ユリウスさんのブログ
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なんと呼ぼうと薔薇はバラはの香りがする!
玄関先のつる薔薇 by iPhone(05/15)
毎朝、起きてすぐ新聞をとりに玄関を出たとたん、薔薇の香りにまとわりつかれる幸せに浸ってます。(笑)
今年もたった一本のつる薔薇が見事に咲いてくれました。
たくさんの薔薇の花の香りにつつまれながら、前の道路に出て写真を撮っていると、先日お亡くなりになった故蜷川幸雄演出の「ロミオとジュリエット」の名シーンが少しずつ蘇ってきました。
思い出したシーンの台詞はこんなやさしい英語だそうです。が、名前と実体との関係は、なかなか哲学的で難しい。
"That which we call a rose by another name would smell as sweet."
梅田の芸術劇場で観たのは松岡和子さんの新訳でしたけれど、あいにく手元にない。中野好夫訳でどうぞ。
「ロミオとジュリエット」 第二幕第2場 キヤピユレット家の庭園
(ロミオは夜の庭園に忍び込んで窓辺を窺っている。そこへジュリエットが二階の舞台の窓に現れ、苦しい胸の内を表白しはじめるシーンから)
ジュリエット:「ああ、ロミオ様、ロミオ様! なぜロミオ様でいらっしゃいますの、あなたは? あなたのお父様をお父様でないといい、あなたの家名をお捨てになって! それとも、それがおいやなら、せめてわたしを愛すると、宣言していただきたいの。さすれば、わたしも今をかぎりキャピュレットの名を捨ててみせますわ。」
ロミオ:(傍白)「黙って、もっと聞いていようか、それとも声をかけたものか?」
ジュリエット:「仇敵(カタキ)はあなたのそのお名前だけ。たとえモンタギュー家の人でいらっしゃらなくても、あなたにお変わりはないはずだわ。 モンタギュー --- なんですの、それが? 手でもなければ、足でもない、腕でもなければ、顔でもない、人間(ヒト)のからだについた、どんな部分でも、それはない。 後生だから、なんとか他の名前になっていただきたいの。 でも、名前がいったいなんだろう? わたしたちがバラと呼んでいるあの花の、名前がなんと変わろうとも、薫りにちがいはないはずよ。 ロミオ様だっておんなじこと、名前はロミオ様でなくなっても、あの恋しい神のお姿は、名前とは別に、ちゃんと残るにきまっているのですもの。ロミオさま、そのお名前をお捨てになって、そして、あなたの血肉でもなんでもない、そのお名前の代わりに、このわたしのすべてをお取りになっていただきたいの。」
ロミオ:「お言葉どおり、ちょうだいしましょう。ただ一言、ぼくを恋人と呼んでください。すれば新しく洗礼をうけたも同様、今日からはもう、たえてロミオではなくなります。
ジュリエット:「まあ、たれ、あなたは? そんな夜の闇にかくれて、人の秘密を立聞くなんて?」
(以下は劇場か脚本で楽しんでください)
「ロミオとジュリエット」の稽古場の故蜷川幸雄、彩の国さいたま芸術劇場にて(1997年)
蜷川演出によるシェイクスピア劇は史劇の「リチャード三世」や「コリオレーナス」、喜劇の「間違い続き」、「じゃじゃ馬ならし」、「空騒ぎ」など、シリアスな悲劇の「ハムレット」、「オセロ」、「マクベス」など、たくさん楽しませてもらった。
若い男優ばかりで演じられたリ、台詞がラップのリズムになっていたり、日本語で本場イギリスで公演して大好評を博したり、いつも話題がいっぱいでした。
もっとたくさん観ておくべきでした。 もう蜷川演出のシェイクスピアは観られない。
ご冥福をお祈りいたします。(合掌)
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