ギリシャは、1832年にオスマン帝国から独立して以来約200年間、ずっと財政赤字が続いています。
また脱税大国でもあり、シャドーエコノミーにより徴収されない税金(幻の歳入)は
年間300億ユーロに上ると言われています。(ギリシャ工業連盟の推計)
<シャドーエコノミーに分類されるもの>
◇脱税(労働収入、事業収入、保有資産をまともに申告しないケース)
◇違法ビジネス(密輸・麻薬売買・売 春・偽ブランド商品販売・A V産業・無許可の路上販売など)
◇犯罪(横領・着服・収賄・マネーロンダリングなど)
そしてIMFによると、シャドーエコノミーがGDPに占める割合はEU加盟国が平均的に高く
米国の7%や日本の9%を大きく上回っているのが現状です。
しかも西ヨーロッパでは、ギリシャ(25%)、イタリア(22%)、スペイン(20%)
ポルトガル(20%)など、南欧の債務危機国が上位を独占しています。
因みに下のグラフは少し古いデータで、その後シャドーエコノミーの規模は縮小傾向にあります。
従って国ごとの規模を比較する参考資料として引用しました。(数値は現状と異なります)
下のグラフも古いデータですが、同様の主旨で引用しました。
少なくともギリシャが汚職及び贈収賄大国であることは理解出来ます。(OECDによる統計)
結局ギリシャの財政再建は、歳出を減らし、歳入を増やすことしか当面の解決策が無いために
債権団は公務員給与や年金支給額の削減に拘っているのです。
勿論増税案も含まれていますが、シャドーエコノミーの規模が大きいことを考えれば
増税効果を期待するより、脱税や違法ビジネスを徹底的に取り締まる方が
より効果的ではないでしょうか。
もっと言えば、ギリシャには権利だけ主張して義務を果たさない風土が根付いていると思います。
彼等は権利が侵されることを極端に嫌うため
改革を断行しようとすれば暴動など治安の悪化は避けられないかも知れません。
それ故、200年に及ぶ財政難から脱却するためには、カリスマ的なリーダーが不可欠だと考えます。
しかしギリシャの「急進左派連合」は国民の人気取りで政権を奪取したに過ぎず
早々に公約を破れば、二度と政権の座に返り咲くことは困難になる筈です。
結局出来ないことをやると公言して政権の座に就いたという意味では
日本の民主政権発足時に酷似していると思います。
ではギリシャは何処へ向かって進めばいいのかという問題ですが
ベストシナリオは、新政権が公約を一旦白紙撤回することでしょう。
そうすればギリシャは一応救われ、欧州の金融不安も一段落します。
次に、ギリシャが一方的にデフォルトを宣言し、さらにユーロから離脱するというシナリオです。
つまり独自の通貨を発行し、2年に1度の割合でデフォルトを繰り返していた時代に戻るだけです。
但し、切り下げのために導入した新通貨を誰が買うのかという問題が残ります。
恐らくユーロに比べれば紙屑同然の価値しかない筈で
銀行は倒産し、ユーロ時代の借金はいきなり数倍に膨れ上がります。
そうなれば借入れをしていた企業の倒産や個人の破産も相次ぐでしょう。
失業率は一挙に膨れ上がり、職を求めて国を捨てる経済難民が急増します。
まさに修羅場の到来です。
しかし無責任な言い方ですが、ギリシャはこうした修羅場を経験するべきだと思います。
建国以来200年に亘り財政難に喘ぎ続けて来た国が再生するためには荒療治も必要です。
そこで思い出されるのが2011年秋、緊縮財政に反対する史上空前と言われたデモや抗議集会
さらには各方面のストライキです。
(ギリヤの日本大使館による当時の治安情報)
http://www.gr.emb-japan.go.jp/portal/jp/proxeniko/sec2011.htm
観光が最大の収入源であるギリシャですが
当時のアテネ市内は路面電車を初め、地下鉄やタクシーまでストライキに突入し
交通機関が完全にマヒするという状況に陥り、観光産業は大きな損失を被りました。
下の画像は公務員のストライキでゴミ収集車がストップし、ゴミが散乱するアテネ市内
同じくゴミの山を紹介した映像(2分14秒)
https://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=AHq6OYOPiPU
それにしても、GDPの規模で見れば神奈川県より小さなギリシャに
一体何時まで振り回されるのでしょう?
その気持ちが一番強いのはドイツ国民だと思いますが
個人的にも、世界一勤勉と言われる日本人の爪の垢を煎じて飲ませたいくらいです。