重要イベント多く、波乱含みの時間帯

\ あなたにピッタリの銘柄がみつかる /

みんかぶプレミアムを無料体験!

プランをみる

最新投稿日時:2016/07/26 14:06 - 「重要イベント多く、波乱含みの時間帯」(菊川弘之 )

お知らせ

読み込みに失敗しました。

しばらくしてからもう一度お試しください。

重要なお知らせ すべて見る

重要イベント多く、波乱含みの時間帯

著者:菊川弘之
投稿:2016/07/26 14:06

通貨価値の毀損

 「キリストが再臨したその日、ポールシフトが起こる。その結果、破滅的な地震が地球規模で発生し、太陽は黒い幕で覆われたように真っ黒になり、月は血のような赤に染まる。木の実が落ちるように無数の星が地球に落ちてきて、大地震で山と島がズレて移動する」
 ネットの世界では、「7月29日Ⅹデー説」がまことしやかに飛び交っている。地球の長い歴史の中ではポールシフト(地磁気逆転)はたびたび起きており、今回起こるとすれば44万年ぶり。ひとたび地磁気が逆転すれば、地球環境と気象の激変により地球上の生物の70%が死滅するとも言われている。

 事の真偽は門外漢で不明だが、マーケットの世界でも、7月29日は波乱の日となりそうだ。今週は、週末と月末が重なる日で、日米欧で重要イベントが相次ぐ。 

 26~27日は、米連邦公開市場委員会(FOMC)。28~29日は日銀金融政策決定会合が予定されている。6月の米雇用統計は良好な結果となったものの、今回のFOMCでは利上げ見送りというのが市場のコンセンサス。金利先物市場では、2017年3月まで利上げが実施されないとの見方が優勢となっている。声明で年内利上げの可能性が示唆されるか否かが注目点。最高値更新したNY株価が高値圏で勢いを維持できるか否かにも注目。また、大手IT企業決算S&P500種構成銘柄の194社が今週決算を発表する。アップルの決算は26日、フェイスブックは、27日、アマゾン・ドット・コムは28日。

 日銀の黒田総裁は21日、英国放送協会(BBC)ラジオ番組で、財政支出を日銀が直接手当てするヘリコプターマネー政策について「必要性も可能性もない」とし、大型の経済対策に合わせて実施するとの観測を否定したが、過去、黒田総裁は直前まで「考えていない」と言っておきながらマイナス金利政策を導入した経緯もあり、市場の期待感は継続している。日銀が国債を買い切って財政資金を提供する「ヘリコプターマネー」まで踏み込むとの期待は後退したが、追加緩和は実施するのではないかとの思惑が継続している。ただし、「ヘリコプターマネー+20兆円規模の大型景気対策」を織り込みながらドル高・株高が進んできたため、市場の予想通りの内容なら、ドルや株の上値は、それぞれ限定的となるだろう。

 一方、市場の期待のハシゴが外されると、ドル安・株安・NY金高で反応するとの見方が強い。英国のEU離脱決定で105円台から99円台へ急落したのも投機的な動きなら、バーナンキ前FRB議長と黒田日銀総裁会談をきっかけに、99円台から107円台へ急伸した足元の動きも(本邦当局は円高局面時にしか投機的とコメントしないが)投機的な動きで、世界的なジャブ付き相場が継続・拡大しそうな中、人工知能(AI)絡みの高速度取引の影響もあり、巨大マネーの短期的な出入りで大きく、かつスピード感のある値動きが、今後もイベント毎に続きそうだ。

 29日には、公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用状況が発表される。同日には欧州銀行監督局が、EU加盟国の大手51の銀行を対象にしたストレス・テスト(健全性審査)の結果を発表する。イタリアの銀行が不合格となるか否かが焦点。31日は都知事選もある。

 それぞれのイベントの結果如何では、高値圏にある株式市場、一旦107円台で戻りを売られているドル円、投機筋のポジション調整で修正入りしているNY金が、上も下も大きく動く可能性があるのが今週であろう。ジェットコースターのような動きもあるかもしれない。

 ただし、大勢トレンドは、ドル円は頭打ちで下落基調、ドルとの逆相関の金相場は底打ちから上昇基調に入っており、値幅は大きくとも短期的な相場のあやにとらわれず、メイントレンドに則った戦略を考えたい。
 世界的な株式市場の上昇で忘れられがちだが、金融、金利の世界の異常度が強まっている。「通貨価値の毀損」が続いており、「ペーパーマネー」から「実物資産」へのポールシフトがマーケットでも起きている。「通顔の顔」としての金が買われる流れや、世界各地での地政学リスクの頻発や各国での内向き姿勢の強まりなどから「安全資産の顔」としての金に資金が流入する流れにも変化は出ないと考える。
菊川弘之
日産証券調査部 主席アナリスト
配信元: 達人の予想

みんかぶおすすめ