俺 「お~い。今日はバレンタインデーだってよ」妻 「・・・だから?」俺 「いやいや。だから・・じゃなくてさ」妻 「だから・・じゃなく、何?」俺 「チョコとかは、いらんのよね・・俺は」妻 「ああ・・・」席を外す妻妻 「はい。コレあげる」俺 「・・・なに?コレ」妻 「だから・・・バレンタインだから・・チョコね」俺 「・・・・・」俺 「コレじゃアレだぞ、お前・・・」妻 「アレって?」俺 「酒にしてくれよ」妻 「何、ワケの判らないこと言ってんのよ」俺は、目先の事だけ考えた。そして言った。俺 「お前・・・バーバリーの財布が欲しいんだって?」妻 「買ってくれんの?」俺 「アレだ。酒を買ってくれたら考えてもいい。ホワイトデーの時な」妻 「ホントに!OK、OK。全然OKよ」という事になり、酒の専門店「やまや」に行ったわけだ。まあ、そこそこ手頃な価格で帰る純米酒が今回の狙いである。3000円位かな・・あまりにも高い酒だと、あとが恐い。しかし・・・その、バーバリーの財布とやらはいったい幾らくらいするのだろうか?まさか、チョー高額とかじゃないだろうな。この選択は正しかったのだろうか?素直にチョコだけ貰っておいてホワイトでーには適当な物で茶を濁しておいた方が良かったのでは・・・・しかし今さら遅い。まぁ、俺の稼ぎも判ってるワケだしせいぜい5000円程度の財布なんだろう。(この考えが、大きな間違いであった)俺は、以前より飲んでみたかった越後の辛口純米酒・越乃八豊を選んだ。まあまあな価格だ。ヒヒヒ・・・GETしたぜぃ~~。夜が楽しみだ。しかし・・・ヤケにすんなりOKしたよな。なかなか3000円近い酒は買えないぞ。それを・・・すんなりと・・・しかも支払いの前にちょっと気になる事を言ってたな。妻 「本当にこのお酒でいいの?」このお酒・・・だと?普段なら買わない値段だぞ、これでも。気になる。何だか、とっても気になる。帰りの車の中・・・・俺は思い切って聞いてみる事にした。俺 「で?・・お前・・その、バ、バ、・・・」妻 「ん?」俺 「バ、バーバリーの財布っての、幾ら位すんの?5000円くらい?」妻 「・・? 何の値段?・・それ」俺 「だからさ、その・・お前が欲しいっていう、バーバリーの財布だよ」妻 「あはは、5000円とか言うからビックリしちゃってさ」俺 「・・・?ご、ごせんえん・・くらいじゃないのか?」妻 「冗談だよね?」実に嫌な予感がする。5000円が冗談で言えるか。妻 「5万円くらいかな」あれ?何か、聞き間違いかな?俺 「え?ゴメンゴメン。よく聞こえなかった。も1回言ってみて」妻 「5万円。バーバリーだモンね。当たり前よ」妻 「約束したからねさっき。間違いないんだわよね?」妻 「楽しみだなぁ。早く3月14日にならないかなぁ」ハンドルを握る俺の意識は飛んでいた。