かえるの楽園 -ある寓話(風刺小説)-

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かえるの楽園 -ある寓話(風刺小説)-

「かえるの楽園」


 百田尚樹著「かえるの楽園」をよんだ。寓話小説というか風刺小説というか、明らかに我が国の大衆社会の怖さがこれでもか、これでもかと露骨に描かれている。

 とにかく現在の我が国のおかれている政治状況が透けて見えるようにやさしい表現で描かれているので、誰でも楽しめる。いや、ガチガチの護憲派や原子力平和利用反対派はちょっと嫌な思いはするでしょう。(笑)

 どのような政治スタンスであるにせよ、国際社会の現状を踏まえた上での我が国政治状況への問題提起であることは間違いないところです。ものには両面があるのですから。



 古くはシェイクスピア戯曲「コリオレーナス」(ローマ社会)やジョージ・オーエル著「1984年」(共産主義社会)など、為政者の権力と大衆の無知、無力を描いた名作がある。

 翔年はこれとは全く別のジャンル、ラベル作曲「ボレロ」をイメージしました。

 ボレロは始めから終わりまで、たったひとつメロディーを一つの長いクレッシェンドで演奏されるので誰にでもわかりやすい。

 同じように「かえるの楽園」も我が国の戦後の大衆社会を余すところなく描きながら、だんだんクレッシェンド強めてついには破局に至ります。だれでも結末が容易に予想できる小説です。これぞ風刺小説という所以です。


 先のエントリーで書いたリチャード・ムラー著「サイエンス入門 Ⅰ、Ⅱ」は科学技術の本質を分かりやすく解いた本であり、今回の「カエルの楽園」は政治の本質をわかりやすく描いている。

 好き嫌いはあるでしょうが、どちらも物事の根本をよく見て、自分の頭で考えることを助けてくれる本であると思います。読後感はどちらもよかったですね。





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