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鹿島建設 オーストラリアで事業拡大

 鹿島がオーストラリア事業を拡大している。政治的に安定し、移民受け入れで人口が増え続ける同国は住宅や商業施設など建設需要が強い「隠れたフロンティア」だ。建設ラッシュに沸く日本国内だが、将来の先細りに備え、鹿島は海外でも豪州を軸に強化している。
 シドニー郊外で今、36階建ての超高層マンションの建設が進んでいる。鹿島が2015年に買収した現地企業、アイコンが手がける。1年後には竣工の予定だ。
 豪州の建設投資額は2014年度で2040億豪ドル(約17.5兆円)だ。この10年間で2.2倍に増えた。さらに5月、豪州政府は道路や鉄道の整備などインフラ投資に今後10年で750億豪ドル(約6.5兆円)を投じる方針を示した。シドニー第2空港の建設計画もあり、建設需要は今後も続きそうだ。
 建設投資が伸びる理由が移民だ。年間受け入れは約20万人で、15年から50年までに人口は約4割増えると言われている。増加の割合はインドやブラジルといった新興国をしのぐ。住宅だけでなく交通インフラや公共施設の建設ニーズは高い。
 さらに重要なのは豪州が先進国という点だ。商習慣や法体系が整い、施工契約などの交渉は比較的円滑に進む。鹿島はアイコン買収で現地の住宅需要をおさえ、17年3月には病院や工場建設が得意な現地のコクラム社も買収した。
 買収効果で、鹿島の豪州事業は急成長している。18年3月期の豪州部門は売上高が前期比2倍の1111億円となる見通しで、米国(2096億円)、アジア(1117億円)に次ぐ規模だ。営業利益は77%増の4億6000万円を見込む。
 豪州は受注できる工事が企業の純資産の規模で決まる仕組みがある。鹿島は今後は買収2社を統合して機動力を高め、大型の受注も積極的に取り込む考えだ。こうした動きを見て、大手ゼネコンのある幹部は「豪州進出を狙ってM&Aを含めた選択肢を模索している」と明かす。
 実は鹿島には海外で手痛い失敗がある。06年に受注したアルジェリアでの高速道路建設だ。政府を相手にしたプロジェクトで、支払い条件などを巡ってことごとく対立した。この案件だけで少なくとも3度、業績予想の下方修正に追い込まれ、苦い経験になった。
 「海外売上高比率は4割に高めたい」。押味至一社長はことあるごとに海外展開の加速を訴える。すでにゼネコン大手4社では大林組(25%)に次ぎ、17年3月期時点で海外売上高比率は22%だが、この比率を「できるだけ早く」高めようとしている。
 海外を急ぐ裏には日本国内の建設需要に対する強い危機感がある。長期的に国内は人口が減り、建設需要は先細りが必至だ。建設業の技能労働者は高齢化が進み、25年度には新規を除けば16年度の3分の2となる約216万人まで減るとみられている。人手不足は施工能力の低下につながり、収益を抑制しかねない。
 鹿島について三菱UFJモルガン・スタンレー証券の水谷敏也氏は「建設だけでなく不動産開発をともに進められるのが強みで、米国で実績をあげている」と話す。単に建物を建てるだけでなく、土地を購入し、魅力的な場所にするために建物を建て、事業者に売却するという開発手法が得意分野だ。豪州でも富裕層向けの住宅など不動産開発を広げ、豪州の利益の半分を稼ぐようにする。
 鹿島の株価は8日に年初来高値の1039円まで上昇し、その後も高値圏にある。年初来から31日終値までの上昇率は25%で、大手4社のなかでは自社株買いが積極的な大成建設の35%に次ぐ。株高の主因は18年3月期の連結業績の上方修正期待だ。純利益は前期比22%減の820億円を見込むが、17年4~6月の純利益進捗率が4割を超えた。目先の国内需要に加え、どこまで豪州の事業を上乗せできるのか。この点が明確になれば国内先細りでも収益源を確保する銘柄として、市場での評価は一層高まりそうだ。
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