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最新投稿日時:2016/11/10 20:34 - 「急反騰後の一服商状に、円相場の落ち着きどころ注視」(冨田康夫)

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急反騰後の一服商状に、円相場の落ち着きどころ注視

著者:冨田康夫
投稿:2016/11/10 20:34

明日の東京株式市場見通し

 11日の東京株式市場は、きょうの文字通りのV字的な急反騰の後だけに利益確定売りが先行し、週末控えもあって日経平均株価は一服商状となりそうだ。また、円相場は10月28日の1ドル=105円50銭台を超える円安水準に下落してきたことから、当面の落ち着きどころを探る推移となりそうだ。

 市場では、トランプ次期大統領が財政政策に意欲的で、年内の米金利には上昇圧力がかかりやすいとの受け止めが広がり、この米金利の上昇を見越して、1ドル=105円台後半へと想定外の急速な円安・ドル高が進行したことが強烈な追い風となり、日経平均株価は急反騰した。中長期的には財政悪化懸念は残るものの、同氏が公約通り財政出動や減税を実施すれば、米国景気を押し上げるとの期待感から、投資家はひとまずリスクオンの姿勢に傾いたようだ。

 市場関係者からは「日経平均株価は、テクニカル的にはきのう大きく割り込んだ25日、75日の両移動平均線を一気に奪回して前日の大幅安を打ち消すかたちとなった。さらに、200日移動平均線が明確に上向きに転じれば、上昇軌道復帰となる。しかし、大揺れの後だけに“余震”に見舞われる覚悟も必要だ」との見方が出ていた。

 10日の東京株式市場は朝方から全面高商状となり、前日の大幅安から一転して急反騰をみせた。日経平均株価終値は、前日比1092円88銭高の1万7344円42銭と急反発した。

10日の動意株

 三菱マテリアル<5711>=一時ストップ高。
足もとで銅価格が上昇基調を強めていることが好材料視されているほか、米大統領選挙で勝利した共和党のトランプ氏が大規模なインフラ投資を政策に掲げていることが注目されている。同社は米カリフォルニア州に「米国三菱セメント社」を持ち、セメント製造から生コンクリート・骨材事業までを手掛けている。米国でインフラ投資需要が盛り上がることは、同社にとりプラス材料と見られている。なお、9日に中間決算の発表を行い、17年3月期業績予想を下方修正したことに対する反応は限定的だった。

 大日本塗料<4611>=大幅反発。
同社はこの日午後2時ごろ、17年3月期の連結業績予想の修正を発表し、売上高を780億円から745億円(前期比2.5%減)へ下方修正したが、営業利益を61億円から66億円(同12.7%増)へ、最終利益を40億円から41億円(同13.4%増)へ上方修正したことが好感されている。国内の天候不順や人手不足による工事遅れ、為替の円高進行などが影響し、売上減を見込んでいる。ただ、ナフサ価格の下落に伴う原料コストの低減に加え、高付加価値品の拡販が寄与し、全体の利益を押し上げるとしている。

 OKI<6703>=大幅反発。
10日の午前11時ごろ、ソラスト<6197>とICTの活用による新たな医療事務関連分野について業務提携すると発表し、これが好感されている。今回の提携の最初の取り組みとして、「患者情報自動登録システム」を共同で開発し、全国の医療機関に導入する。患者の保険証情報の読み込みから登録まで、初診受付にかかる一連の作業を自動化することで、患者の負担軽減を目指す。今後、両社は初診受付以外の受付関連業務をはじめ、診療予約、病院におけるさまざまなデータの集約・分析・活用、その他周辺業務へのICT導入を検討するとしている。

 セーレン<3569>=3日ぶりに急反発。
同社は9日取引終了後に、17年3月期第2四半期累計(4~9月)の連結決算を発表。営業利益は46億9500万円(前年同期比25.9%増)となり、従来計画の43億円から上振れ着地した。売上高は520億1400万円(同0.9%減)で、従来計画の517億円を上回った。円高の影響などがあったものの、生産性向上や業務の効率化改善などが寄与。主力の車両資材事業では国内向けが冴えなかったものの、海外では新素材「クオーレ」をはじめとする差別化商品が好調だった。

 ニッパツ<5991>=急反発。
同社は9日取引終了後に、17年3月期第2四半期累計(4~9月)の連結決算を発表。営業利益は167億6600万円(前年同期比7.9%増)で、通期計画330億円に対する進捗率は50.8%となった。売上高は2996億4300万円(同3.7%減)で着地。自動車メーカーの生産台数減少や円高の影響で減収となったが、合理化努力や受注車種構成の変化などが利益面でプラスに働いた。なお、通期業績予想は従来計画を据え置いている。

 日本特殊塗料<4619>=大幅高。
同社は9日の取引終了後、17年3月期の連結業績予想の修正を発表。営業利益を21億円から28億円(前期比5.4%減)へ上方修正、売上高は477億円(同8.9%増)、純利益は40億円(同0.9%増)で据え置いた。生産性の向上や原材料価格の改善などの原価改善が寄与している。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想

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