ギリシャの人口 ➡1100万人
2014年度のGDP ➡1790億ユーロ (ユーロ圏の1.3%)
2010年以降の借入金➡2400億ユーロ
直近の政府債務 ➡3160億ユーロ(4月末時点:GDPの約1.76倍)
ユーロに加盟する条件として、財政赤字はGDPの3%以下という規約があります。
しかしこの条項に抵触していながら、強引にユーロに加盟した国がギリシャとイタリアでした。
但しイタリアの財政赤字は、当時対GDP比3.6%というぎりぎりの水準にあったため
急遽増税によって帳尻を合わせたという経緯があります。
ところがギリシャの場合は無茶苦茶で
ユーロに加盟した2001年当時の財政赤字は対GDP比100%(1520億ユーロ)に達しており
これを隠蔽するためにG.Sから借金し、赤字隠し(粉飾)を行ってユーロ入りを果たしました。
そしてこのことが明るみに出たのは2009年に政権交代が起こった直後(2010年1月)で
以来ユーロ危機へ発展することになります。
因みにユーロ加盟後のギリシャの実質的な債務の推移は以下の通りです。(単位:億ユーロ)
2001年(1520)、2002年(1592)、2003年(1680)、2004年(1832)、2005年(1954)
2006年(2242)、2007年(2393)、2008年(2633)、2009年(2997)、2010年(3295)
2011年(3552)、2012年(3039)、2013年(3192)、2014年(3173)、2015年(3160)
御覧頂くと分かる通り、ユーロ加盟後の財政赤字は年々増加の一途を辿っています。
しかし2010年に粉飾が発覚して以来、ギリシャ救済のために2400億ユーロが注ぎ込まれ
その代わりとしてギリシャは緊縮財政という条件を呑むことになりました。
そしてその効果が数字的には徐々に現れ始めたのですが
年金や公務員給与の減額、さらには失業率の上昇などに対する国民の不満は募る一方で
その結果、緊縮財政撤廃を公約に掲げたチプラス政権が誕生したという訳です。
しかし財政赤字の推移からも分かる様に、ギリシャが緊縮財政を放棄すれば
年々財政赤字が増え続けることは火を見るよりも明らかです。
しかも具体的な対策は今のところ何も示されていません。
これではまるで、普天間基地県外移設などと大風呂敷を広げた日本の民主政権と同じで
出来ないことを、さも出来るかの様に公言し、結局国民を欺く結果になり兼ねません。
しかもギリシャはデフォルトの危機に直面している訳で
ユーロを離脱すれば国民生活がどうなるか、本当に理解した上での決断なのかと疑いたくなります。
またギリシャの決断に関してチプラス首相は
「ギリシャの尊厳を守るため」などと偉そうな発言をしていますが
仮にロシアや中国に支援を求めれば、その方が余程ギリシャの尊厳が損なわれる様な気がします。
日本は「失われた3年」で済みましたが、ギリシャ国民の苦悩はその程度では終わらないでしょう。