手掛かり難で方向感に乏しい推移、上値買う意欲やや後退

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最新投稿日時:2016/12/06 21:00 - 「手掛かり難で方向感に乏しい推移、上値買う意欲やや後退」(冨田康夫)

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手掛かり難で方向感に乏しい推移、上値買う意欲やや後退

著者:冨田康夫
投稿:2016/12/06 21:00

明日の東京株式市場見通し

 7日の東京株式市場は、手掛かり材料が不足するなか、売り買いともに手控え姿勢が強まり方向感に乏しい推移となりそうだ。イタリア国民投票での憲法改正否決という結果に対する欧米など海外市場の反応が比較的堅調だったことから東京の市場参加者にも安心感が広がった。ただ、一方でここから上に買い上がる新たな材料を見いだせずにいることも確かなようだ。

 市場関係者からは「きょう日経平均株価は、3日ぶりに反発したものの、実感としては、きのうまでとあまり変わらない“軟調地合い”の印象が強い。その要因は、寄り付き直後に前日比209円高まで買い進まれ、一時1万8500円に肉薄する場面があったものの、その後は買い姿勢がやや後退して上昇幅を縮小。後場は売買代金も減少傾向が鮮明になった」との見方が出ていた。

 6日の東京株式市場は、終始プラス圏での推移となった。ただ、寄り付き直後にこの日の高値をつけた後は、買い気が続かず伸び悩んだ。日経平均株価終値は、前日比85円55銭高の1万8360円54銭と3日ぶり反発した。

6日の動意株

 新日鉄住金<5401>=反発。
4月25日につけた2587.5円を上抜いて7カ月半ぶりに年初来高値更新。同社をはじめ高炉メーカーにとって原料炭価格の高騰がネガティブ要因とみられてきたが、コスト増加のデメリットについては認知が進み株価面で織り込まれつつあるようだ。同社株の時価PERは高いものの、来期以降の業績回復局面での最終利益の伸びは30%を上回るとの見方もあり修正余地が大きい。一方、0.8倍台の低PBRは、外国人投資家のバリューハンティングの対象として有力な根拠となっている。また、トランプラリーの本家本元である米国株市場でも大手鉄鋼メーカーの株価上昇が顕著で、金融株同様にこの流れが東京市場に波及しているとの見方も出ている。

 日本新薬<4516>=大幅続伸。
同社は5日、骨髄線維症を対象とする経口投与可能なJAK2キナーゼ選択的阻害剤NS-018について、他のJAK2阻害剤治療に不耐容または再発/難治患者に対するセカンドライン治療として有用であることが示唆されたとしており、これを好材料視した買いが入っている。カリフォルニア州・サンディエゴで開催された第58回米国血液学会において、海外で実施された第1/2相の臨床試験データを発表したという。

 東芝機械<6104>=大幅反発し、年初来高値を更新。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券が5日付で、投資判断「オーバーウエート」を継続し、目標株価を400円から510円へ引き上げたことが好材料視されている。コストダウンなどによる射出成形機の利益改善や、LiB(リチウムイオン二次電池)用セパレータ向け押出成形機の受注拡大などに加えて、円安進行がポジティブ要因になると評価。これにより、18年3月期の営業利益予想を50億円から54億円へ、19年3月期を同52億円から59億円へ上方修正している。

 オンコセラピー・サイエンス<4564>=急伸。
6日の寄り前に、塩野義製薬<4507>にライセンスアウトしているがん特異的ペプチドワクチン「S-588410」の食道がん患者を対象とした第3相臨床試験について、試験の進捗に伴うマイルストーンが発生したと発表しており、業績への貢献を期待した買いが入っている。同マイルストーンは第3四半期(10~12月)に事業収益として計上することになる。なお、同社は17年3月期通期業績予想を公表していない。

 ジーンテクノサイエンス<4584>=ストップ高。
同社は5日の取引終了後、JSR<4185>との資本業務提携を発表、これを好感した。両社の経営資源を組み合わせることで、GTSのバイオ医薬品事業とJSRのライフサイエンス事業をそれぞれ強化し、事業価値の向上を目指す。今回の資本業務提携に伴いGTSは第三者割当によりJSRに普通株式34万3407株(発行済株式総数に対する所有割合3.67%)を割り当てる。同時に同社は持田製薬<4534>と、がん治療領域のバイオシミラーに関して日本における製造販売承認の取得に向けた共同開発および販売などを目的とした共同事業化契約を締結することも発表している。

 ショーケース・ティービー<3909>=急反発。
同社は5日、金融機関など向けにフィッシングサイトの検知や正規ユーザーの保護を目的とするクラウド製品「ProTech Anti-Phishing」を販売開始することを発表、これを材料視する買いを誘っている。昨年だけで1万1000件を超えるフィッシング詐欺事件が発生している状況にあり、同社独自のクラウド技術や暗号化技術を活用したフィッシング対策製品に期待がかかっている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想

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