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「猫を棄てる」

猫好きにはショッキングなタイトルだったので、すぐ目についた。
その書籍は平積みされていて、向かって左下角に置かれていた。

★「猫を棄てる ~父親について語るとき~」
  村上春樹著 文藝春秋社 2020.4.25.第1刷

初出は「文藝春秋」2019年6月号なのだという。
真面目に「文藝春秋」を読んでいないことが、これでばれてしまった。

この書籍を読んでみて、なにより驚いたのは、
春吉君の父親の「村上千秋」という名前だった。
他の読者ならば、絶対にここで驚くことはないはずなのだが。

オイラの大学時代に、千秋Mという男がいて。
入学して自動的に組まれていた学生グループの仲間だった。
大阪の人間で、オイラは初めて関西弁というものに触れ、
そのオモロサに酔いしれていた。

ある交差点でタクシーが無茶な運転をして、その千秋という男が轢かれそうになったときに放った言葉。
「なんじゃワレ、どついたんぞ」という発声とイントネーションに酔いしれた。マエストロ・ボナセーラの掲示板にそんな話を書いたりしてみた。

読み方はチアキとセンシューとできっと違うのだが、同じ字を書くというのがオモロイ。

というわけで、「女のいない男たち」だったろうか、ビートルズの「イエスタデイ」が関西弁で歌われたエピソードに繋がったりしている。

こんな風に、春吉君とオイラは腐れ縁としかいいようのない、
数多ある不思議な偶然で、どーしても繋がっているのだった。

     *

それはそうと、この書籍では春吉君の父上と祖父のエピソードが書かれている。戦時中のエピソードがメインなのだが、それを読んでいると、行間に大岡昇平の作品が彷彿としてきて、映画の映像を見ているような気がしてくるほどリアルな情感が埋め込まれているように思える。

父上の配属された部隊は、第十六師団(伏見師団)なのだという。
春吉君の生まれは伏見なのだから、そりゃそーなのだろうと思えるが、
ここになにか伏見稲荷のそれこそ伏した関与を、やはりオイラは感じてしまうのだった。

父上は、レイテ方面へ赴任させられる寸前、奇跡というしかない不思議な力が働いて兵役を免れたのだった。レイテ方面へ行けば、まず生きて帰れない。すると、春吉君もこの世に生を受けていないのだった。

伏見稲荷直属の霊能者だった故・砂澤たまゑ氏を描いた「お稲荷さんと霊能者」(洋泉社)によれば、伏見稲荷の神は100年スパンで人の縁をツナギ、神の想ったことを実現させる力があるのだという。

そこで描かれている伏見稲荷の神は、砂澤に神の声を聞かせ、それを相談者に伝えさせるという。その内容があまりに厳しいと砂澤が感じて、相談者に伝えないことが何回かあったらしいが、そうすると、砂澤は激しい金縛りに遭ってお仕置きされるのだという。どうやら、故・星野仙一のように短気な神らしい。


  
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