昨年も、仮想通貨に関する悪いニュースがなかったわけではありません。中国における取引所の閉鎖や、韓国での規制の厳格化が報道され、それに伴い、仮想通貨の価格も一時期は下がりました。
ただ、そうした出来事を飲み込んで、価格は上がっていきました。その要因として、いまだ全取引の3~4割ほどを占める日本人の存在があります。
日本では、「夢の通貨」や「未来の通貨」、「これが世界を変えるんだ」といったバラ色のイメージが先行して、多くの方が仮想通貨を買い漁った、という印象を持っています。
特に、昨年12月には仮想通貨の代表格である「ビットコイン」の価格が年初の20倍となりました。これは、事情も知らずただ儲かるものだと思った日本人の投資初心者が、どっと押し寄せたからです。
このように、初心者が殺到してしまう相場は危ないと思っていたところ、案の定と言いますか、年明け以降にビットコインの価格は半値以下に下がりました。もっと一方的に落ちるかと思いきや、足元では意外と持ち直していますね。
ICOを実施した企業で、成果を挙げたところをほとんど聞いたことがありません。
ICOを行う場合、事業を完遂する責任は明文化されていません。さらに、資金調達が終わったらウェブサイトをたたんでどこかへ逃げる事業者も出るなど、詐欺まがいのものが多数を占めています。
株式市場では未公開株は売れないのに、仮想通貨のトークンなら取引所に上場する前でも売れるのもおかしいでしょう。
ブロックチェーンを、仮想通貨の基盤技術として使うのが「ブロックチェーン1.0」。その先に、国際送金など金融分野に応用するのが「2.0」、さらに非金融分野まで使用用途を広げた段階を「3.0」と私は分類しています。
昨今の報道を見る限り、仮想通貨の価格や取引所に関するものが多く、日本では「1.0」の段階への注目度が高いのが現状です。
しかし、すでに世界の金融機関の間では、業務にどうやってブロックチェーンを応用するかの競争が始まり、時代は「2.0」に差し掛かっています。すべての事業者が世界標準となる技術の開発を狙っていて、一番になって市場を押さえた事業者の勝ちです。