イタリアショックは限定的だったが。。

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最新投稿日時:2016/12/06 15:18 - 「イタリアショックは限定的だったが。。」(菊川弘之 )

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イタリアショックは限定的だったが。。

著者:菊川弘之
投稿:2016/12/06 15:18

トランプ次期大統領の口が開いてくると波乱も

イタリアの国民投票は大差で否決され、レンツィ首相は辞任表明。マーケットはファーストアクションで、ユーロ売り反応したが、事前予想で反対・否決が見込まれていた事もあり、パニック的な動きは回避された。ユーロドルは、安値から急速に値を戻し、長い下ヒゲを形成。欧州中央銀行(ECB)が8日の理事会で債券購入プログラムの縮小を示唆するとの観測や、英最高裁が今週、政府には議会の承認を経ずにEU離脱交渉に入る権限があるかどうかについて審理を行う予定で、ハード・ブレグジットの思惑が後退したことなどもユーロを下支えしている。
 6月のブレグジットの後、市場が立ち直るのに3日かかったが、11月のトランプショックや、12月のイタリアショックからの売りは、極めて短い時間で回復した。人工知能絡みの高速売買が、より進化・学習して人間の裏をかくような感触さえ受ける動きだった。

 懸念されていたパニック売りは回避されたが、レンツィ首相辞任で、政治の迷走は避けられず、モンテ・パスキの経営再建は厳しい状況に追い込まれる事に変化はない。来年3月にオランダ議会選挙、4~5月にフランス大統領選挙、秋にドイツ連邦議会選挙が控えており、欧州リスク・トランプ現象の連鎖が本格的に材料となるのは2017年だろう。

 イタリアの国民投票を無難に通過した事で、米連邦公開市場委員会(FOMC)は12月会合(13-14日)での利上げを行う見通しだ。CMEのFedウォッチでは、年内の利上げ確率は90%以上で、マーケットは織り込み済みの様相。実際に利上げが実施されても「知ったら終い」で、ドルの上値、NY金の下値は、それぞれ限定的となるのではないか?

 大統領選挙以降、トランプラリーが続いてきたが、19日の選挙人が各州の得票数結果に応じて正式に票を投じる選挙人投票を終えれば、これまで口を閉ざしていたトランプ次期大統領が口を開く頻度が増えるだろう。大統領選挙時のようにツィート投稿が増えてくれば、トランポリンのように上げたものは下がり、下がったものは上がるような展開もあり得るだろう。

 NY株式市場は史上最高値を更新しているが、14日の米利上げに伴う新興国リスクや、トランプ次期大統領(並びに次期政権閣僚)からの発言がきっかけで、大き目の修正に入るリスクには注意したい。

 OPECの8年ぶり減産決定で、原油価格が上昇しており、インフレ懸念は徐々に高まっている、14日FRBの利上げ幅が、市場が織り込んでいる0.25%ではなく0.50%となれば、市場には大きなショックとなろう。
 トランプ次期政権にとって、自己の任期中に株が下がるより、オバマ政権の最後にクラッシュして、トランプ大統領誕生と共に、株価が急回復すると言うシナリオの方が好ましいとも言える。

 14日のFOMC、19日の選挙人投票以降、クリスマスに向かう薄商いの中、トランプ次期大統領のツィート・発言には要注意だ。1月20日の大統領就任式の前に、米利上げに伴う株価の修正リスクを警戒したい。
菊川弘之
日産証券調査部 主席アナリスト
配信元: 達人の予想

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