“曰く付き”の1月相場つき
昨年(2016年)1月のマーケットにおいても、新年早々1月4日と同7日に上海株式市場のサーキットブレーカー制度が適用された、いわゆる『チャイナ・ショック』があったことは記憶に新しいところ。その前年の2015年1月には『ギリシャ危機』が、またその前の2014年1月には『アルゼンチン・ショック』からの『新興国危機』があり、世界的なリスクオフ(リスク回避)フローが発生したという事例もあり、いわば【1月相場】は“曰く付き(いわくつき)”と捉えてみていいのかもしれません。
かつては『1月効果』(January effect)と呼ばれ、12月中に起こりやすい『タックス・ロス・セリング』※がひと段落した1月相場は上昇しやすいというアノマリーがマーケットには存在しましたが、ここもとのマーケットではその流れは変化していると言わざるを得ません。(※ 節税目的で、含み損が出ている株式等を売却して実損を出すこと。毎年12月半ばにかけて発生しやすいとも。)
そんな中、直近10年間(2007-2016年)の1月における動向について具体的に検証していきたいと思います。以下、主要銘柄(日経225、NYダウ、米ドル/円、豪ドル/円、NZドル/円)の1月 陽線・陰線表をご覧ください。
上記表からも分かる通り、過去10年間(2007-2016年)における1月の月足・陰線確率は、日経225・NYダウ・米ドル/円では.600、NZドル/円で.700、豪ドル/円に至っては.800の確率で月足・陰線となっており、つまり1月相場は下げやすいというのが過去の事例からも見て取れます。
直近3年の動向に絞ってみると、その傾向はより顕著となっており、2014年以降で1月時に月足・陽線となったのは、2015年の日経225と、昨年の米ドル/円のみとなっており、その他の1月はすべて月足・陰線、つまり【1月安】となっています。(直近3年間をベースとすると、1月陰線確率は.866。)
主に関西地方で来週から始まる戎まつり(9・10・11日)にちなんで、『戎天井、節分底』が最近の1-2月の代表的なシーズナリー・サイクル(季節循環性)とも言われている中、今月20日には、トランプ次期大統領の就任式が予定されています。
トランプ次期大統領の掲げる積極的な財政出動期待が原動力となっている“トランプノミクス”相場ですが、「1月相場」のアノマリーとともに、トランプ次期大統領の表舞台への登場が“トランプノリスク”相場のスタートとなるのでしょうか。