~ 小野山功が見通す「来週の株価材料」 ~
米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した9月の景況感指数(製造業、非製造業)が予想外の好調ぶりだったことをうけ、今週の日経平均は堅調に推移しました。
9月に利上げが見送られたのは、8月のISM製造業景況感指数が大きく悪化したことも一因とされています。
そのため、9月のISM指数に関心が集まっていましたが、3日の製造業、6日の非製造業ともに好調だったことから、先週から一転して市場はリスクオンに傾きました。
石油輸出国機構(OPEC)による8年ぶりとなる減産合意の余波が及び、原油が今週およそ3ヵ月ぶりに50ドル台を回復したことも、株価にはプラスに働きました。
リスクオンムードを反映し、円は一時1ドル104円と1ヵ月ぶりの円安水準に。今となっては100円割れは杞憂に過ぎませんでした。
■日経が堅調でも海外勢は「売り」
3連休前や雇用統計の発表を控えて週末は上昇一服となったものの、6日までの4日間に日経平均は450円近く上昇しています。
ただ、気がかりな点が無いわけではありません。海外勢の売りがとまらないのです。
外国人投資家は今年、日本株を大幅に売り越しているのはご承知の通りです。今年1月から9月末までに累計で6兆1870億円余り売り越しており、「ブラックマンデー」が起きた1987年の4兆円超を大幅に上回り、過去最高のペースです。
日本株の最大の買い主体:日本銀行は年6兆円ペースで株を買うことを表明していますが、半年で6兆円を超える海外勢の売りを日銀だけで支えることはできません。
頼みの綱の個人投資家も、官製相場に嫌気がさしたのか、大きな動きは見られず、東証1部の売買代金が2兆円を下回る閑散相場が常態化してしまっています。
■支援材料に乏しい懸念も
週明け11日には、今年度2次補正予算が成立する見込みです。その後、基礎年金の「受給資格期間」引き下げなどの法案審議に移るとみられますが、外国人投資家が期待する成長戦略には乏しいため、彼らの日本株への投資スタンスが好転するのは望みは薄。
外国為替市場でポンドが対ドルで実に31年ぶりの安値(1.138)を付けたことも気がかりです。来週は重要な経済指標の発表はありませんが、米大統領選を巡って為替相場が大きく動く恐れがあり、相場のかく乱要因になる可能性があります。
小野山 功