「お前は、来年は20,000円が地相場になるっていっているそうだな」
「そればかりか、『波乗り投資法』では、その後も、株は上昇することを前提にしているじゃないか。いい加減にしろ!」
突然天からの声です。今度は、少し株を知っている天国の住人のようです。
「山だって、下りがあるし、波だって高波もあれば引き波だってあるじゃないか。永遠に上がる相場なんてありえない」
「ごもっともです。株の本質をついた大変いいご質問です」
「来年の相場についてお答えする前に、今年の相場見通しについてひとこと……」
1月10日に、この欄で発表した今年の相場見通しでは、
「17,000円台で出発した株価は、好調な企業業績を受け、5月までに19,000円をつけると考えていますが、発表される来期のEPSは、今年ほど伸びないでしょうから、株価はレンジ相場となり、終値は18,000円台」としました。
今年は、20,000円前後で終わりそうですから、予想より2,000円ほど上まわったことになります。
外れた原因は、1,150円ほどと予想していたEPSが、100円ほど上振れたことにあります。円安による企業業績の向上と、ROEブームによる発行株数の減少によるものです。
来年は円安効果は、今年ほど期待できないまでも、コンプライアンス病と、さらなる自社株買いで、16年3月期のEPSは、1,300円程度になりそうです。
PERを15~17倍とすると、19,500円から22,100円となります。これが20,000円地相場の根拠です。
「なるほど。それで、その先も上がり続けるというのは?」
「その後も永遠に上がり続けるというのは、ちょと誤解があります……」
「波のように上下波動を繰り返しながら、10年20年単位でみると、上がっているといっているのです」
「バブルの後の20年は下がっているぞ! いい加減なこというな」
「あれは特殊な山で、バブル前の80年頃を起点にすると上がっています。明確な理由があります……」
「なにをぐじゃぐじゃいっているんだ。天国じゃ、そんなこといっている奴はおらんぞ。なんだったら、いっぺん見にこい」
「それだけは、ご勘弁を……」