見つけてしまった。
舞台は建長寺だけれども、内容はキリスト教。。
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文永九年の晩夏のことである。
のちに必要になるので附加えると、文久九年は西暦千二百七十二年である。
鎌倉建長寺裏の勝上ケ岳へ、年老いた寺男と一人の少年が登っていく。
寺男は夏のあいだも日ざかりに掃除をすまして、夕焼の美しそうな日には、
日没前に勝上ケ岳へ登るのを好んだ。
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★「はなざかりの森・憂国」
三島由紀夫著 新潮文庫 H27.8.5.八十刷 「海と夕焼」 P.138より抜粋
この寺男の名は「安里」、フランス人。
子どもの時の形而上学的な体験が元で、
故あって日本に流れ着いた。
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『海と夕焼』は、奇蹟の到来を信じながらそれが来なかったという不思議、
いや、奇蹟自体よりもさらにふしぎな不思議という主題を、
凝縮して示そうと思ったものである。
この主題はおそらく私の一生を貫く主題になるものだ。
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同書、P.330より抜粋
小説自体は、ラストシーンの影響が大きく、
「懲りない男」とか、「後悔しない男」などがテーマなのではないかと思ったり、
また、物語の中盤を振り返ってみる限りでは、
「宗教の有する恐ろしさ」がテーマにも見える。
オイラには、「後悔しない男」というテーマイメージが、最もしっくり来るように思える。
ところで、三島は何故この物語を「おそらく私の一生を貫く主題」と言い切ったのだろうか?
実は、この抜粋の後にも文章が続くのであるが、さっぱり要領を得ない内容で終わっている。
なので、想像するしかない。