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村上龍が書いた私小説風実験小説

「観念的なことを小説にするのは、実は一番難しい」と、「新宿鮫」を書いた大沢在昌親分が、いつぞやエッセーか指南書で書いていた。宗教とか精神世界などというのが、きっとそのような分野に属するのだろう。

いつまでたっても決して楽に逃げない龍さんに対する尊敬を感じた。
これに比べたらこんなに向き合っていても私はまだ逃げている。
というか、「逃げない」の極限が彼なので、しかたない。
決してスカッとしたとは言いがたい最後なのに、ものすごく救われた。
小説の力を思い知った。  ~吉本ばなな~

と帯にあって、そこまでいうのなら読んでみようと買ってみたのだった。

誰がどー読んでも、この小説の主人公である作家は、村上龍とか読めない。
何しろ過去の実作品がほぼ実名で登場するのだし。
しかし、そーおぼしき細かなことがらを、ウィキペディアなどで調べながら読んでみると、明らかに事実ではない事柄も混ざっているから、やはり架空の部分も散りばめられているのだと気がつく。

結局、どこまで本当のことが散りばめられているのか不明瞭ながら、
その内に、それでもこれは、村上龍の私小説なのかも知れないと思い至ったりもする。

あるいは、私小説風な事実を散りばめながら、今現在の村上龍が、誰もが一度は小説を書けるという初心者的な観点に敢えて立ち戻って、力を振り絞って書いてみたのが、今回の小説なのかも知れない。

★「MISSING ~失われているもの~」
  村上龍著 新潮社 2020.3.20.発行

作中に出てくる「記憶の宮殿」、「積み木」などというのが、誰もが一度は小説を書けるというテーマのキーワードに思える。小説を書いてみたいという向きには、色々と勉強になることを、村上龍は正直に書いてくれていると思われる。

それから、精神を病んでいると思われる主人公が、しばしば心療内科の主治医と面談している場面が想起されている。その心療内科医の主人公に対する心理的な見解が、普通のヒトにはなかなか書くことのできない内容になっており、村上龍という人は、こうした分野にも精通しているのだとつくづくと感心させられる。

やっぱり、村上龍は知的なブルース・リーなのだ。

PS:実験小説といえるべき部分について、ここでいろいろ書けるのだろうけれど、そこを書いてしまうとある意味ではネタバレ的なことになってしまうので、そこは書かない方がまだ読んでない人にとってはオモロイと思われる。



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