みなさま、いかがお過ごしでしょうか。
経済アナリスト、木下 晃伸(きのした てるのぶ)です。
■前日の米NYダウを受け、大幅反落で始まった日本株。
下げ幅が一時、650円を超えて8000円割れ寸前まで下落する場面もありました。
これは、10日に付けた年初来安値(8276円)を下回り、
5年5カ月ぶりの安値水準まで下げた水準。
しかし、引けにかけて急速に戻し、前日比213円71銭(2.46%)安の
8460円98銭でとどまったことで、ひとまず市場に安堵の空気が流れたと思います。
■引け後にSONYが業績の大幅下方修正を発表するなど、
実体経済悪化がいよいよ日本企業の業績にも
悪影響を及ぼすことが鮮明になってきました。
特に、北米クリスマス商戦、為替が気になるところです。
本日のコラムもやはり、海外を中心にお届けしていきます。
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┏━ 【経済アナリストが斬る!投資に役立つ3大ニュース】 ━━━━━┓
1.信越化の4-9月期、連結営業益7%増の1501億円
2.ユーロ安ショック走る、「欧州売り」1日で7円急落
3.クボタ、インド農機市場に参入
http://www.terunobu-kinoshita.com/20081023-toushinou.pdf
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1.信越化の4-9月期、連結営業益7%増の1501億円
(出所)2008年10月23日付日経速報ニュースより
●北米主体企業が、増益達成
●本日の株価は逆行高
●これまで北米主体という不安感で株価は大きく下落
信越化学工業(4063)が23日発表した2008年4―9月期の連結営業利益は
前年同期比7%増の1501億円だった。
主力の塩ビ樹脂や半導体シリコンウエハーなどの販売が伸び、
売上高が1%増の6954億円と堅調に推移したことが増益に寄与した。
純利益は6%増の1009億円となった。
塩ビ樹脂は国内は不調だったものの、欧州での販売が好調だった。
半導体シリコンウエハーは直径300ミリタイプが伸びた。
これを受け、寄り付きこそ米株安に振られ10%近くの下落で始まったものの、
引けにかけては逆行高の前日比+4.5%で着地した。
前日には三菱UFJフィナンシャル・グループ、本日の引け後には
ソニーが純利益半減という下方修正を出していることからも、
業績安定感が評価されたと言える。
しかし、実際に業績は堅調に推移しているにも関わらず、
北米主体という理由だけで、株価は大きく売り込まれている。
その結果、株価は5期前と同じレベルにとどまっている。
5期前と比較すると利益は倍以上に伸びているのに、だ。
株価はたしかに、資産価値や収益価値によって決まる。
しかし、これは平常時。
マネーに対する信認が途絶えてしまう異常事態には、
もう一つの株価形成要因である心理が大きく支配する。
これから本格化するクリスマス商戦の行方は、厳しいことが予想される。
厳しい現実に直面する過程で、外需企業は、もう一段の下落リスクがある。
外需は年初までは慎重な見方をすべきと、私は考える。
2.ユーロ安ショック走る、「欧州売り」1日で7円急落
(出所)2008年10月23日付日本経済新聞朝刊3面より
●ユーロ市場、急激な下落
●アイスランドの実質的破綻など、欧州信用急低下による
●ボラティリティ(変動)の大きい相場が続く
外国為替市場でユーロの下げがとまらない。
22日には対円では4年半ぶりに1ユーロ=130円を割り、126円台まで下落した。
欧州全域に広がった金融危機と実体経済の悪化への懸念から、
これまでユーロに流れ込んでいた投資資金が逃げ出した。
ユーロが1ユーロ=169円97銭という史上最高値をつけたのは
わずか3カ月前の7月下旬。
その直後から相場は反転、3カ月で40円以上、25%も急落した。
ユーロ以外でも、金融危機が深刻なアイスランドを筆頭に、
英国、スウェーデン、ハンガリーなどの欧州通貨は総崩れだ。
アイスランドの主力産業は漁業だったが、1980年代以降、
規制緩和を進めて「金融立国」化に乗り出した。
インフレ対策として高金利政策をとり、結果的に世界の投資マネーを吸収。
一人当たり国内総生産(GDP)は2006年にルクセンブルク、
ノルウェーに次ぐ世界3位に上りつめた。
03年からの4年間で、
海外中心に預金をかき集めた大手三銀行の総資産は9倍近くに膨張。
アイスランドのGDPとの対比で9倍強となった。
しかし、米国発の金融危機でマネーの流れは一気に逆流。
海外資金が一斉に引き揚げ、各行は資金繰りに行き詰まった。
政府は大手三行を管理下に置き、海外口座を凍結した。
直近の急激な株価下落は、世界経済けん引のエンジン役であった米国から、
欧州にも飛び火したことで巻き起こっていると言える。
落ち付くタイミングは、欧州も米国も、
またこれら先進国が積極的に投資ししてきた新興国も同じだ。
下がるにせよ、戻るにせよ、ボラティリティ(変動性)が
きわめて大きくなることは体で感じておく必要がある。
3.クボタ、インド農機市場に参入
(出所)2008年10月23日付日本経済新聞朝刊13面より
●株価推移と事業戦略は異なる
●日本とインドの関係深耕を追い風に
●いまは株価が反応しないがいずれ、大きく反映する
農業機械最大手のクボタは
日本の農機メーカーとして初めてインド市場に参入する。
年内に販売子会社を設け、トラクターやコンバインを売り出す。
アジアの農機市場は人口増に伴う食料需要増加で拡大が続くとみており、
2011年度にアジアでの農機売上高を
07年度比6割増の約1200億円以上に引き上げる考えだ。
インドと日本は経済連携協定(EPA)をめぐり交渉中。
22日にはシン首相と麻生太郎首相が会談し、
EPAの早期締結を目指す方針を確認した。
クボタはEPAで農機などに課せられる関税率が下がれば
市場参入の追い風になると期待している。
07年度の農機事業の売上高は約7500億円。
うち三分の二の5000億円程度を海外が占めるが、
大半が米国や欧州でアジアは750億円程度にとどまった。
そのため、業績悪化懸念が根強く、08年に入り株価は急激な下落基調となった。
クボタ株価チャート
http://minkabu.jp/stock/6326/pick?order=1&top=true
しかし、業績拡大の布石は着実に打ち始めている。
中国やインドをはじめとした新興国の多くは、農業人口が多い。
さらに、豊かになれば、ラクをしたくなるというのは人種国籍を問わず、
人間の根源的欲求だ。新興国でも必ずや機械化が進み、
進出する農機メーカーに追い風が吹くだろう。
いまは、こうした施策が株価に反映されない。
しかし、来年以降マネーフローが正常化していく局面では、
再び同社のように新興国を攻める企業に脚光が集まる可能性は高い。
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■編集後記
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●デフォルト
アルゼンチンがデフォルト(債務不履行)の回避を目指し
年金基金を国営化したことから、
ますます新興国に対する信認が欠落しようとしています。
BRICsに続く、期待の国だと持ち上げられながらも、
たった数か月経過するとデフォルトのリスクがあった、
ということに10年前のアジア通貨危機を超える凄まじさを感じます。
これがどこまで続くのか。
分かっていることは「時がほとんどの病を癒す」ということ。
世界中で勃発するデフォルトリスクも、いずれ沈静化していきます。
そのタイミングが分かりません。
でも、分からないと言っているときに、
放っておいたら急に分かることなんてありえません。
早急に分析、調査する必要があると考えています。
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