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3月11日の海外株式・債券・為替・商品市場
3月11日の海外株式・債券・為替・商品市場
2016/03/12 08:09
◎NY外為:商品通貨が上昇、安全資産売りで円は全面安
11日のニューヨーク外国為替市場では、商品輸出国の通貨が上昇。中国人民銀行(中央銀行)が元の中心レートをここ4カ月で最も大きく引き上げたことで、高利回り資産の需要が高まった。一方、安全資産は売られ、円は主要通貨全てに対して下落。
オーストラリア・ドルやカナダ・ドル、南アフリカ・ランド、メキシコ・ペソが米ドルに対して上昇。
資源国の通貨は通常、中国経済が力強い状況では恩恵を受ける。欧州中央銀行(ECB)が10日発表した追加刺激策の影響を市場が見極めようとするなか、ユーロは値下がりした。
野村ホールディングスのシニア為替ストラテジスト、チャールズ・サンタルノー氏は「中国情勢は極めて重要で、鍵となっているのは間違いない」とし、「商品通貨がここからさらにどれだけ上昇できるかは、世界の成長見通しが改善するかどうかにかかっている」と続けた。
ニューヨーク時間午後5時現在、豪ドル、ランド、ニュージーランド(NZ)ドル、カナダ・ドルはいずれも米ドルに対し1%以上の上げとなった。
円は対ドルで0.6%安の1ドル=113円86銭。
人民元の中心レートは今年に入り、市場が最も注目する指標の一つとなった。
中国当局は今年初めに中心レートを連続して引き下げ、同国の経済情勢をめぐり懸念が広がった。
人民元はこの日、ドルに対して昨年12月以来の高値に上昇。
この日の元の中心レートは0.34%元高方向に設定された。
クレディ・アグリコルの為替ストラテジスト、マニュエル・オリベリ氏(ロンドン在勤)は「きょうは株式指数が全て上昇していることから、リスクセンチメントはより安定している」と指摘。
「これは中国情勢が安定しつつある状況と関係がある。中国は短期的に重要な要素だ」と続けた。
◎米国株:S&P500、終値で今年の最高値-ECB措置を評価
11日の米国株式相場は上昇。世界的な株高の動きに追随した。
S&P500種株価指数は終値ベースで今年の最高値となった。
欧州の景気刺激策が再評価され、成長押し上げに向けて講じられた同措置への前向きな見方が広がった。
銀行や商品関連株が大きく買われ、1カ月にわたる上昇局面を引き続き先導。
シティグループやウェルズ・ファーゴが高い。ダウ・ケミカルは3.1%の値上がり。
アナダルコ・ペトロリアムは2カ月ぶりの高値をつけた。原油が週間ベースで昨年5月以来の最長となる4週続伸となったことが背景。
S&P500種 株価指数は前日比1.6%高い2022.19で終了。週間ベースでは4週連続上昇と、昨年11月以来の最長。
今年に入って初めて200日移動平均線を上回って引けた。ダウ工業株30種平均は前日比218.18ドル(1.3%)上げて17213.31ドル。
ダウ平均も終値で年初来の最高値となり、200日移動平均線を上回った。ナスダック総合指数は1.9%高。
バンク・オブ・アメリカ(BOA)傘下のUSトラストのチーフ市場ストラテジスト、ジョー・クインラン氏は「景気拡大軌道を維持するための成長刺激に向けた積極的な行動はプラスだ」と指摘。
「世界的なリセッション不安は後退しており、それが鍵となっている。前日の欧州中央銀行(ECB)の行動はこうした勢いを後押しした。
米投資家にとって重要なのはユーロ・ドル相場で、それが上昇しているというのは米企業業績や多国籍企業の系列会社にとって良いニュースだ」と述べた。
ECBの政策措置は成長を取り戻すのに不十分との懸念は払拭され、先月つけた22カ月ぶり安値からのS&P500種株価指数の回復を支えてきた銘柄が再び買い進まれた。
この中にはエネルギーや素材、テクノロジー、金融株が含まれる。
S&P500種は2月11日につけた安値から10%余り戻し、昨年末からの下落率は1.1%未満に縮小した。
米国では15、16両日に連邦公開市場委員会(FOMC)が定例会合を開く。
市場は今回の会合での利上げについてはほとんど織り込んでいないものの、年内に利上げが実施されるとの見方を強めている。
6月の利上げの確率は51%と、1カ月前の2%未満から上昇。
経済指標の改善や原油価格の安定、株価の回復に促された。
ロバート・W・ベアード(ロンドン)の株式担当副会長を務めるパトリック・スペンサー氏は、「市場はここから来週のFOMC決定を待つことになるため、かなり静かな展開になるだろう」と述べた。
S&P500種の業種別10指数すべてが上昇した。
エネルギーと金融株の上げが目立ったほか、素材株も大きく値上がり。
生活必需品や公益事業、通信株は上げ幅が小さいものの、一般消費財銘柄は堅調だった。
