忘れた頃の「ジブリの法則」

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最新投稿日時:2016/08/05 10:53 - 「忘れた頃の「ジブリの法則」」(菊川弘之 )

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忘れた頃の「ジブリの法則」

著者:菊川弘之
投稿:2016/08/05 10:53

荒れる8月

 7月26日の当欄で「世界的なジャブ付き相場が継続・拡大しそうな中、人工知能(AI)絡みの高速度取引の影響もあり、巨大マネーの短期的な出入りで大きく、かつスピード感のある値動きが、今後もイベント毎に続きそうだ」と指摘したが、先週の日銀決定政策決定会合では、ETF購入の6兆円への拡大、ドル資金供給策などが盛り込まれたが、マイナス金利幅は据え置きとなり、マネタリーベースの増加目標も80兆円維持だったため、追加緩和発表後に105円台後半まで上昇したものの、期待外れ感から102円台まで下げ、その後の米GDPの悪化で一気に100円台まで下落する大荒れの展開となった。昨日は英国の7年ぶりの利下げで、ポンド売り・ドル買いに連れてドルは買われているものの、雇用統計前の様子見から戻りは鈍い。

 さて、今週のメインイベント雇用統計だが、ここ数ヶ月の発表では、事前予想との大幅乖離でマーケットは発表後に荒れる展開となっている。「ヘッドラインに反応する高速取引」を引っ掛けるようなニュースが流れるなど、今回も要注意だ。

 5日(金)には「もののけ姫」が放映される。雇用統計の発表と重なる金曜日のジブリ放送は荒れる傾向が、一時話題となったが、忘れた頃の「ジブリの法則」となるか??。ちなみに前回の「もののけ姫」放送は、2014年7月4日放送。ドル円は、102円台の戻り高値を付けた後、翌週には101円台へ下落した。

 「もののけ姫」劇中、アシタカがタタリ神に「鎮まりたまえ! なぜそのように荒ぶるのか?」と語りかけるシーンがあるが、個人投資家も、そろそろ雇用統計前後の乱高下に辟易しているのではないか。ヘッドライン毎に乱高下した後は、往って来いとなるケースもあり、そのような荒波の中に飛び込まず、一歩引いて大勢を見極めた方が投資結果に繋がるかもしれない。
 
 2000年以降の8月の季節傾向を見ると、月足ベースで「ドル売り・NY金買い」が顕著であることが確認できる。昨年8月11日には、中国人民銀行が人民元の実質的な切り下げを行ったことが世界の金融市場を揺るがした。8月はリオ・オリンピックも開催され、マーケットが薄商いになると同時に、様子見モードで動かなく可能性があると一方、薄商いで値が飛ぶリスクもある。ブラジル経済後退と共に治安悪化も伝えられており、オリンピックでのテロ対策に疑問の声も強い。欧州では散発的なテロが続いている。米大統領選挙前の米政治空白期間に地政学リスクが高まるとの見方も強い。昨年は北戴河会議に合わせた天津爆破事故(一部に事件説)もあり、8月は、日本のお盆中や、最近ではジャクソンホールに絡んだ乱高下など荒れる印象が強い。
 ドル円は、2015年6月高値を中心とした左右相似を形成中で、雇用統計で大きなサプライスがなければ、8月末のジャクソンホールでのイエレンFRB議長の講演まで100円前後での保合い入りも予想されるが、保合いが長ければ長いほど、次なる放れは大きくなる。

 史上最高値圏にあるNY株式市場も、景気循環サイクルからは、いつ天井打ちしてもおかしくない時間帯に入っており、NY株式と相関の高い原油市場が崩れているのも懸念要因。 

 アシタカの言葉「曇り無き眼で見定め 決める」のように、場中の乱高下に惑わされず、メイントレンドはどこへ向かっているかを念頭にして市場と対峙していきたい。
菊川弘之
日産証券調査部 主席アナリスト
配信元: 達人の予想

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