英国がEUを離脱しなくても、円高の波は容易に収まりそうにありません。
理由は一昨日の日記に書いたドル円相場の適正水準ですが
7月の日米金融政策の何れもが現状維持だと予想しているからです。
先日のイエレン議長の記者会見は、年内2回の利上げについて含みを残しましたが
実際にはFRBのプライドを重んじた発言で
外部要因による米国の景気減速をかなり意識しているのではないかと感じました。
一方の黒田総裁の記者会見(16日)では、万一英国がEUを離脱しても
主要国の中銀と密接な連携とり、金融市場の混乱を最小限に抑える用意があると述べており
恐らく協調介入も有り得るという含みがあったものと考えています。
さらに参院選の投票日が7月10日であるのに対し
7月の日銀金融政策決定会合は28日~29日ですから
英国のEUを離脱が決まっても、臨時会合を開かない限り、7月の追加緩和は無いと予想しています。
そうなれば日米共に次回金融政策会合は9月なので
それまでは英国がEUを離脱した場合、ドル円相場は100円を割る可能性があり
残留することになっても、緩やかな円高傾向が続くだろうと考えています。
因みに、2013年4月4日の異次元緩和発表から、2014年10月31日追加緩和発表までの
19ヶ月の平均レート(101.53円)がドル円相場の適正水準ではないかという仮説を立てましたが
それならば、NYダウと比較した場合の日経平均株価にも同様のことが言えると思います。
そこで安値圏から上10%と、高値圏から下10%を除外し、日経平均株価の終値平均を計算すると
ざっくり15000円前後になるのですが
同期間(2103/4~2014/10)の日経平均円建てが33.41%上昇しているのに対し
日経平均ドル建ては11.3%の上昇に止まっています。(NYダウの上昇率は17.19%)
つまり、ドル円相場の適正水準を101.53円と仮定すれば
日経平均円建てとドル建てのギャップは、理論上全て埋まらなくてはなりません。
しかし先週末の段階で、max22%あったギャップは5%に縮小しているため
ドル円相場が104円の時、妥当な日経平均円建ての中央値は14820円と予想しています。
ただ、我流の手集計なので多少の誤差はご容赦願いたいのですが
それでもドル円が101.53円という基準に照らし合わせると
適正株価が14000円~14500円のレンジを大きく外れることはないと考えています。
そうすると、先週末の日経平均株価終値(15599円)はPER13.01倍ですから
先日お話した「世界的な金融危機状態の日経平均はPER12.0倍」という経験則に当て嵌めると
英国がEUを離脱した場合、日経平均が14390円まで下落しても何等不思議ではありません。
それどころか、さらに円高が進み、ドル円が100円を割る事態になれば
14000円割れも視野に入ると思います。
<まとめ>
○ドル円レートの適正水準は101.53円と予想(異次元緩和以降19ヶ月間の平均レート)
○日銀の追加緩和(2014年10月)でドル円レートは過度な円安になり
日経平均株価は円建てとドル建ての間にギャップが5%存在する
○為替のギャップを考慮すれば、6/17時点の日経平均株価適正値は14820円
○英国がEU離脱を選択した場合、ドル円が101.53円なら14390円が下値メド
100円を割れば13000円台が現実味を帯びる