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代案のない反対は合理的


戦後の日本の組合の理論闘争を支えたのが、マルクス主義における階級闘争で、その戦術として「正・反・合」の弁証法理論が使われました。


「ちょっと、ちょっと、今日は、やけに理屈っぽい話だわ!」


「階級闘争だの、マルクス主義だのって、今の政治に全然縁がないじゃない。やめてよ!」


でも、この戦術は意外と簡単で、情報不足の組合員を引っ張ってゆくリーダーにとっては、都合がよかったのです。そのため長い間、賃上げ、労働条件の改善に力を発揮しました。


「正・反・合」とは、三角形の左の角を「正」として、右の角を「反」とします。会社の提案を「正」の位置に置き、それに反する意見を「反」とすると、交渉の結果得られた解決策が「合」になります。


こうすることで、最初の提案より、より良い結果が導き出されるとなるというのです。会社が、1,000円の賃上げを提案したら、組合はそれに反対すれば、結果として1,200円の賃上げが実現します。さらに、翌年は、1,200円を「正」としてそれに反対することで、1,500円の賃上げが実現するというのです。


弁証法の考え方は、ギリシャ時代の政治論争によく用いれたようで、マルクスがその著書で評価したことで、階級闘争の際にプロレタリアートの間で普及したようです。この考え方の利点は、ともかくも、反対さえすれば「正」側から解決策が示されることで、代案を用意する必要がないことです。


そのため、何でも反対しとけという安易な考え方が蔓延してしまったのです。結果を考えずに、部分的な問題の解決では、大きな流れが読み取れません。今回のBREXITの結果は、まさにこの極みといえます。


情報量が少ないあいだは、これでよかったのですが、今日のように情報が氾濫してくると、解決策を「反」側からも求めらえるようになり、弁証法的な解決策では、正しい結論をえることが難しくなってきています。


ところが現実の世界では、相変わらず「何でも反対」と叫んでいる政党がいるのも事実です。それが今度の選挙でどうなるか、間もなく判明するはずです。





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