後継者不足でM&Aに注目集まる
後継者不足を深刻化させているのが、団塊世代(1947~49年生まれ)の経営者が60歳代後半を迎えたことによる事業継承問題だ。企業経営者の平均引退年齢は70歳前後といわれており、中小企業庁は「日本企業の過半は今後10年間で、社長の代替わり期を迎える」としている。そこでM&Aの活用などにより、事業承継をいかにして円滑に行うかが焦点となっている。
日本M&Aセンター<2127>は、全国の会計士や税理士による出資で設立されたM&A仲介会社。ネットワークを生かした豊富な情報量を持っていることが特長で、年商1億~20億円の企業が主要顧客。17年3月期で7期連続の増収増益を見込むなど順調に業容を拡大している。
一方大企業でも、ソフトバンクグループ<9984>が今年7月18日に英半導体設計大手のARMを3兆3000億円で買収した案件。医療機器メーカーの東芝メディカルの親会社だった東芝<6502>が東芝メディカルの全株式をキヤノン<7751>に6655億円で売却する契約を結んだ案件。台湾の電子機器受託製造サービス最大手の鴻海精密工業が、経営再建中だったシャープ<6753>へ3888億円出資して傘下に収めた案件など枚挙にいとまがない。
国際的な企業を含む大型案件へのM&A助言を手掛けるGCA<2174>は、最近でも日本電気硝子<5214>による英PPG社の欧州ガラス繊維事業の買収、セブン&アイ・ホールディングス<3382>の完全子会社であるセブン&アイ・ネットメディアの株式交換による株式会社ニッセンホールディングス<8248>の完全子会社化の案件などを成功に導いている。
このほかに、独立系M&A仲介会社のM&Aキャピタルパートナーズ<6080>、ベンチャー企業への投資・育成、企業コンサルタントが柱のドリームインキュベータ<4310>、公認会計士や税理士が主体のM&A仲介会社のストライク<6196>などにも注目したい。