エネルギー株は週間で4週連続上昇と、昨年5月以来の最長。ニューヨーク原油先物市場ではウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物が1.7%高と、1バレル=38ドルを上回って終了した。米国での燃料需要の増加と原油生産減少の兆しが出てきたことから、買いが入った。
サウスウェスタン・エナジーやデボン・エナジーが急伸。アナダルコ・ペトロリアムは8.9%高。
同社は原油価格下落への対応で1000人削減すると前日に発表した。
S&P500種の銀行株指数は3月1日以来の大幅高。債券利回り上昇で収益性が高まるとの観測が強まった。
米10年債利回りは1月以来の高水準に達した。
シティズンズ・ファイナンシャル・グループやSVBファイナンシャル・グループが上昇。
KBW銀行指数は2.9%上げて、1週間ぶりの高値で終えた。
◎米国債:3週連続安、6月利上げの観測が市場で広がる
債券市場では6月の米利上げ観測が広がっている。11日の米国市場では株価と原油がいずれも上昇した。
米国債市場では10年債が週間ベースで3週連続安。ブルームバーグがまとめたデータによれば、トレーダーが見込む6月の利上げ確率は50%前後に上昇してきた。
前日は45%、1カ月前は10%を割り込んでいた。バンク・オブ・アメリカ(BofA)の金利ストラテジスト、マーク・カバナ氏の11日付リポートによれば、米連邦公開市場委員会(FOMC)は1994年以降、会合前日の先物市場での利上げ予想が確率60%以上にならない限り利上げを実施していない。
カバナ氏は電話インタビューで、6月利上げに「FOMCが違和感を感じない」程度の「レンジに市場は入ってきたようだ」と述べた。
3月15-16日のFOMCで利上げ決定を見込む市場関係者はほぼいない。
先物市場動向によれば来週の会合で利上げされる確率は4%にとどまっている。6月の利上げ確率は50%。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後5時現在、10年債利回りは前日比5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して1.98%。同年債(表面利率1.625%、2026年2月償還)価格は14/32下げて96 25/32。
ここ数週間で米経済データが改善し、インフレや成長見通しを押し上げている。
シティグループの米経済サプライズ指数はマイナス9.3と、終値ベースとしては昨年11月以来の高水準となった。
同指数は依然としてゼロを下回っているが、2月4日には8カ月ぶり低水準のマイナス55.7をつけていた。
ブルームバーグ世界債券指数によれば、経済データや金融環境の改善に伴い、米国債の過去1カ月間のパフォーマンスは対象26カ国の中でカナダに次いで2番目に悪い。
カナダ債のリターンは1.7%のマイナス、米国はマイナス1.2%。
パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のグローバル・クレジット担当最高投資責任者(CIO)、マーク・キーセル氏は米国債がさらに下げる可能性があると指摘。
米国経済の強さと米金利軌道を市場参加者がなお過小評価しているとの見方を示した。
キーセル氏はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「市場は米国経済が良好で、金融政策当局が年内に利上げするであろうことを過小評価している可能性がある」と話した。
◎NY金:反落、1年ぶり高値から下げる-株高で逃避需要減退
11日のニューヨーク金先物相場は反落。1年ぶり高値から下げた。世界的な株価上昇を背景に価値保存手段としての金の買いが減退した。
商品ブローカー、インフィニティ・トレーディングのフェイン・シェーファー社長は電話インタビューで、「今は世界的に株価が上昇していることから、金では若干の利益確定の動きが見られる」と指摘。
「株式相場にプラスの材料は、金にはマイナス材料になるようだ」と述べた。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物4月限は前日比1.1%安の1オンス=1259.40ドルで終了。この5日間では4日目の下落相場となった。
銀先物5月限は0.4%高の15.605ドル。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のパラジウムも上昇。プラチナは下落した。
◎NY原油:反発、週間では4週連続高-米燃料需要が上向く
11日のニューヨーク原油先物市場ではウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物が反発。
