ダマシが出易い水星逆行

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最新投稿日時:2016/09/02 13:47 - 「ダマシが出易い水星逆行」(菊川弘之 )

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ダマシが出易い水星逆行

著者:菊川弘之
投稿:2016/09/02 13:47

NYダウの分が悪い9月

 8月30日(火)(乙女29度)~9月22日(木)(乙女14度)まで水星の逆行が開始した。この期間中は、アストロロジーでは、テクニカル上の下値支持帯や上値抵抗帯、相場パターン分析までもが無効となりやすいと言われる。相場は支持帯や抵抗帯のどちらにもはっきり届かないか、または一時的な突き抜けが頻繁に起きたりする。突き抜ける場合は急激だが、これもまた長続きはせずダマシが多いと言われる。
 この水星逆行期間の中、米雇用統計が発表される。ワイオミング州ジャクソンホール会合に参加したFRB高官から利上げに前向きな発言が相次いだ中、フィッシャー副議長は米CNBCインタビューで、9月を含め年内に複数回の利上げを予想すべきかと聞かれ「そうだ」と明言。「8月の雇用統計が重要な判断材料になる」と述べた事で、雇用統計の注目が一気に高まっている。今週のドル円は、強気のADP雇用統計もあり、104円水準まで続伸したが、昨晩の米ISM製造業景況感指数が半年ぶりに好不況の分かれ目である50を割り込んだ事で反落している。8月の米新車販売台数も弱気の数字となり、米景気には絶対的な強さには欠けるとの見方も再浮上してきたところでの雇用統計となる。
 非農業部門就業者数は6月に29万2000人増、7月に25万5000人増と、2ヶ月間の雇用創出としては今年最高を記録している。5月の雇用統計が弱気だったことで生じた懸念は後退したが、今年全体の雇用の伸びはまだ過去2年のペースを下回っており、ここ2ヶ月の流れが継続するのか否か、過去分の修正の有無と共に注目だ。ジャクソンホールでフィッシャー副議長は「雇用増加は3か月平均で19万人と力強い」と述べており、19万人を大幅に上回る強気の数字が出なければ、9月利上げの可能性は一服する可能性。10万人以下などの弱気の数字が出れば、先週末から進んだドル買いポジションの急速な巻き戻しもあるだろう。

 ドルと逆相関のNY金は、パターン分析ではダブルトップを完成したものの、足元では下げ加速には至らず、保合いを継続している。仮に、弱気の数字が出れば、パターン分析(ダブルトップ)がダマシとなる可能性もあるだろう。一方、25万人増などの強気の数字が出た場合に注意なのが、NY株式市場の動きだ。9月は、過去のデーターを振り返って見ると、月ごとの陽線確率が最も低い月だ。史上最高値圏での保合いが続いているが、利上げ観測が強まると団子天井からの反落となる可能性も出てくる。この場合、リスク回避の流れが高まった場合は、ドルの上値も限定的になる。また、今年になってから相関が高まっているNY金は、投機筋の買い越しが過去最高水準にまで膨れ上がっている事もあり、ファーストアクションは、株安・金安で反応しそうだ。ただし、1300ドル水準を割り込むような急落を見せた場合、押し目を買い拾う動きも予想され、大きな突込みが出れば、「安全資産の顔」が浮上してくるだろう。急落後の急反発など、水星逆行時に出てきやすいパターンだ。

 雇用統計発表前後には、ヘッドラインに反応するHFT(高速度取引)絡みでの乱高下も予想されるが、強弱いずれにも取れる内容となった場合、米国がレイバーデーに伴う3連休に入る事で、乱高下後に動かなくなるケースもあるだろう。この場合は、2-3日に日露首脳会談、4-5日にG20(中国・杭州)なども控えて、政治ファクターの高まりから8月同様、夏枯れ的な相場付きも予想される。ちなみに、本日の日テレの映画はジブリ作品ではなく、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(原題: Live Die Repeat)。乱高下の匂いがするタイトルだが、ジブリの法則は当てはまらない。
 ただし、雇用統計後に大きな動きが出なくとも、水星逆行終了時に近い21日(水)には、日銀金融政策決定会合、FOMCと日米の重要イベントが待ち構えている。そして、26日(月)には第一回の米大統領候補によるテレビ討論会が行われる。足もとの世論調査では、ヒラリー・クリントン候補有利だが、米国の利上げがきっかけとなり、史上最高値圏にあるNY株価が急落した場合、2018年に任期切れとなるイエレン議長の後任人事に介入する意向を示唆しているトランプ候補が勢いを増す可能性も出てくる。NY株価のメリマンの重要変化日(9月14~15日)以降、17日は満月、21日前後は日本の3連休や飛び石連休があり、値が飛びやすい時間帯となるかもしれない。

 内部告発サイト「ウィキリークス」創設者のジュリアン・アサンジ氏は8月24日、米大統領選挙の前に、ヒラリー・クリントン候補の「重大」情報を公開すると述べており、大統領選挙直前(10月末?)のタイミングで、国益に反する証拠(音声など)がでてくると、世論の風が急変するリスクは残っている。「トランプ大統領」誕生の確率は、日本のメディアが報じているよりも高いと考える。ここにきて、FRBメンバーが利上げを急ぐのも、米大統領選挙に向けたリスクに備えたい意向なのかもしれない。
菊川弘之
日産証券調査部 主席アナリスト
配信元: 達人の予想

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