国会論戦は28年度予算へ、公共事業が4年連続で増加
今国会ではまず、今年度(平成27年度)の補正予算について審議され、27年度補正予算案は20日午前の参院本会後で可決、成立しました。
27年度の補正予算が成立したことで、今後の論戦は、4月から始まる平成28年度予算案の審議に移ります。28年度予算の規模は96.7兆円と、4年連続で過去最高を更新する見通しです。
■公共事業増額では「老朽化対策」に重点が
予算が過去最高に膨れ上がったのは高齢化に伴う社会保障費の増加が主因ですが、7月にも予定される参議院選挙を見据え、公共事業費が増額されたことは見逃せません。
特に、局地的豪雨を踏まえた防災・減災対策などインフラの老朽化対策に重点的に予算配分が行われています。水害・土砂災害の防止対策として478億円(前年比+16%増)、道路の老朽化対策などに3,202億円(同+8%増)が計上されています。
また、今後約10年間で「直轄国道における橋梁・トンネルの要補修箇所の解消を目指す」としており、新規のインフラ建設よりも老朽化対策に重点が置かれた予算配分が当面続く見通しです。
国が管理するインフラだけではなく、NEXCO3社など特殊法人が管理する高速道路は、建設から50年余りが経過しており老朽化対策が急務といえます。インフラ補修最大手の(1414)ショーボンドホールディングス、建機レンタルの(9678)カナモト、防食塗料を製造する(4612)日本ペイントホールディングスなどは中長期的な恩恵を享受できそうです。
■「空港の運営権売却」がチャンスになる
また、政府が保有する全国の空港のコンセッション(運営権を与えること)が順次進められることになっています。コンセッションは民営化ではなく、国が空港の所有権を保持したまま、施設の運営権だけを売却する方式です。
関西国際空港・伊丹空港については、コンセッションがすでに決定しています。(8591)オリックスと仏ヴァンシ・エアポート連合が年間490億円、総額2兆2,000億円で昨年12月に運営権を取得しました。
今年4月から2060年までの44年間に渡って、関西国際・伊丹両空港の運営が民間に委ねられます。オリックスは航空機リースを通じて、世界各国の航空会社とのつながりも深いため、今後関空に新たな航空会社が乗り入れる可能性もあるでしょう。
同じくコンセッションが決定している仙台空港に関しては、(9005)東急と(1824)前田建設連合が優先交渉権を獲得、7月にも事業が開始される見通しです。
この他、高松、広島、福岡空港などがコンセッションに向けた調整が進められており、地元の企業連合や不動産ディベロッパーが名乗りを上げるものとみられます。
小野山 功