週間でも上昇し、昨年5月以降で最長の4週連続高となった。
米国での燃料需要の増加と原油生産減少の兆しが出てきたことから、買いが入った。国際エネルギー機関(IEA)は世界的な供給超過が解消に向かいつつあり、原油価格は底入れした可能性があるとの見方を示した。
BNPパリバの商品市場戦略責任者、ハリー・チリンギリアン氏(ロンドン在勤)は「ガソリン需要が上向いている」と指摘。
「原油市場で弱気なポジションを積んでいた投資家は、この上昇を機会に手じまうだろう。
そうなれば最近の上昇の勢いに拍車がかかる」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物4月限は前日比66セント(1.74%)高い1バレル=38.50ドルで終了。
週間では7.2%の値上がり。ロンドンICEの北海ブレント5月限は34セント上昇して40.39ドル。
◎欧州株:反発、銀行株が主導-独DAXは昨年8月以来の大幅上昇
11日の欧州株式市場は反発。
前日は欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が利下げ打ち止めを示唆したことを受けて下落したが、この日は新たな刺激策のパッケージを再評価する動きが広がった。
指標のストックス欧州600指数は前日比2.6%高の342.23と6週間ぶりの高値で取引を終えた。
金融や自動車株が上げを主導した。年初来で大きく下げていたドイツのDAX指数は昨年8月以来の大幅な上昇を記録した。
サクソバンク(デンマーク)のプライベートバンク部門で最高投資責任者(CIO)を務めるタイス・クヌートセン氏は「10日の動きはまったく行き過ぎだった」と指摘。
「ドラギ総裁は実質的にECBの刺激策が出尽くしたと述べるという間違いを犯した。
結局のところECBは市場の期待を上回る措置を打ち出し、金融システムに多額の資金を供給している。
数年前なら大幅な上昇相場の幕開けとなっただろうが、いまや金融政策への飽きが広がっている様子だ」と語った。
この日の上昇でストックス600指数は週間で0.1%高となり、ほぼ1年ぶりの4週続伸。鉱業や銀行株がけん引し、2月の安値からは13%反発したことになる。
予想収益に基づく指数構成銘柄の平均株価収益率(PER)は14.9倍だが、昨年4月時点の16.7倍を依然大きく下回る。
国別では西欧の大半が上昇し、イタリアとスペインの代表的指数はそれぞれ3.5%以上の上げ。
ドイツDAX指数も3.5%高。
鉄鋼大手ティッセンクルップが8.5%高、ドイツ銀行が7.4%高と急騰した。
ストックス600の構成銘柄では560銘柄以上が上昇して引けた。
◎欧州債:軒並み上昇-ECB追加緩和策の効果を冷静に判断
11日の欧州債市場ではユーロ参加国の国債が軒並み上昇。前日は欧州中央銀行(ECB)が一連の措置を打ち出した後、総じて下げる展開となっていた。
この日はイタリアとスペインの国債が大きく上げ、高格付け国債のパフォーマンスを上回った。
イタリア10年債のドイツ国債に対する利回り上乗せ幅(スプレッド)は、1月末以降で最も小幅となった。イタリアは75億ユーロ相当の国債を発行し、このうち3年債の平均落札利回りは初めてゼロを下回った。
10日は追加利下げは想定していないとのドラギ総裁発言を受け、欧州債は値下がりする展開となっていた。
ECBは10日の会合で、預金金利の一段の引き下げと量的緩和拡大、銀行向けの新たな長期資金供給措置を決定。インフレ見通しも下方修正した。
みずほインターナショナルの金利戦略ストラテジスト、ピーター・チャットウェル氏は顧客向けリポートで「ECBの発表内容は思っていたよりもやや複雑な構成だったとはいえ、市場の期待を上回るものだった。
ネガティブな市場の反応は、これ以上の利下げを織り込めなくなったことに関係していたもようだ。
これを市場は克服し、構造的に利回り曲線はフラット化するだろう」と指摘。
インフレ見通し引き下げは「ユーロ圏の全ての債券市場にとって強気材料だ」とも付け加えた。
ロンドン時間午後4時13分現在、イタリア10年債利回りは前日比13ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の1.33%。前日は5bp上昇した。同国債(表面利率2%、2025年12月償還)価格はこの日、1.205上げ106.12。
ドイツ10年債利回りは4bp下げて0.27%。10日には0.33%と、2月2日以来の高水準に達した。イタリア国債とのスプレッドは106bpに縮小。ブルームバーグがまとめたデータによれば、これは1月27日以降の最小。
スペイン10年債利回りは10bp下げ1.49%。前日は2bp上昇していた。
ブルームバーグ抜粋
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