスプレイ<6740>も18年3月期中に量産試作ラインを設置する予定だ。
有機EL部材関連銘柄として三井松島産業<1518>に注目。同社は13日、液晶パネルや半導体関連の部材加工業「クリーンサアフェイス技術」(CST、神奈川県寒川町)を完全子会社化すると発表した。CSTは液晶パネルなどの製造に際して、ガラス基板の上に特殊な膜を作る微細加工技術を持つ。同社の技術は、液晶パネルだけでなく、普及が進む有機ELディスプレーにも必要とされるもので、同社は、スマートフォン普及などで市場は着実に拡大しており、業績も安定的に推移すると見込みと判断して子会社化を決めた。
ダイニック<3551>は、有機ELに不可欠な高性能水分除去シートを手掛けていることから、有機EL関連として注目度が高まっている。水分ゲッターは水分除去能力が高い薄いシート状の製品。有機ELディスプレーの電極は水分による酸化腐食により著しく劣化することから、水分除去材が重要な部材となるが、水分除去能力や省スペース性からニーズが強まっている。保土谷化学工業<4112>は、有機EL材料として正孔輸送材のほか、韓国子会社を通じて発光体を手掛けている。アルバック<6728>は真空技術に強みを持つ薄型ディスプレー製造装置メーカー。同社は有機ELを含むフラットパネルディスプレー製造装置を展開している。