~ 小野山功が見通す「来週の株価材料」 ~
円がついに1ドル=110円の大台を突破しました。約半年ぶりの円安・ドル高を好感し、日経平均は18日に1月以来となる18000円台を回復する場面がありました。
米大統領選でトランプ氏の勝利が確実になった9日に、1ドル=101円15銭まで急騰しましたが、その後7日間で10円近い逆回転が起こりました。
円安のスピードが早すぎるため、ミセス・ワタナベ(日本の個人投資家の総称)はドル売りで立ち向かっていますが、ドル高は110円を突破したあとも止まる気配がありません。
ドルの主要通貨に対する総合的な動きを示す「ドルインデックス」は、18日に101.3と2003年4月以来、13年半ぶりの高値水準を付けています。
■円安で「業績の上振れ」期待が膨らむ
円安は、2つの側面から日本株の押し上げ要因になります。まずは、輸出企業を中心とした業績の上振れ期待です。
主要企業の16年度下期の想定為替レートは「101円90銭」という試算があります。(18日付の日本経済新聞朝刊、主要180社が対象)
円相場は18日に110円70銭台まで下落しましたので、企業の想定から9円近くも円安・ドル高に振れていることになります。
輸出企業の筆頭、トヨタ自動車の場合。ドルに対して1円の円安になれば、年間で約400億円利益を押し上げる要因になります。
トヨタは今期の想定レートを1ドル=103円として業績予想を算出している為、11月8日に発表された見通しから上振れそうだとの期待感が株価を押し上げています。
もっとも、輸出企業の多くは、あらかじめ決められたレートでドルと円を交換する為替予約を金融機関と結んでいるため、円安が業績面に寄与するのは、来期からになりそうですが…。
■円安が「海外勢の日本株買い」も呼び込む
また、ドル資金を運用する外国人投資家にとって、ドル高・円安によって、日本株の投資妙味が増すという点も株高要因になります。
日経平均は、米大統領選の結果が判明する8日(火)の終値と比べて、800円ほど値上がりしています。
一方、ドル建ての日経平均は8日に164.5ドルだったのに対して、18日は162.5ドルとむしろ下がっているほどです。
米国では24日から感謝祭の休暇に入ります。米大統領選後のトランプ・ラリーは一旦小休止といったところでしょうか。
小野山 功